日本語教員試験の当日の戦術 基礎・読解・聴解の時間配分

令和8年度の日本語教員試験は11月8日(日)。この記事の公開日から数えて、本番まで33日です。
当日は、9:00の開場から聴解が終わる17:00まで、ほぼ1日がかりです。基礎試験120分、応用試験の読解100分、聴解約50分。体験記を読むと、知識は足りていたのに時間の使い方で崩れた人がいます。令和6年度に試験ルートで受けた fujita1339 さんは、基礎試験の途中をこう書いています。
「気がつくとあと残り1時間でまだ60問近く残っていました」
この連載は、令和6年度・令和7年度の日本語教員試験を受けた人の体験記33人分を第1回で読み込み、文部科学省の公式情報と突き合わせて、合格に効くやり方を全10回で整理しています。第9回の今回は、当日の時間配分と持ち物をまとめます。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、日本語教員試験の500問を、基礎試験の5区分の出題割合に合わせて配分しています。基礎は120分で100問、1問あたり約72秒で、しかも5区分それぞれで6割程度の得点が要ります。本番形式テストで合格率と弱点カテゴリをグラフで出すようにしたのは、時間に追われて解き残した区分が6割を割る、という落ち方を本番の前に見つけておくためです。
この回の主な読者は【A】令和8年度に出願済みの人です。来年度に受ける人へのひと言は、最後の節にまとめています。
11月8日の時間割を先に頭に入れる
令和8年度の試験案内にある時間割は次のとおりです(令和8年度 日本語教員試験 試験案内)。
- 開場 9:00〜9:40
- 基礎試験 10:00〜12:00(着席 9:40)
- 昼休憩 12:00〜13:00
- 応用試験・読解 13:20〜15:00(着席 13:00)
- 休憩 15:00〜15:40
- 応用試験・聴解 16:10〜17:00(着席 15:40)

押さえておきたいのは3点です。
- 遅刻の扱いが試験ごとに違う: 基礎試験と読解は20分までの遅刻なら受けられますが、時間の延長はありません。聴解は遅刻できません。
- 順番は「基礎 → 読解 → 聴解」: 令和6年度は基礎 → 聴解 → 読解でしたが、令和7年度から聴解が最後に移り、令和8年度も同じです。聴解は1日の最後、いちばん疲れた時間に来ます。
- 基礎試験が免除の人は昼に入る: 基礎試験免除の人は 12:00〜13:00 に入室し、読解から受けます。
受験票は10月中旬(予定)にマイページで PDF が発行されます。郵送はなく、スマホの画面を見せることもできないので、A4 で印刷して持って行きます。発行されたら、会場と着席時刻をその日のうちに確かめておきましょう。
令和6年度に受けた こすい さんは、寝坊と電車の乗り間違いが重なり、会場に着いたのは「着席10分前の9:30ごろ。」だったそうです。合格はしていますが、基礎試験の前に焦りを抱えるのは避けたいところです。
1問あたりの時間を秒で知っておく
試験時間を問題数で割ると、1問あたりの時間はこうなります(編集部の計算)。
- 基礎試験: 120分・100問 → 約72秒
- 読解: 100分・60問 → 100秒
- 聴解: 約50分・50問 → 平均約60秒(音声の再生時間込み。自分では配分できない)
読解は1問あたりの時間がいちばん長く、体験記でも、読解は時間に余裕があったという声が目立ちます。反対に、時間切れの話が出てくるのは基礎試験です。同じ日の3つの試験でも、時間の使い方の考え方はそれぞれ違います。
基礎試験(10:00〜12:00):解き残しを出さない
区分の足切りがあるので、最後の問題ほど大事
基礎試験の合格基準は、5区分それぞれで6割程度、かつ総合で8割程度です。しかも基礎が合格点に届かないと応用試験は採点されません。
この仕組みの下では、難しい問題で考え込んで最後のほうの問題を解き残すのが、いちばん危ない負け方です。「言語と社会」「言語と心理」はそれぞれ出題の約1割しかなく、数問の取りこぼしで区分の6割を割りかねません。どの区分の問題が後ろに並んでいても、最後まで目を通せる時間配分にしておく必要があります。
冒頭の fujita1339 さんは、文法の問題で時間を使い、残り1時間で60問近く残っていたと書いています。点数は画像のみで本文には書かれていませんが、結果は不合格でした。一方、令和7年度に試験ルートで合格した kokoro さん(日本語教師ナビ)は、基礎も読解も約30分余ったと書いています。同じ120分でも、差がつくのは解き方の準備です。
1周目は1問約1分、迷ったら印をつけて先へ
体験記と公式の時間から、編集部が組んだ基礎試験の回し方の例です。
- 1周目は1問約1分のペースで、全100問に必ずマークする
- 迷った問題には仮の答えをマークし、問題冊子に印をつけて先へ進む
- 残った時間(目安20分)で、印をつけた問題だけ見直す
1問1分なら、10:25に25問、10:50に50問、11:15に75問、11:40に100問が通過の目安です。この時刻を試験が始まったらすぐ問題冊子に書き込んでおくと、途中で遅れに気づけます。
kokoro さんは直前の1か月、過去問をマークシートで解き、小問1問1分で練習したうえで、こう書いています。
「迷う問題は印をつけて後回しにする練習も重ねました。」
本番でいきなりこの解き方をするのは難しいので、残りの1か月で一度は、120分・100問を通しで、時刻を見ながら解いておきましょう。私たちのアプリでも、本番形式テストで合格率と弱点カテゴリを確かめられます。通しで解いて、どの区分が6割を割りそうかを見ておけば、残りの日数をどの区分に使うかも決めやすくなります。
昼休憩(12:00〜13:00):基礎の答え合わせをしない
昼休憩は60分あります。ここでやらないほうがよいことを、体験記から拾うと次の2つです。
- 他の受験者と試験の内容を話さない: 令和7年度に応用のみで合格した Sumiko さんは、注意点として「試験休憩時間中に内容の話を他の受験者としないこと。」を挙げています。試験の問題は持ち帰れず、記憶による再現も含めて公開・共有が禁止されています。午後の試験に気持ちを切り替えるためにも、答え合わせはしないほうが無難です。
- 苦手分野を直前に見て不安を増やさない: 令和6年度に合格した KAORU さんは、苦手なアクセントは当日あえて見なかったと書いています。
休憩中は、午後の読解に向けて食事と水分をとり、トイレを済ませておく時間です。

読解(13:20〜15:00):15問ごとに25分
読解は60問・100分です。fujita1339 さんは、解答用紙が15問ずつ4つのブロックに分かれていることを使って、目標時刻を決めていました。
「ちょうど時間の目安として1ブロックが25分。」
13:20開始なら、13:45に15問、14:10に30問、14:35に45問、15:00に60問です。fujita1339 さんは、どの地点もおよそ10分前に通過できたと書いています。基礎で時間が足りなくなった同じ人が、読解では時刻の目安で立て直せています。
時間を残すための工夫も、体験記にいくつかあります。
- 1問1分で解いて見直しの時間を作る: 令和7年度に応用のみで合格した ひなた さんは、読解60問を1問1分で解いて見直しの時間を作ったと書いています(勉強を始めたころは1問3〜4分かかっていたそうです)。
- 確実に取れる問題から取る: 2回とも試験ルートで合格した げん さんは、「数少ない知識型問題を確実に得点する」ことを挙げ、判断の難しい問題に時間をかけすぎないようにしていました。
- 設問を先に読む: 令和7年度に試験ルートで合格した meiphan さんは、問題演習の途中から、長文より先に設問(問1〜問5)をざっと読むやり方に切り替えています。
最後の2択で迷い続けると、この25分の目安はすぐに崩れます。2択の絞り方そのものは第7回で詳しく扱いました。
読解が終わると、聴解の着席まで40分の休憩です。令和7年度に試験ルートで合格した うままい さんは、この休憩でトイレに列ができていたと書いています。聴解は遅刻できないので、トイレは早めに済ませておきましょう。
聴解(16:10〜17:00):止まらずにマークする
聴解は、自分で時間を配分できない唯一の試験です。約50分で50問、平均すると1問約60秒で、音声が進めば次の問題に移ります。民間の解説記事によると、音声は1回しか流れません(公式の案内文では未確認)。
体験記に共通しているのは、「止まらない」ことです。
- Sumiko さんのメモは「とりあえずマークして進むこと。」
- ひなたさんは、解きながらマークを埋め、「わからない問題は諦める、と割り切ることも重要」と書いています。
- kokoro さんは、分からない問題にチェックとメモを残し、終わったあとの見直しに備えていました。ただし、聴解のあとに見直しの時間があるかどうかは、公式の案内では確認できませんでした。1問ずつその場でマークしておくのが確実です。
1問を聞き逃しても、次の問題の音声はもう始まっています。迷った問題に気を取られて次の問題まで落とすのが、いちばんもったいない失い方です。令和6年度に基礎59点で不合格になり、令和7年度に養成機関ルートで合格した ゆき さんも、「聴解は正直塗り絵してしまった問題もありました。」と書いています。それでも令和7年度は応用85点で仮合格しています。全部を聞き取ろうとしないことも、立派な作戦です。
疲れへの備えも要ります。げんさんは、令和7年度は午前の基礎試験で消耗したあとに応用を受けることになり、かなりきつかったと振り返っています。直前の1か月に聴解の練習をするなら、夕方、長時間勉強したあとに1回だけ聞いて答える形で解いておくと、本番の条件に近づきます。
なお、私たちのアプリの日本語教員試験の問題は基礎の5区分の文字の問題で、聴解の音声問題は入っていません。誤用の種類やフィードバックの用語など、聴解の土台になる知識の確認に使い(アクセントの聞き分けや調音の問題は入っていません)、音声そのものの練習は1回だけ聞いて答える、1.5倍速で慣らすといった別のやり方で積んでください。聴解の練習法は第8回で扱いました。
持ち物と会場の準備
机の上に置けるものは、試験案内で決められています。

- 机の上に置けるもの(試験案内): 受験票、黒鉛筆(H・F・HB)・シャープペンシル、プラスチック消しゴム、鉛筆削り(電動・大型・ナイフは不可)、時計(辞書・電卓などの機能付き、秒針の音がするもの、スマートウォッチは不可)、眼鏡、ハンカチ、目薬、ティッシュペーパー(中身だけ)
- 飲み物: 蓋付きのペットボトルだけで、ラベルを剥がして足元に置きます
- 使えないもの: スマートフォン・スマートウォッチ・ウェアラブル端末・電子辞書・イヤホンなどは、身に着けているだけでも不正行為となり得ます。耳栓も使えません
体験記には、案内に書いていない小さな工夫も出てきます。
- 鉛筆: 令和7年度に応用のみで合格した 嘉成 さんは、2B は消しゴムで跡が伸びたとして「鉛筆はHBに限る、と私は思う」と書いています。上着がそのまま入るかばんも挙げています。
- 寒さ: うままいさんは、午前の教室が寒く、ひざ掛けでも足りなかったそうです。kokoro さんは座布団を持って行くことをすすめています。ひざ掛けや座布団を使えるかどうかは、当日の監督者の指示に従ってください。
- ハンカチ: 令和6年度に受けたゆきさんは、ハンカチは無地のものだけだったと書いています。
ゆきさんの令和6年度の記事には、ペットボトルは机に置けたとありますが、令和8年度の試験案内は「足元」です。体験記の細かい決まりは年度で変わることがあるので、最後は試験案内で確かめてください。
前日にやることは、受験票を印刷してかばんに入れる、鉛筆を削っておく、会場までの道のりと所要時間を確かめる、の3つで十分です。kokoro さんは直前も8時間眠ったと書いています。
※ kokoro さん・げんさん・嘉成さん・ゆきさんの記事には、講座・自サイト・アフィリエイトなどへのリンクが含まれます。ここでは当日の様子と解き方の記述だけを取り上げています。
来年度(令和9年度)に受ける人へ
令和9年度の日程と試験の方式は、まだ発表されていません。試験案内では、令和9年度以降は CBT 方式への移行を検討しているとされ、令和9年2月に CBT の試行調査(プレテスト、合否判定なし)が予定されています。詳細は令和8年10月頃に公表予定で、この記事の時点では公表を確認できていません(文部科学省 日本語教員試験に関すること)。
方式が紙から画面に変わるとしても、1問あたりの時間を知り、迷った問題で止まらないという考え方はそのまま使えます。勉強を始める段階から、解いた問題数と時間を記録し、1問あたりの時間を意識して問題演習を積んでおきましょう。私たちのアプリでは「間違えた問題だけ」に絞った解き直しができるので、通勤や昼休みのスキマ時間を苦手な区分に回せます。現職者の経過措置は令和10年度の試験が最後なので、自分のルートの確認も早めに。
まとめ:当日は「時刻」で動く
- 当日は 9:00 開場、17:00 まで。聴解は遅刻できない。受験票は10月中旬(予定)に発行、A4 で印刷
- 1問あたりは 基礎 約72秒・読解 100秒・聴解 平均約60秒
- 基礎は1周目1問約1分で全問マーク、迷ったら印をつけて先へ。区分の足切りがあるので解き残しを作らない
- 昼休憩は答え合わせをしない。苦手分野を見て不安を増やさない
- 読解は15問ごとに25分の目標時刻を書き込む
- 聴解は止まらずにマーク。分からない問題は割り切る
- 持ち物は試験案内どおりに。寒さ対策と、ペットボトルは足元
本番まで33日。残りの期間に一度は、本番と同じ時間割で通して解いておくと、当日の時計の見え方が変わります。
次回の第10回は連載の最終回です。基礎試験であと数点に泣いた人たちの原因と、直前に見直すチェックリスト、結果発表のあとの流れ(登録と実践研修)をまとめます。
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※この記事は2026年9月28日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度・日程・持ち物の決まりは変わることがあるので、受験前に必ず文部科学省の日本語教員試験のページと試験案内で確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。