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日本語教員試験の聴解対策 1回だけの音声50問で取りこぼさない

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

日本語教員試験の聴解対策 1回だけの音声50問で取りこぼさない

日本語教員試験 攻略シリーズの第8回です。第1回では、令和6年度・令和7年度に受験した33人分の合格・不合格体験記を読み込み、受かった人と落ちた人の違いを整理しました。今回はその中から、応用試験の最後に来る聴解の話だけを取り出します。

聴解は、体験記の中で「難しかった」という声が多く出てくる試験です。令和6年度・令和7年度と2年続けて受けた げん さんは、令和7年度の聴解をこう振り返っています。

「聴解試験はあいかわらず難しい」

私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、日本語教員試験の500問は基礎試験の5区分を公式の出題割合に合わせて配分しています。先に正直に書くと、音声を聞いて答える聴解の問題は入っていません。それでも聴解の回で触れるのは、体験記を読むと聴解の多くは、学習者の発話のどこが誤りで、それが何の誤りかをその場で判断する形だと書かれていて、その判断に使う誤用の種類や教室でのフィードバックの用語は、文字の問題でも確かめられるからです。

第8回の今回は、聴解の形式と体験記の点数、検定試験と違って戸惑った点、本番の解き方、そして音声の練習の積み方をまとめます。主な読者は、11月8日の本番まで34日の人(A)と、来年度に受ける人(B)の両方です。


聴解は「約50分・50問」で、1日の最後に来る

まず、公式の試験案内で分かっていることです(令和8年度 試験案内)。

  • 応用試験の一部: 読解(100分・60問)と聴解(約50分・50問)で、どちらも選択式・1問1点。聴解は50点分
  • 時刻: 16:10〜17:00(着席は15:40)。聴解の時間は録音の長さで多少変わる
  • 遅刻できない: 基礎試験と読解は20分までの遅刻なら受けられますが、聴解は遅刻不可です
  • 順番: 令和7年度から「基礎 → 読解 → 聴解」になり、令和8年度も同じ。聴解は朝から試験を受けたあと、いちばん最後に来ます
  • 1問あたり: 50分で50問なので平均約60秒。ただし音声に合わせて進むので、自分で時間を配分することはできません

どんな問題が出るかは、文部科学省が公開している試行試験のサンプル問題(音声あり)で形式が分かります(令和7年度 出題内容及びサンプル問題)。サンプルの聴解は3種類で、学習者の発話の誤り、教室での教師と学習者のやりとり、学習者向けの聴解教材などです。本試験でそれぞれ何問ずつ出るかは公式に発表されておらず、民間の情報でも食い違っているので、ここでは問数を書きません。

音声が何回流れるかも、公式の案内文では確認できませんでした。民間の解説記事や受験者の記事では1回とされていて、令和6年度に受けた mcylio さんも、1回目の受験で気づいたこととして「本番では音声が1回しか流れません。」と書いています。


得点率で見ると、5人中3人は聴解が読解より低い

応用試験の点数を読解・聴解に分けて書いている人は、令和7年度の5人でした。点数だけを比べると聴解のほうが低く見えますが、満点が違う(読解60点・聴解50点)ので、得点率にそろえて並べます。

  • 5人中3人(mcylio さん・jero_teacher さん・ゆきさん)は、聴解の得点率が読解より9〜17ポイント低くなっていました
  • げんさんは読解・聴解とも約8割、基礎免除で受けた neino_san724 さんは「読解:49点/60点 聴解:44点/50点」で、聴解のほうが高い人もいます

応用試験の合格基準は「総合得点で6割程度」なので、聴解だけで合否が決まるわけではありません。jero_teacher さんは聴解30点でも応用75点で合格しています。ただ、基礎免除で応用だけを受ける人にとっては、聴解の50点が試験全体の半分近くを占めます。読解で取った点を聴解で落とさないことが、そのまま合格に効いてきます。


検定試験と違って戸惑った3つの点

体験記の多くは、練習に日本語教育能力検定試験(別の試験で、国家資格の試験ではありません)の過去問の音声を使っていました。そのぶん、本番で形式の違いに戸惑った声が目立ちます。

1. アクセントの書き方が違う

neino_san724 さんは、アクセントの高低の書き表し方が検定試験と違ったと書いています。令和6年度に受けた ゆき さんも、同じ違いに気づき、表記の記号を線でつないで読むことで普段どおりに対応したそうです。練習のときから、サンプル問題の表記に目を慣らしておくと、本番で読み替える時間がいりません。

2. 1つの題で2問答える

neino_san724 さんは、形式の違いについてこう書いています。

「一題で2問答えるのも慣れが必要です。」

長めの音声を聞きながら、2つの設問を同時に頭に置いておく形です。後半は選択肢も長くなるので、令和7年度に基礎免除で受けた ひなた さんは、事前に問題をある程度読んでおくことをすすめています。

3. 出題のタイプが混ざって出る

検定試験では大問ごとに分かれていたアクセント・口腔断面図・教材などが、混ざって出てきたという声があります。令和7年度に受けた 21世紀でくのぼう さんは「自分の脳のスイッチを切り替えなければいけません。」と書き、教師役の話し方がとても速かったことにも驚いています。mcylio さんも、問題がランダムに出てくるため「次の問題に進むたびに頭を切り替える力」が必要だと書いています。


本番の解き方:前半で確実に取り、分からない問題は割り切る

聴解は、自分のペースで戻れない試験です。体験記に出てきた解き方は、ほぼ次の3つにまとまります。

解きながらマークする

ひなたさんは、音声がどんどん進むので「解きながらマークシートを埋める必要」があると書いています。令和7年度に基礎免除で受けた Sumiko さんのメモも「とりあえずマークして進むこと。」でした。終わってからまとめて塗ろうとすると、次の問題の音声を聞き逃します。

分からない問題は割り切る

ひなたさんはこうも書いています。

「わからない問題は諦める、と割り切ることも重要」

1問に引っかかって、次の問題の音声まで聞き逃すのがいちばん大きな失い方です。mcylio さんも「試験では、すべての問題を完璧にできる必要はありません。」と書き、得意な形式は確実に取り、苦手な形式は失点を減らす、という考え方で練習していました。

前半の「誤りの判定」を確実に取る

げんさんは、後半の教室の会話や聴解教材の問題は音声が長くて難しいとしたうえで、「前半をいかに確実に得点できるか」が聴解のカギだと書いています。前半は、学習者の発音・語彙・文法の誤りを判定する問題です。ここは知識があれば取れる問題なので、次の節の練習でいちばん時間をかけたいところです。

なお、終わったあとに見直しの時間があると書いている受験者の記事もありますが、公式の案内では確認できませんでした。その場でマークしておくのが確実です。当日の試験ごとの時間配分は、第9回でまとめて扱います。


音声の練習は「知識 → 言葉 → 耳 → 速さ → 本番の形」で積む

体験記に出てきた練習を、編集部が順番に並べると次のようになります。公式がすすめている手順ではなく、体験記の工夫を組み合わせた例です。

1. 音声の知識を先に固める

聞き分けるには、何を聞けばいいかを先に知っておく必要があります。日本語教師ナビに体験記を寄せた kokoro さん(令和7年度・試験ルート)は、調音点・調音法の表を何も見ずに書くことを目標にし、毎日3分で書く練習を3回ずつ続けたそうです。令和7年度に応用のみで受けた mltimasa0309 さんは、苦手な口腔断面図を手作りのカードで言えるようになるまで繰り返し、聴解のほうが少し良かったと振り返っています。

2. 誤りの種類を言葉で言えるようにする

mcylio さんは、何度も聞くうちに答えを覚えてしまうので、途中から本を見ずに、どこが間違っているかを頭の中で言える練習に切り替えました。目指したのは「音声を聞いた瞬間に、どこが間違っているのか判断できる状態」です。

ここは文字の問題でも準備できる部分です。私たちのアプリでは、過剰一般化や母語干渉といった誤用の考え方、ヴォイス・アスペクト・自動詞と他動詞などの文法、リキャストや明示的訂正といった教室でのフィードバックを、区分ごとの問題として解けます。解説の用語をタップすると用語辞書が開くので、聞いた誤りを何と呼ぶかを言葉で確かめる練習になります。一方で、アクセントの型の聞き分けや、調音点・調音法の表の練習は入っていないので、そこは1のようなやり方で別に積んでください。

3. 毎日、音声に触れる

mcylio さんは8月から通勤時間にできるだけ毎日、kokoro さんは車での移動中に音声問題を流し、lucky_impala119 さんは職場の昼休みにリスニングをしていました。まとまった時間より、毎日少しずつ耳に入れる形が多く見られます。

4. 倍速で慣らす

令和7年度に応用のみで受けた 嘉成 さんは「リスニングは、1.5倍速で聞いてました。」と書いています。mcylio さんは1.5〜2倍速で聞き、ふだんの速さで聞いたときに少し余裕を持てるようにしていました。本番の教師役が速かったという声とも合う準備です。

5. 1回だけ聞いて答える

最後は本番の形です。mcylio さんは練習でも音声を1回だけ聞いて答え、「何度も聞けばわかる」ではなく1回で判断する練習をしていました。聴解は1日の最後に来るので、直前期には、長く勉強したあとの夕方に通しで解いておくと本番の条件に近づきます。


【A】本番まで34日の人へ

11月8日まで、残りは34日です。聴解の練習は、短い時間を毎日積める形にできます。

  • 毎日の聴解: 通勤や昼休みの短い時間で、倍速で聞く日と、等速で1回だけ聞いて答える日を混ぜる
  • 前半の誤りの判定を固める: 聞いた誤りを「何の誤りか」まで言えるか確かめる。言えなかった用語は、文字の問題と解説で確認する
  • 表記に目を慣らす: サンプル問題のアクセントの書き方と、1題で2問の形を一度は見ておく
  • 本番の時間帯で通す: 最後の2週間のうちに一度、夕方に読解のあと聴解を続けて解いてみる

受験票は10月中旬(予定)にマイページで発行されます。A4で印刷して持参し、スマホの画面では受けられません。聴解は遅刻できないので、読解のあとの休憩ではトイレを早めに済ませておきましょう。

【B】来年度(令和9年度)に受ける人へ

令和9年度以降は CBT(コンピュータ)方式への移行が検討されていて、令和9年2月に CBT の試行調査(プレテスト、合否判定なし)が予定されています。詳細は令和8年10月頃に公表予定とされていますが、この記事の時点では確認できませんでした。令和9年度の日程と方式はまだ発表されていないので、聴解の出し方が変わる可能性もあります。

形式が変わっても変わらないのは、音声の知識と誤用の種類の知識です。mcylio さんが毎日の聴解を始めたのは8月からでしたが、その前の数か月で基礎を固めていました。来年度の人は、まず区分5(言語)の音声・文法の知識と、区分4(言語と教育)のフィードバックの用語を問題演習で固め、耳の練習はそのあとに毎日の習慣として足していく順番にすると、体験記の流れと同じになります。

基礎免除で応用だけを受ける人も、聴解は全員が受けます。応用試験は区分に分けた足切りがなく総合6割程度なので、読解と聴解の両方でバランスよく点を取る準備をしておきましょう。


まとめ:聴解は「知識で取れる前半」を落とさない

  • 聴解は 約50分・50問、16:10〜の最後の枠。遅刻できない
  • 形式はサンプルで3種類。問数は公式非公表、音声が1回なのは受験者・民間の情報
  • 得点率で見ると 5人中3人は聴解が読解より低く、2人は同じか聴解のほうが高い。戸惑った声はアクセント表記・1題で2問・タイプの混在
  • 本番は 解きながらマーク、分からない問題は割り切る。前半の誤りの判定を確実に
  • 練習は 知識 → 言葉 → 耳 → 速さ → 1回だけ の順で、毎日少しずつ

次回の第9回は、試験当日の戦術です。基礎・読解・聴解の時間配分と、1日を乗り切る準備を体験記から整理します。


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※この記事は2026年9月28日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や日程、CBT の試行調査の詳細は変わることや追加で発表されることがあるので、受験前に必ず文部科学省の日本語教員試験のページで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。げんさん・kokoro さん・嘉成さん・ゆきさんの記事には、講座・自サイト・アフィリエイトなどへのリンクが含まれます。ここでは聴解の解き方と練習の記述だけを取り上げています。

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