日本語教員試験の教材選び 過去問がない試験の5つの基準

日本語教員試験 攻略シリーズの第5回です。この連載は、第1回で令和6年度・令和7年度に受けた人の合格・不合格体験記33人分を読み込み、文部科学省の公式情報と突き合わせて書いています。
今回のテーマは 教材選び です。日本語教員試験は、教材で迷いやすい試験です。理由ははっきりしていて、この試験には過去問がありません。試験問題は持ち帰れず、記憶による再現を含めて公開・共有が禁じられています。公式に出ているのは、試行試験の一部のサンプル問題だけです。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、日本語教員試験の500問を作る前に、この33人の体験記を読みました。過去問がないので、多くの人が別の試験の過去問で代わりにしていました。私たちが500問を基礎試験の5区分に公式の出題割合どおりに割り振り、全問に解説を付けているのは、この試験の形に合わせた問題で練習できるようにするためです。先に書いておくと、聴解(音声)の問題は入っていません。その部分は別の練習が要ります(後半で書きます)。
この記事は、主に 来年度(令和9年度)に受ける人 に向けて、教材を選ぶ基準を整理します。令和8年度に出願済みで、本番(11/8)まで残り37日の人 への話も、途中に節を分けて書きます。
過去問がない試験で、合格者は何を解いていたか
日本語教員試験は令和6年度(2024年11月17日)と令和7年度(2025年11月2日)の2回しか行われていません。どちらの回も問題は回収され、過去問として出回っていません(文部科学省 日本語教員試験に関すること)。
そこで体験記の33人を見ると、出題範囲の近い別の試験、日本語教育能力検定試験(JEES が実施する検定。国家資格の試験ではない)の過去問を使っていた人が、明記しているだけで18人 いました。種類を書かずに「過去問」とだけ書いた3人を含めると21人です。解いた量は1年分から12年分まで、人によって大きく違いました。
ただ、代わりの過去問には限界もあります。
- 形式が違う: 聴解のアクセントの表し方や、1つの音声で2問に答える形が検定と違ったという声があります(neino_san724 さんは「一題で2問答えるのも慣れが必要です。」)
- 検定で取れても本番で取れるとは限らない: R6 に基礎75点で不合格だった 日本語教師の卵 さんは、検定の過去問を 220点中175点(79.5%)まで上げていました。それでも本番の基礎は75点。本人は検定に受かる程度の構えでは「70点代であっけなく落ちます。」と書いています
- R7 に基礎75点で不合格だった にんじんけーき さんも、検定の過去問では対策として足りなかったと振り返っています
検定の過去問が教員試験に効くかどうかを調べたデータは、見つかりませんでした。体験記から言えるのは、「多くの人が使った」ことと「それだけでは届かなかった人もいる」ことの両方です。
もう1つ、事実として書いておきます。33人の中に、アプリだけで合格したと書いた人はいませんでした。スマホのクイズや単語テストを使った合格者は4人いますが、いずれも補助としての使い方です。そのうえで、「では、どんな教材なら基礎試験の知識を1つで仕上げられるか」を、次の5つの基準で考えます。
教材を選ぶ5つの基準

- 解説の質: 正解の理由と、ほかの選択肢がなぜ違うかまで書いてあるか
- 問題数と区分の割合: 5区分それぞれを、公式の出題割合に近い形で何周も回せる量があるか
- 新しさ: 日本語教員試験の出題範囲に合わせて作られ、施策や統計の年度が新しいか
- スキマ時間で回せるか: 通勤や昼休みの10分でも進められるか
- 復習の仕組み: 間違えた問題・忘れかけた問題を、あとで確実に解き直せるか
1つずつ見ていきます。
基準1:解説の質(人に説明できるところまで進めるか)
体験記で目立ったのは、答えを覚えるのではなく、説明できるかで理解を確かめる 合格者の姿でした。太字の語句を自分の言葉で説明できるか確かめた人、飼い猫を相手に授業をするつもりで説明した人、生成AIを相手に自分の言葉で説明を書いた人がいます。
その裏返しが、にんじんけーきさんの反省です。ある教材に付いていたオンラインテスト300問を全問正解になるまで回しても、基礎は75点でした。本人は理解が表面的で、「人に説明できるレベル」まで落とし込めていなかった、と書いています。正解の記号を覚えるだけでは、同じ知識を別の形で聞かれたときに答えられません。
だから教材は、正解の理由に加えて、各選択肢がなぜ違うかまで書いてあるもの を選びます。解説の正確さも大事です。ある用語集について、こすい さんは「内容に誤りが多いので注意」と書いていました。
私たちのアプリでは、500問のすべてに正解の理由と各選択肢の正誤の解説を付けています。解説に出てくる用語はタップすると専用の用語辞書が開き、それでも引っかかる所は、その問題をそのまま AI に質問したり Google で検索したりできます。本を別に用意しなくても、解説と用語辞書で理解まで進められるように作っています。
基準2:問題数と区分の割合(小さい区分を捨てられない)
基礎試験の合格基準は、総合で8割程度に加えて、5区分それぞれで6割程度 です(令和8年度 試験案内)。出題割合が約1割の「言語と社会」「言語と心理」でつまずくと、ほかが満点近くても不合格になります。基礎が合格点に届かないと、応用試験は採点されません。
つまり教材の問題数は、総数だけでなく 区分ごとの配分 を見る必要があります。公式が示す出題割合は、社会・文化・地域が約1〜2割、言語と社会が約1割、言語と心理が約1割、言語と教育が約3〜4割、言語が約3割です。

私たちの500問は、この割合に合わせて、社会・文化・地域75問・言語と社会50問・言語と心理50問・言語と教育175問・言語150問に分けています(全15セクション)。小さい区分も50問ずつあるので、足切りの心配がある区分だけを集中して回すこともできます。
問題の量が効くことは体験記にも出ています。分野別の用語集と問題を何周も回した ひなた さんは、「本番の試験で分からない用語がほぼなかった」と書いていました。
基準3:新しさ(教員試験の範囲と、最新の施策・統計)
日本語教員試験の出題範囲は、令和6年に定められた「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の必須の教育内容です。検定と範囲の土台は近いものの、試験は別物で、教員試験には区分ごとの足切りがあります。教材が どちらの試験に向けて作られたか は、まず確かめたい点です。
もう1つは年度です。「社会・文化・地域」には在留外国人の施策や統計が入り、公式のサンプル問題にも統計の数字を問う問題があります。古い年度の問題は、その年の数字で作られています。どの教材を使う場合も、施策や統計の問題は、いつの数字かを確かめてください。R6 の受験者からは、日本語教育の参照枠・著作権・ICT の出題が多かったという声もありました。
基準4:スキマ時間で回せるか
体験記の合格者には、働きながら、子育てをしながら勉強した人が多くいました。通勤や家事の間も含めて1日平均2時間を積んだ人、昼休みと通勤を使った人、誤答ノートを移動中や家事の合間に見返した人がいます。
厚い本を開くには、机とまとまった時間が要ります。スマホで1問ずつ解ける教材 なら、10分の空き時間でも数問進められます。

基準5:復習の仕組み(解ける問題を何度も解かない)
2か月・150時間で合格した meiphan さんは、後半の1か月、間違えた問題に絞って解説をノートにまとめていました。本人の言葉は「解ける問題をいくら何度も解いても、得点力は一切上がりません。」です。
紙の問題集でこれをやると、どの問題を間違えたか、いつ解き直すかを自分で管理することになります。私たちのアプリでは、忘却曲線に合わせて復習の問題が自動で出てきます。「間違えた問題だけ」「未回答だけ」「ランダム」に絞って解けるので、解ける問題を飛ばして弱いところに時間を回せます。本番形式のテストを解けば、いまの合格率と弱点のカテゴリがグラフで出るので、6割に届いていない区分から手をつけられます。
聴解(音声)は、別に練習する
ここは正直に書きます。私たちのアプリの日本語教員試験の問題は、基礎試験の5区分の文字の問題で、応用試験の聴解(音声)の問題は入っていません。聴解まで1つのアプリで完結する、とは言えません。
アプリが役に立つのは、聴解の土台になる知識の部分です。聴解には学習者の発話の誤りを聞き取る問題があり、アクセントや調音、誤用の用語は基礎試験の「言語」の区分と重なります。用語の意味があいまいなままだと、音声を聞いても何を問われているかがつかめません。
音声そのものの練習は、体験記にある一般的なやり方で補えます。
- 倍速で慣らす: 「リスニングは、1.5倍速で聞いてました。」(嘉成 さん。記事に書籍の購入リンクあり)。1.5〜2倍速で聞いていた人もいました
- 1回だけ聞いて答える: 本番の音声は1回しか流れないと民間の解説記事は書いています(公式の案内文では未確認)。1回で答える練習をしておくと安心です
- 毎日少しずつ: 調音点・調音法の表を何も見ずに書く、口腔断面図を手作りカードで言えるまで練習する、といった短い練習を毎日続けた人がいました
聴解の形式は、文部科学省の公式サンプル(音声あり)で公開されています。聴解の練習法は、第8回でくわしく扱います。
令和8年度に出願済みの人へ(残り37日)
本番まで37日の人は、教材を増やさない ほうが安全です。R6 に合格した 丸木まるか さん(有料記事・アフィリエイトあり)は、直前から過去問に手をつけて「結局5冊目を解きながら力尽きました…。」と書いています。
残りの期間は、新しい本を買うより、手元の問題で次の順に進めます。
- 区分ごとの正答率を出し、6割に届いていない区分を見つける
- その区分の問題を、間違えた問題を中心に解き直す
- 聴解の音声に毎日触れる(上の節)
- 本番と同じ時間割(基礎120分・読解100分・聴解約50分)で通して解いてみる
受験票は10月中旬(予定)にマイページで発行され、A4 で印刷して持参します。当日の時間配分は第9回で扱います。
来年度(令和9年度)に受ける人へ
来年度の人は、教材を選ぶ時間があります。上の5つの基準で1つに決めて、早めに問題演習に入るのが近道です。
ただ、令和9年度の日程と方式はまだ発表されていません。令和9年度以降は CBT 方式への移行が検討されていて、令和9年2月に CBT の試行調査(合否判定なし)が予定されています。詳細は令和8年10月頃に公表予定で、この記事の時点では文部科学省のページで確認できませんでした。方式が変わっても、出題範囲と合格基準は公表される試験案内で確かめてから、教材の使い方を決めてください。
現職で経過措置の対象になる人は、経過措置を受けられるのは令和10年度の試験が最後 です。基礎が免除になるかどうかで、必要な教材も変わります。ルートの確認は第2回を読んでください。
まとめ:5つの基準を満たす教材を1つ決めて、解き込む
- 日本語教員試験には過去問がなく、公式に出ているのは試行試験の一部のサンプル問題だけ
- 体験記では21人が検定などの過去問を使っていたが、検定で取れても本番の基礎で74〜75点に止まった人がいる
- 教材は 解説の質・問題数と区分の割合・新しさ・スキマ時間で回せるか・復習の仕組み の5つで選ぶ
- 5区分それぞれに6割程度の足切りがあるので、小さい区分も十分な問題数がある教材を選ぶ
- 聴解(音声)は文字の問題では練習しきれないので、倍速・1回だけ聞く・毎日少しずつ、で別に補う
- 残り37日の人は教材を増やさず、6割未満の区分と間違えた問題に絞る
次回の第6回は、基礎試験の対策 です。5区分の出題割合と主なテーマ、区分6割・総合8割を越えるための進め方を整理します。
日本語教員試験の500問をアプリで解くなら「ナレッジバンドル」

資格対策アプリ「ナレッジバンドル」には、日本語教員試験のオリジナル問題500問がすべて入っています。スキマ時間に1問ずつ解いて、間違えた問題だけを繰り返せます。
- 全問に解説つき。解説の用語はタップで日本語教員試験専用の用語辞書が開き、関連用語もたどれる
- 解説を読んでも引っかかったら、その問題をそのままAIに質問。Google検索もワンタップ
- 忘却曲線で復習を自動出題。「間違えた問題だけ」「未回答だけ」「ランダム」など出題の絞り込みも自由
- 本番形式テストで、いまの合格率と弱点カテゴリをグラフで確認
- 広告なし。全教材は無料体験できます
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※この記事は2026-09-28時点の公開情報をもとにしています。試験の日程・方式・合格基準は変わることがあるので、受験の前に文部科学省の日本語教員試験のページと試験案内で確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。体験記はすべて令和6年度・令和7年度の紙の試験のものです。