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日本語教員試験の合格率の読み方 基礎から受けた人は35.7%

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

日本語教員試験の合格率の読み方 基礎から受けた人は35.7%

日本語教員試験の合格率を調べると、まず目に入るのは「67.5%」という数字です。3人に2人が受かる試験なら、そこまで身構えなくてもよさそうに見えます。

ところが、同じ文部科学省の発表を最後まで読むと、基礎試験から受けた人の合格率は 35.7%、その前の年は 9.3% でした。どちらも公式の数字です。違いは「誰を数に入れているか」だけです。

この連載「日本語教員試験 攻略シリーズ」は、第1回で合格・不合格の体験記33人分を読み込み、文部科学省の公式資料と突き合わせて進めています。第3回の今回は、合格率の数字を、自分に当てはまる形に読み直す 回です。

私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、日本語教員試験の500問を作る前に、この合格率の表を何度も読み返しました。基礎から受けた人のうち、基礎試験に受かった人は、ほぼ全員が応用試験にも受かっています。勝負は基礎試験です。アプリの500問を、基礎試験の5区分に公式の出題割合どおり配分しているのは、この数字を見たからです。

この記事は、11月8日の本番に出願済みの人(公開日から本番まで39日)と、来年度(令和9年度)に受けるつもりの人の両方に向けて書いています。後半で読者ごとに分けてまとめます。


「67.5%」には、試験を受けていない人も入っている

最初に、全体の数字を確認します(令和6年度 実施結果・令和7年度 実施結果、いずれも文部科学省)。

  • 令和6年度(2024年11月17日): 受験者17,655人・合格者11,051人・62.6%
  • 令和7年度(2025年11月2日): 受験者17,597人・合格者11,876人・67.5%

この「合格者」には、全試験免除者 が含まれています。現職の日本語教師で、以前の日本語教育能力検定試験に合格しているなどの条件を満たした人は、経過措置で基礎試験も応用試験も免除されます。この人たちは試験を受けずに合格扱いになり、受験者にも合格者にも数えられています。

  • 全試験免除者: 令和6年度 5,958人 → 令和7年度 2,852人

編集部で計算すると、全試験免除者は受験者全体の33.7%(令和6年度)→16.2%(令和7年度)、合格者の中では53.9% → 24.0% を占めていました。令和6年度の合格者の半分以上は、試験を受けていない人だったことになります。

つまり「合格率6〜7割」は、試験の難しさを表す数字としては使えません。免除の条件やルートの細かい話は第2回で扱ったので、ここでは「全体の率には受けていない人が入っている」ことだけ押さえてください。


免除の状況で分けると、見える景色がまったく違う

文部科学省の発表には、免除の状況で分けた表もあります。こちらを見ると、同じ試験とは思えないほど数字が違います。

  • 全試験受験者(基礎から受けた人): 3,947人中366人 9.3% → 3,796人中1,355人 35.7%
  • 基礎試験免除者(応用試験だけ受けた人): 7,750人中4,727人 61.0% → 10,949人中7,669人 70.0%
  • 上の2つの合計(全試験免除者を除く): 43.5% → 61.2%

基礎から受けた人と、応用試験だけ受けた人とでは、合格率が倍以上違います。基礎試験が免除になるのは、登録日本語教員養成機関の課程を修了した人や、経過措置の C・D ルートの人、前の年までに基礎試験に受かっている人などです。

資格取得ルート別の数字も見ておきます(合格率は「応用試験合格者÷受験者」)。

  • 試験ルート: 8.7% → 35.9%
  • 養成機関ルート: 令和6年度は該当者なし → 70.0%
  • C ルート: 60.8% → 70.2%
  • D-1 ルート: 60.3% → 67.6%
  • D-2 ルート: 63.7% → 74.1%
  • F ルート(現職者で基礎・応用とも受ける): 16.5% → 33.3%

現職の日本語教師でも、F ルートで基礎から受けた人の合格率は試験ルートと同じくらいです。経験の有無より、基礎試験を受けるかどうかで数字が分かれている と読めます。


基礎から受ける人の勝負は、ほぼ基礎試験

試験ルートの表には、基礎試験の合格者数も載っています。受験者 → 基礎合格 → 応用合格の順に並べると、次のようになります。

  • 令和6年度: 受験者3,681人 → 基礎合格323人 → 応用合格322人
  • 令和7年度: 受験者3,538人 → 基礎合格1,309人 → 応用合格1,269人

編集部で計算すると、試験ルートの基礎試験の合格率は 8.8% → 37.0%。一方、基礎試験に受かった人のうち応用試験にも受かった人は 99.7%(322/323)・96.9%(1,269/1,309) でした。

基礎試験に受からないと、応用試験は採点されません。実施結果の注にも「基礎試験が不合格の者は、応用試験を受験しても採点されないため除いている。」とあります。基礎から受ける人にとっては、全体の合否のほとんどが午前の120分で決まっている ことになります(もちろん、基礎に受かれば応用も必ず受かるという意味ではありません)。

基礎試験の合格基準は、試験案内で次のように決められています(令和8年度 試験案内)。

必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で6割程度の得点があり、かつ総合得点で8割程度の得点があること。

総合で8割に届くだけでは足りず、5つの区分のどれか1つでも6割程度を割ると不合格です。第1回でも触れたとおり、体験記には基礎試験を74〜75点で落とした人が3人いました。そのうち 日本語教師の卵 さんは、日本語教育能力検定試験の過去問で8割近く取れていても本番は75点だった経験から、こう書いています。

70点代であっけなく落ちます。

私たちのアプリでも、この「区分ごとの足切り」を意識して、出題割合の小さい「言語と社会」「言語と心理」にもそれぞれ50問を入れています。本番形式のテストを解くと、合格率の目安と弱点のカテゴリがグラフで出るので、総合点だけでなく どの区分が6割に届いていないか を確かめられます。


令和6年度と7年度で4倍近く違う理由は、公式には書かれていない

基礎から受けた人の合格率は、9.3%から35.7%へ、1年で4倍近くになりました。この差をどう読むかで、受ける人の気持ちはずいぶん変わります。

まず、文部科学省は差の理由を説明していません。そのうえで、分かっていることを並べます。

  • 受験者の感想: 令和7年度に受けた takumikdh さんは「令和7年度の基礎試験は前年より難易度が下がっていたと思います。」と書いています。ほかにも、令和7年度の基礎試験は取り組みやすかったと書いている受験者が複数いました
  • 民間の分析: 令和6年度の基礎は試行試験より深い知識が必要だった(京進ランゲージアカデミー)、令和7年度の基礎はオーソドックスな問題で難易度が下がった(日本語ジャーナル)という見方が出ています。いずれも民間の分析で、公式の見解ではありません
  • 合格基準の書き方: 令和6年度の試験案内は「6割」「8割」でしたが、令和7年度以降は「6割程度」「8割程度」になりました。令和6年度から試験案内には「年度ごとの難易度差等により合格基準の調整を行うことがあります。」とも書かれています(令和6年度 試験案内)。各年度に実際どこで線を引いたかは公表されていません

令和6年度に試験ルートで合格した o35xk さんは、9月から勉強を始めて合格したあと、その年の試験ルートの合格率が8%台だったと知り、「9月から勉強すんなよ!」と自分にツッコミを入れています。受かった人でも、後から数字を見て冷や汗をかいた年だったということです。

では、令和8年度(11月8日)はどちらに近くなるのか。公式の予告はなく、分かりません。令和6年度の「難しかった」という体験談をそのまま今年に当てはめるのも、令和7年度の35.7%を前提に安心するのも、どちらも根拠がありません。確かなのは、合格基準の中身(区分6割程度・総合8割程度)が変わっていないことです。


数字を読むときに間違えやすい3つのこと

1. 基礎試験だけ・応用試験だけの合格率は、公式には出ていない

「応用試験の合格率は◯%」という数字を見かけることがありますが、文部科学省の実施結果に基礎試験単独・応用試験単独の合格率は載っていません。この記事で出した「基礎合格率 37.0%」なども、公式の表から編集部が計算した値です。

2. 日本語教育能力検定試験の合格率と混ぜない

名前が似ている「日本語教育能力検定試験」(日本国際教育支援協会・JEES)は、別の試験です。令和7年度の検定は受験者1,958人(科目受験者を含む)・合格者579人でした(JEES 結果の概要)。単純に割ると約3割で、数字が近いので混同されがちですが、検定は国家資格「登録日本語教員」のための試験ではありません。「検定に受かれば国家試験が免除」になるのは、現職者で講習を修了したなどの経過措置の条件を満たす人だけです。

3. 合格率は、自分の合否を約束しない

35.7%は「3人に1人」ですが、区分の足切りがある以上、点数の取り方しだいで結果は変わります。基礎試験を74〜75点で落とした3人は、総合で8割にあと数点届かなかった人たちでした。合格率の高低より、自分が区分ごとに6割程度・総合で8割程度に届いているか のほうが、ずっと役に立つ数字です。


【出願済みの人へ】残り39日で、合格率の数字をどう使うか

11月8日に基礎から受ける人が比べるべきなのは、全体の67.5%ではなく、基礎から受けた人の9.3%と35.7%です。どちらの年に近くなっても慌てないように、目標は「合格率」ではなく 合格基準 に置きます。

  • まず、区分ごとの正答率を出す。総合点だけでは、足切りの危険が見えません
  • 6割程度に届いていない区分から埋める。「言語と社会」「言語と心理」はそれぞれ出題の約1割で、数問の取りこぼしが足切りに直結します
  • 総合で8割程度を超えているかを、本番と同じ120分で確かめる

私たちのアプリなら、間違えた問題だけに絞って解き直したり、忘却曲線に合わせて復習の問題が自動で出てきたりするので、残りの日数を穴埋めに使えます。

基礎試験が免除で応用試験だけ受ける人は、合格率61.0%・70.0%の側にいます。合格基準は「総合得点で6割程度」です。読解と聴解の対策は、第7回・第8回で詳しく扱います。受験票は10月中旬(予定)にマイページで発行されるので、A4で印刷して持参してください。


【来年度に受ける人へ】合格率より先に確かめること

令和9年度に受けるつもりの人は、合格率を見る前に、自分がどのルートで受けるのか(どの試験が免除になるのか) を確かめてください。ルートによって、見るべき合格率が35%前後なのか、70%前後なのかが変わります。ルートの見分け方は第2回にまとめています。

ほかに、今の時点で分かっていることは次のとおりです。

  • 令和9年度の日程・方式は、まだ発表されていません。令和9年度以降は CBT 方式への移行が検討中で、令和9年2月に CBT の試行調査(プレテスト・合否判定なし)が予定されています。詳細は令和8年10月頃に公表予定です(文部科学省 日本語教員試験のページ)
  • 現職者の経過措置は、令和10年度の試験が最後です(登録申請の手引き)
  • 令和8年度の結果は12月18日(金)に通知される予定です。3回目の数字が出れば、9.3%と35.7%のどちらが「ふつう」なのか、少し見えてくるはずです

来年度の人は、合格率の揺れに合わせて計画を変えるより、区分6割程度・総合8割程度を安定して超える状態を、時間をかけて作るほうが確実です。次回はその「時間」の話です。


まとめ

  • 全体の合格率62.6% → 67.5%には、受験せずに合格扱いになる全試験免除者が入っている(令和6年度は合格者の半分以上)
  • 基礎から受けた人の合格率は 9.3% → 35.7%、応用試験だけ受けた人は 61.0% → 70.0%
  • 試験ルートでは、基礎試験に受かった人の96.9〜99.7%が応用試験にも受かっている。勝負はほぼ基礎試験
  • 令和6年度と7年度の差の理由は公式には説明がなく、令和8年度がどちらに近くなるかも分からない
  • 基礎試験単独の合格率は公式に無い。検定(JEES)の合格率とは別物
  • 目標は合格率ではなく、区分ごとに6割程度・総合で8割程度という合格基準

次回予告

第4回は 勉強時間 です。体験記で勉強の合計時間を書いていた合格者は、わずか4人でした。その4人の数字と、平均を出さない理由、そして本番まで残り38日の直前計画と、来年度に向けた3か月・半年の計画の例をまとめます。


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※この記事は2026-09-28時点の公開情報をもとにしています。試験の日程・合格基準・免除の条件などは変更される場合があるため、必ず文部科学省の日本語教員試験のページや試験案内で最新の情報を確認してください。合格率の数字は文部科学省の実施結果から引用し、割合の一部は編集部が計算しています。体験記の引用は原文から行い、出典を明記しています。

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