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日本語教員試験の基礎で惜敗する原因と直前チェックリスト

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

日本語教員試験の基礎で惜敗する原因と直前チェックリスト

日本語教員試験 攻略シリーズも、今回の第10回で最終回です。この連載では、第1回で紹介したとおり、note・個人ブログなどに公開されている 合格・不合格の体験記33人分(1回目で合格した25人と、不合格を経験した8人)を読み込み、文部科学省の公式情報と突き合わせてきました。体験記はすべて令和6年度・令和7年度の紙の試験のものです。

令和8年度の本番は 11月8日(日)。この記事の公開日から数えて、あと 32日 です。

私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、日本語教員試験の500問を、基礎試験の5区分に公式の出題割合で配分して収録しています。不合格の体験記を読み返すと、基礎試験で落ちた人の点数は74点・75点・75点と、総合8割程度の基準まであと数点のところに集まっていました。基礎試験には総合点に加えて区分ごとの基準もあります。アプリの本番形式テストで合格率と弱点カテゴリをグラフで出すようにしているのは、この「足りない数点」がどの区分にあるのかを、試験の前に見えるようにするためです。

最終回の今回は、基礎試験で惜敗した人の原因 と 再受験で変えたこと をまとめ、本番までの 直前チェックリスト を作ります。後半では、12月18日の結果のあと、登録までの流れと実践研修 を整理し、来年度に受ける人への案内と、連載全10回のふり返りで締めくくります。


基礎試験の「あと数点」で止まった人たち

最初に、基礎試験の仕組みを確認しておきます。基礎試験は120分・100問・1問1点です。合格には、5つの区分それぞれで6割程度、かつ総合で8割程度の得点が要ります(年度ごとの難易差などで調整されることがあります)。

そして、基礎試験で合格点に届かないと、応用試験は採点されません。文部科学省は「基礎試験の合格または免除を得なければ、応用試験に合格することはできません。」と書いています(文部科学省 日本語教員試験)。午後の読解と聴解をどれだけ解けても、午前の基礎で決まってしまうということです。

不合格を経験した8人のうち、基礎の点数を本文に書いていたのは4人でした。

一方、基礎の点数を書いていた合格者は82点〜91点でした。日本語教師の卵さんは結果を「基礎試験が100点中75点で、80点のボーダーは越えられませんでした。」と書いています。3人が74〜75点に集まっていて、あと5〜6点 です。

EscritoJP さんは、日本語教育能力検定試験の合格者で基礎・応用とも免除を受けられたのに、「「敢えてFルート」で、基礎試験と応用試験に望みました。」と書いています。くわしい振り返りは有料部分にあるため、ここでは原因を推測しません。残りの人の体験記から、原因を5つにまとめました。

1. 理解が表面的なまま本番を迎えた

令和7年度に75点だったにんじんけーきさんは、8月の締め切り直前に受験を決め、勉強は約3か月(実質2か月)でした。本人は敗因として「勉強時間が圧倒的に足りていなかった」ことと、用語を「「人に説明できるレベル」まで落とし込めていなかった」ことを挙げています。問題集のオンラインテストを全問正解になるまで回していたのに、本番は75点でした。

全問正解まで回せたのに届かなかった、という点が大事です。答えを覚えることと、なぜその答えになるのかを説明できることは別物だ、ということを示しています。

2. 別の試験の過去問の得点で安心した

日本語教員試験の過去問は公開されていません。そのため、多くの人が出題範囲の近い日本語教育能力検定試験の過去問を使っていました。日本語教師の卵さんは、検定試験の過去問で220点中175点(79.5%)まで上げてから本番に臨み、基礎は75点でした。検定試験くらいの温度感で臨むと「70点代であっけなく落ちます。」と書いています。

にんじんけーきさんも、検定試験の過去問だけでは対策として不十分だったと感じたそうです。問題の形式・問数・時間が違う試験の得点は、日本語教員試験の区分ごとの穴を教えてくれません。

3. 別の試験のあとで気が抜けた

令和6年度に基礎59点だったゆきさんは、同じ年に検定試験も受けていました。本人は「正直なところ、わたしは検定試験が終わって気が抜けていた気がします。」と振り返っています(ゆきさんの記事には書籍の紹介リンクがあります)。ひとつの試験を終えたあとも、本番の日まで気持ちを保てるかどうかが点数に表れます。

4. 基礎試験で時間が足りなくなった

令和6年度に試験ルートで不合格だった fujita1339 さんは、基礎試験で文法の問題に時間を使い、「気がつくとあと残り1時間でまだ60問近く残っていました」と書いています。120分で100問なので、1問あたりは約72秒です。1問に3分かけると、それだけで2問分の時間がなくなります。

5. 受験ルートの条件を読み違えた

これは点数の話ではありませんが、合格したあとに起きた失敗として紹介します。mikazuki_moon さんは令和6年度に基礎免除のルートで合格しましたが、実習を修了する期限を、翌年の試験までに終えればよいものと誤解していました。「このルールを、私はきちんと理解できていなかったのです」と書いていて、結果は「仮合格は取り消しに。」。令和7年度に受け直して合格しています。


再受験で何を変えたか

不合格を経験した8人のうち、4人は翌年に合格しています。そのうち3人は、2回目で何を変えたかを書いていました。

mcylio さんは「私は第1回目の日本語教員試験では残念ながら不合格でした。」と書き出し、令和7年度に基礎89点で合格しました。変えたことは次の3つです。

  • 過去問を年度ごとではなく、同じ分野を横に並べて解く。同じテーマの問題を続けて解くと、どこが問われるのかが見えやすくなります
  • 説明する勉強。なぜこの答えなのか、ほかの選択肢はなぜ違うのかを、「家で飼っている猫を相手に授業をするような気持ちで」説明したそうです(mcylio)
  • 1回目に弱かった評価の問題を補強する。1回目は、評価の用語は知っていても、現場での使い方やグラフの読み方が分かっていなかったと振り返っています。日本語教育の参照枠も、Can-do の記述を並べ替えてレベルを当てる練習をしていました

jero_teacher さんは「第一回は記念受験で落ちて、」と書いています。令和7年度は2025年8月から1日3時間のペースで勉強し、基礎82点で合格しました。区分ごとの点数も本人が書いていて、10・11・9・27・25点です。

ゆきさんは、2回目は試験ルートをやめ、養成講座を修了見込みで出願する養成機関ルートに切り替えました。基礎試験は免除になり、応用試験85点で仮合格しています。基礎で苦戦した人には、ルートを変えるという選択肢もあるということです。

3人に共通するのは、1回目の点数や手応えから、足りなかった場所を特定してから勉強を組み直している ことです。そして mcylio さんの「説明する」勉強は、にんじんけーきさんの反省(人に説明できるところまで落とし込めていなかった)の裏返しになっています。

私たちのアプリでも、全問の解説で正解の理由と各選択肢の正誤を確かめられ、解説の中の用語はタップすると専用の用語辞書が開きます。本を別に用意しなくても、「この選択肢はなぜ違うのか」を1問ずつ理解まで進められる作りです。解説を読んでも引っかかる問題は、そのまま AI に質問することもできます。


本番まで32日の直前チェックリスト

ここからは、令和8年度に出願している人向けです。惜敗の原因と、公式の試験案内をもとに、直前期に確かめることをまとめました。時間配分と当日の過ごし方は第9回で詳しく書いたので、ここでは要点だけにします。

残り1か月〜1週間

  • 5区分それぞれの得点率を出す。総合で8割程度に届いていても、区分で6割程度を下回ると不合格になり得ます。特に出題が約1割の「言語と社会」「言語と心理」は、数問の取りこぼしが区分の足切りに直結します
  • 最新の施策と統計、日本語教育の参照枠、評価法、著作権を確かめる。公式サンプル問題にも統計や参照枠が出ていて、mcylio さんも参照枠と評価法を補強して2回目に合格しています
  • 音声(アクセント・調音点・調音法)を毎日少しずつ。区分「言語」の音声は、応用試験の聴解にもつながる分野です
  • 間違えた問題だけを繰り返す。新しい教材に手を広げるより、間違えた問題の「なぜ違うか」を説明できるようにするほうが先です。ナレッジバンドルでは「間違えた問題だけ」に絞って出題でき、忘却曲線に合わせた復習も自動で出てきます。本番形式テストを解くと、合格率と弱点カテゴリがグラフで出るので、どの区分から手をつけるかを決める材料にできます
  • 本番と同じ時間割で1回通す。基礎は1問約72秒、読解は1問100秒です。令和7年度に試験ルートで合格した kokoro さんは、直前期にマークシートで練習し、「迷う問題は印をつけて後回しにする練習も重ねました。」と書いています(掲載媒体に講座の案内があります)

ひとつ正直に書いておきます。私たちのアプリの日本語教員試験の問題は、基礎試験の5区分の文字の問題で、聴解(音声)の問題は入っていません。聴解の練習は、体験記にある方法、たとえば1回だけ聞いて答える練習や、1.5倍速〜2倍速で音声に慣らす練習(mcylio さん)を別に組み込んでください。

前日まで

  • 受験票は10月中旬(予定)にマイページで PDF が発行されます。郵送はなく、A4 で印刷して持参します。スマートフォンの画面を見せる方法は使えません
  • 筆記用具は黒鉛筆(H・F・HB)かシャープペンシル、プラスチック消しゴム。時計は通信や計算などの機能がないもので、スマートウォッチは使えません
  • ハンカチは体験記によると無地のもの。飲み物はラベルを剥がした蓋付きのペットボトルです
  • 会場の寒さに備えて、ひざ掛けや上着を。体験記には、午前の教室が寒かったという声もありました

当日

  • 基礎は10:00開始、聴解は16:10開始で17:00まで。基礎と読解は20分までの遅刻なら受けられますが(時間の延長はなし)、聴解は遅刻できません
  • 基礎は1問約72秒。迷ったら印を付けて先へ進み、全問マークしてから戻ります
  • 休憩中に試験の内容を話さない。Sumiko さんは注意点として「試験休憩時間中に内容の話を他の受験者としないこと。」を挙げています。試験問題は持ち帰りができず、記憶による再現を含めて公開・共有も禁止されています

12月18日の結果のあと:登録までの流れ

結果は 12月18日(金)予定 で、マイページで通知されます。郵送はありません。結果によって、次にすることが分かれます。

  • 合格した人: 合格証書をマイページからダウンロードします(期限は令和9年5月31日)。養成課程の修了見込みなどで出願した人は「仮合格」で、令和9年4月30日までに修了証書の写しなどを出す必要があります。mikazuki_moon さんのように期限を読み違えると取り消しになるので、自分のルートの条件を今のうちに読み直しておきましょう
  • 基礎だけ合格点に届いた人: 「基礎試験合格証明書」が交付され、次回以降は基礎試験が免除になります。証明書の有効期限は、公式資料では確認できませんでした
  • 基礎が合格点に届かなかった人: 応用試験は採点されず、試験全体が不合格です。次回は基礎から受け直します

実践研修は「合格のあと」にもう一段ある

試験ルートの人は、合格しただけでは登録日本語教員になれません。登録実践研修機関で実践研修を修了 したうえで、登録を申請します。実践研修を受けられるのは、基礎試験の合格者と、登録日本語教員養成機関の養成課程の修了者・修了見込みの人です。経過措置の C・D-1・D-2・E-1・E-2・F ルートと、実践研修と一体になった養成課程を修了した人は、実践研修が免除されます。

実践研修の費用と期間は、公式に一律の額はなく、各機関に確かめる必要があります。体験記には、本人が調べた金額が書かれていました。

  • o35xk さん: 10万円を超えるのが普通で、研修先は東京に集中し、地方では1年待ちと書いています
  • 丸木まるか さん: 12万円台からのものしか見つからなかったそうです(有料記事の無料部分から)
  • ideal_macaw9264 さん: 短期集中の研修を約13万円で終えて登録したと書いています(有料記事の無料部分から)

いずれも本人の記載で、公式の額ではありません。試験ルートで受ける人は、結果を待つあいだに、通える範囲の研修機関と募集の時期を調べておくと、合格後に慌てずにすみます。

登録の申請

登録は、日本語教育機関認定法ポータルで申請します。アカウントを作って入力し、合格証書などをアップロードして、登録手数料 4,400円 を納めます。そのあと申請・届出書と戸籍謄抄本などを簡易書留で郵送し、審査を経て、登録証をポータルからダウンロードする流れです。申請は随時受け付けています(文部科学省 登録日本語教員の登録等)。登録日本語教員は、令和8年8月21日時点で20,075名が登録されています。


来年度(令和9年度)に受ける人へ

令和8年度の出願はすでに締め切られています。これから受ける人は、令和9年度以降の試験が対象です。

  • 日程と方式はまだ発表されていません。文部科学省は、令和9年度以降に CBT 方式へ移行することを検討していて、令和9年2月に CBT の試行調査(プレテスト、合否判定なし)を予定しています。詳細は令和8年10月頃に公表予定で、この記事の時点では確認できませんでした
  • 合格率は年度で大きく動いています。基礎から受けた人の合格率は、令和6年度の9.3%から令和7年度は35.7%になりました。数字の読み方は第3回でくわしく書いています
  • 現職者の経過措置は、令和10年度の試験が最後 です(登録申請の手引き)。現職の人は、自分のルートの条件と講習の要否を早めに確かめてください。C ルートは令和15年3月31日まで続きます
  • 早く始める。試験ルートで合格した o35xk さん(本文から令和6年度の受験と読めます)は、9月から勉強を始めていて、あとから合格率を知ってひやりとしたそうです。記事には「9月から勉強すんなよ!」という一文があります

来年度に受ける人にとって、この記事の前半の「惜敗の原因」は、そのまま勉強の設計図になります。区分ごとの穴を早めに見つけ、答えを覚えるのではなく説明できるところまで理解する。今から始めれば、そのための時間は十分にあります。


連載全10回のふり返り

最後に、この連載で伝えてきたことを1回1行でふり返ります。

  1. 第1回: 体験記33人を分析。受かる人は問題の量と誤答への集中、説明できるかの確認、スキマ時間、音声を毎日、本番形式の練習をしていた
  2. 第2回: 基礎は120分100問、応用は読解100分60問と聴解約50分50問。ルートによって基礎や応用が免除になる
  3. 第3回: 全体の67.5%は全試験免除者を含む数字。基礎から受けた人は令和7年度35.7%で、勝負はほぼ基礎試験
  4. 第4回: 勉強時間を明記した合格者は4人だけ。残りの日数から、区分の得点率と聴解を軸に計画を組む
  5. 第5回: 過去問が存在しない試験の教材は、解説の質・問題数と区分の割合・新しさ・スキマ時間・復習の仕組みで選ぶ
  6. 第6回: 基礎は区分ごとに6割程度と総合8割程度。小さな区分も捨てられない
  7. 第7回: 読解は60問100分。知識型を確実に取り、問題解決型は2択まで絞る
  8. 第8回: 聴解は最後の枠で遅刻不可。音声を毎日聞き、解きながらマークして割り切る
  9. 第9回: 当日は開場9:00から聴解終了17:00まで。1問あたりの時間と持ち物を前もって決める
  10. 第10回: 基礎の惜敗は74〜75点に集まる。区分ごとの穴を見つけ、説明できるところまで理解して本番へ

まとめ:あと5点は「区分」と「説明」で埋める

最終回の要点をまとめます。

  • 基礎試験で落ちた人の点数は 74・75・75点 に集まっていた。基礎で届かないと応用は採点されない
  • 原因は 理解が表面的・別の試験の過去問の得点を過信・油断・時間切れ。合格後には ルートの条件の読み違い もあった
  • 再受験で合格した人は、同じ分野を横に並べて解く・説明する勉強・弱かった分野の補強 で点を上げていた
  • 直前期は、区分ごとの得点率・参照枠や評価法や最新の統計・音声を毎日・本番の時間割で1回通す
  • 結果は 12月18日(金)予定。試験ルートの人は 実践研修と登録(手数料4,400円) まで見込んでおく
  • 来年度の人は、日程と方式(CBT)は未発表。現職者の経過措置は 令和10年度の試験が最後

体験記を書いてくれた33人の多くは、点数も迷いも失敗も、そのまま書いていました。そのおかげで、この連載は「あと何点、どこが足りなかったのか」まで具体的に書くことができました。日本語教員試験 攻略シリーズは今回で終わりです。11月8日に受ける人、来年度に向けて準備を始める人の役に立てばうれしいです。


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※この記事は2026年9月28日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や日程、登録の手続きは変わることがあるので、受験前に必ず文部科学省の日本語教員試験のページで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。

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