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メンタルヘルス・マネジメント検定I種 論述頻出の指針を押さえる

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

メンタルヘルス・マネジメント検定I種 論述頻出の指針を押さえる

連載「メンタルヘルス・マネジメント検定 I種 攻略シリーズ」の第8回です。この連載は、第1回で I種の合格・不合格体験記33人分を読み込み、そこから見えた「論述で落ちない準備」を1回ずつ掘り下げています。

今回のテーマは、I種で何度も問われる 厚生労働省の指針・制度 です。4つのケア、ストレスチェック制度、職場復帰支援の5つのステップ、長時間労働者への面接指導、ハラスメント防止措置。この5つを、厚労省が公表している一次資料だけを根拠に、論述で「番号付きで挙げる」練習にそのまま使える形で整理します。

私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、I種では選択問題の形式の500問を用意しています(論述は対象外です)。指針には「事業場外資源」「高ストレス者」のような決まった言葉が多く出てきます。解説の用語をタップすると専用の用語辞書が開くようにしているのは、こうした言葉の定義をその場で確かめられるようにするためです。


なぜ「厚労省の一次資料」で押さえるのか

理由は3つあります。

  1. 試験の設計そのものが厚労省の指針を下敷きにしている。主催の大阪商工会議所は、2026年度の受験案内で、各コースの内容を厚労省策定の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を参考に構築したと明記しています(2026年度 受験案内PDF)。
  2. 合格者は「番号付きの箇所」を丸ごと覚えている。第1回でも紹介したとおり、論述では、あるテーマについてポイントをいくつか挙げさせる型の問題が多いと気づき、番号付きの箇所や表を、書いたり音読したりして覚えた合格者がいます(おざわ)。その番号の多くは、元をたどると厚労省の指針や手引きにある列挙です。
  3. 誰でも無料で原文を確かめられる。この記事では、厚労省が公表している資料を出典として示します。リンク先の原文と見比べながら覚えれば、言葉の細かいずれにも気づけます。

なお、論述の形式・字数・採点基準は公式には公表されていません。番号付きで挙げさせる問題が多い、キーワードの数が点数に効く、といった話は、受験記や民間の講座の情報です。


1. 労働者の心の健康の保持増進のための指針(4つのケア)

2006年3月に策定され、2015年11月にストレスチェック制度の導入に合わせて改正された指針です(厚労省 指針PDF)。I種では、この指針の骨組みを1枚の図で描けるかどうかが、論述の土台になります。

番号で覚える項目

メンタルヘルスケアを進めるときの留意事項(4つ)

  1. 心の健康問題の特性
  2. 労働者の個人情報の保護への配慮
  3. 人事労務管理との関係
  4. 家庭・個人生活等の職場以外の問題

心の健康づくり計画で定める事項(7つ)

  1. 事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明
  2. 事業場における心の健康づくりの体制の整備
  3. 事業場における問題点の把握とメンタルヘルスケアの実施
  4. 必要な人材の確保と事業場外資源の活用
  5. 労働者の健康情報の保護
  6. 計画の実施状況の評価と計画の見直し
  7. その他、心の健康づくりに必要な措置

計画は、衛生委員会または安全衛生委員会(衛生委員会等)で十分に調査審議して作ることが求められています。設置義務のない小規模事業場でも、労働者の意見が反映されるようにすることが必要とされています。

4つのケア

  1. セルフケア: 労働者自身がストレスに気づき、予防・対処する。管理監督者もセルフケアの対象に含める
  2. ラインによるケア: 日常的に部下と接する管理監督者が、職場環境等の改善と相談対応を行う
  3. 事業場内産業保健スタッフ等によるケア: 産業医等、衛生管理者等、保健師等、心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフが、セルフケアとラインによるケアを支え、計画の実施の中心になる
  4. 事業場外資源によるケア: 外部の機関・専門家の支援を活用する。ただし事業者が主体性を失わないように留意する

I種の受験者にとって見逃せないのは、3番目の「事業場内産業保健スタッフ等」に 人事労務管理スタッフ が入っていることです。I種はまさにこの立場の人を対象にしたコースです。指針は、人事労務管理スタッフの役割を、職場配置・人事異動・職場の組織などが心の健康に及ぼしている影響を把握し、労働時間などの労働条件の改善と適正配置に配慮すること、と位置づけています。

また指針は、事業場内メンタルヘルス推進担当者を選任するよう努めることとしていますが、解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ人(人事権を有する者)を選ぶのは適当でない としています。個人の健康情報を扱う役割だからです。

具体的な進め方(4本柱)

  1. メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供(労働者/管理監督者/事業場内産業保健スタッフ等)
  2. 職場環境等の把握と改善
  3. メンタルヘルス不調への気付きと対応(家族からの相談への対応を含む)
  4. 職場復帰における支援

心の健康に関する情報を理由にしてはいけない不利益取扱い(5つ)

  1. 解雇すること
  2. 期間を定めて雇用される者について契約を更新しないこと
  3. 退職勧奨を行うこと
  4. 不当な動機・目的による配置転換や職位(役職)の変更を命じること
  5. その他、労働契約法などの労働関係法令に違反する措置を講じること

個人情報の保護では、「労働者の同意」「事業場内産業保健スタッフによる情報の加工」「健康情報の取扱いに関する事業場内における取り決め」の3つの柱が立てられています。産業医等が事業者に情報を渡すときは、診断名や検査値などの生の情報ではなく、就業上の措置に必要な範囲に加工して伝える、という考え方です。

論述で「施策を挙げよ」と問われたときは、計画 → 4つのケア → 進め方の4本柱 → 個人情報保護・不利益取扱いの防止 の順に頭の中でなぞると、抜けを減らせます。合格者の中にも、手順を聞かれたら心の健康づくり計画をもとに答える、というルールを自分で決めていた人がいます(たなぼう)。


2. ストレスチェック制度(労働安全衛生法第66条の10)

2015年12月1日に施行された制度です(厚労省 制度説明PDF、厚労省 制度ページ)。

制度の目的(3つ)

  1. 一次予防(メンタルヘルス不調の未然防止)が主な目的
  2. 労働者自身のストレスへの気づきを促す
  3. ストレスの原因となる職場環境の改善につなげる

不調者を見つけ出すための制度ではなく 一次予防が主目的 という点は、選択問題でも論述でも狙われやすいポイントです。

実施の骨組み

  • 常時使用する労働者に、1年以内ごとに1回、定期に実施する(労働安全衛生規則第52条の9)
  • 調べる項目は3つの領域: 職場における心理的な負担の原因、心理的な負担による心身の自覚症状、職場における他の労働者による支援
  • 実施者は、医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士
  • 受検する労働者について人事権を有する者は、実施の事務に従事してはならない
  • 結果は実施者から 本人に直接 通知する。本人の同意なく事業者に提供することは禁止

高ストレス者と面接指導の流れ

  1. 実施者が、評価基準に沿って高ストレス者を選び、面接指導が必要かを判断する
  2. 実施者が面接指導の申出を勧める
  3. 労働者が事業者に申し出る(申出は結果の通知からおおむね1か月以内)
  4. 事業者が医師による面接指導を行う(申出からおおむね1か月以内)
  5. 事業者が医師の意見を聴く(面接指導からおおむね1か月以内)
  6. 必要に応じて、就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少などの就業上の措置を講じる

集団ごとの集計・分析 は努力義務です。ただし、職場環境の改善につなげるための仕組みなので、厚労省の資料は、できるだけ実施することが望ましいとしています。

ストレスチェック制度で禁止される不利益取扱い

  • ストレスチェックを受けないことを理由とした不利益取扱い(就業規則で受検を義務付け、受けない人を懲戒するのもだめ)
  • 結果の事業者への提供に同意しないことを理由とした不利益取扱い
  • 面接指導の要件を満たすのに申し出ないことを理由とした不利益取扱い
  • 面接指導の結果を理由とした解雇・雇止め・退職勧奨・不当な配置転換など

最後に、今年度ならではの注意です。2025年5月に公布された改正労働安全衛生法で、これまで「当分の間努力義務」だった50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化 されました。施行は2028年4月1日で、厚労省は小規模事業場向けの実施マニュアルを公表しています(厚労省)。I種は「2026年4月1日時点で成立している法令」で出題されるので、施行前でも範囲に入ると考えられます。ただし、今年度の試験でこの改正がどこまで問われるかは、この連載では確認できていません。


3. 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(5つのステップ)

2004年10月に公表され、その後改訂されている手引きです(厚労省 手引きPDF)。第1回で紹介した合格者の中には、図表、たとえば 復職のステップの図を、概略だけでも何も見ずに描けるようにした 人がいました(ツシマ)。まずはこの図から覚えましょう。

5つのステップ

  1. 病気休業開始及び休業中のケア
  2. 主治医による職場復帰可能の判断
  3. 職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
  4. 最終的な職場復帰の決定
  5. 職場復帰後のフォローアップ

実際の職場復帰は、第4ステップと第5ステップの間です。

論述で差がつく3つのポイント

1. 「プログラム」と「プラン」を書き分ける

職場復帰支援プログラムは、休業から復帰までの標準的な流れを定めた 事業場全体のルール です。職場復帰支援プランは、ひとりの休業者が復帰するときの復帰日や就業上の配慮などを定めた 個別の計画 です。プログラムは衛生委員会等で調査審議して作る、と指針(4本柱の4番目)にも書かれています。

2. 主治医の「復職可能」をそのまま採用しない

手引きは、主治医の判断は日常生活での病状の回復程度を見たものであることが多く、職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとは限らない、と注意しています。だからこそ第3ステップで、産業医等が主治医の意見を集め、本人の状態や職場環境を評価したうえで可否を判断します。あらかじめ主治医に職場で必要な業務遂行能力の情報を伝えておくことも勧められています。

3. 試し出勤制度等の3つの例

  1. 模擬出勤: 勤務時間と同じ時間帯に、デイケアなどで模擬的な軽作業などを行う
  2. 通勤訓練: 自宅から職場の近くまで通勤経路で移動し、しばらく過ごしてから帰る
  3. 試し出勤: 職場復帰の判断などを目的に、元の職場などに試験的に一定期間続けて出勤する

導入するときは、処遇や災害が起きたときの対応、人事労務管理上の位置づけを、あらかじめ労使で決めておくことが求められています。


4. 長時間労働者への医師の面接指導

脳・心臓疾患の予防を主な目的とする制度ですが、指針は長時間労働者への面接指導でも産業医等が中心的な役割を果たすことが望ましいとしており、メンタルヘルスとも深く関わります(岩手労働局 資料、厚労省 面接指導制度PDF)。

  • 一般の労働者: 週40時間を超えた時間外・休日労働が 月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる人が 申し出た 場合に、医師の面接指導を行う(労働安全衛生規則第52条の2)
  • 月80時間を超えた労働者には、その時間に関する情報を速やかに(おおむね2週間以内)本人に通知し、産業医にも情報を提供する
  • 研究開発業務に従事する労働者: 上記に加え、月100時間を超えた 場合は申出がなくても面接指導の対象(罰則あり)
  • 高度プロフェッショナル制度の対象者: 健康管理時間が省令で定める時間(週40時間を超えた時間が月100時間)を超えた場合に面接指導の対象

「80時間・申出あり」「100時間・申出不要(研究開発業務)」を対にして覚えると、選択問題の数字のひっかけにも強くなります。


5. ハラスメント防止措置

パワーハラスメントの3つの要素(あかるい職場応援団)

  1. 優越的な関係を背景とした言動であって
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

パワーハラスメントの6類型

  1. 身体的な攻撃
  2. 精神的な攻撃
  3. 人間関係からの切り離し
  4. 過大な要求
  5. 過小な要求
  6. 個の侵害

合格者の中には、列挙できる事柄をすべてノートに書き出し、赤シートで隠して覚えた人がいます。その例として挙げていたのが、このパワハラの6類型でした(えびねぎ日記)。

事業主が講ずべき措置の柱(厚労省)

  1. 事業主の方針の明確化と、その周知・啓発
  2. 相談に応じ、適切に対応するための体制の整備
  3. 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
  4. 相談者・行為者のプライバシー保護や、相談したことなどを理由とする不利益取扱いの禁止の周知

パワハラの防止措置は、大企業は2020年6月から、中小企業も2022年4月1日から義務 になっています。

カスタマーハラスメント(厚労省リーフレット)は、顧客などの言動のうち、業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害するものです。改正労働施策総合推進法(2025年6月11日公布)で事業主の防止措置が義務になり、施行日はこの記事の公開日と同じ2026年10月1日 です。これも2026年4月1日時点で成立済みの法令なので、今年度の出題範囲に入りうるテーマです。ただし、どこまで問われるかは、ここでも未確認です。


「番号付きで挙げる」練習のやり方

ここまでの列挙を、論述の練習材料に変える方法です。合格者のやり方を組み合わせると、次の手順になります。

  1. 見出しと個数だけを書いたカードを作る。たとえば「心の健康づくり計画で定める事項・7つ」「ストレスチェックの目的・3つ」「職場復帰支援・5ステップ」
  2. カードを見て、何も見ずに全部書き出す。紙と鉛筆で書く。本番で使えるのは鉛筆・シャープペンと消しゴムだけです
  3. 一次資料(この記事のリンク先)で答え合わせ し、抜けた項目に印を付ける
  4. 1項目ずつ「なぜ必要か」を1文で書き足す。キーワードごとに、概要・手順・メリットとデメリットを答えられるようにした合格者もいます(たなぼう)
  5. 図は描けるまで描く。4つのケアと5つのステップは、枠と矢印だけでも何も見ずに描けるようにしておく

自分用の確認リストとして、次の10問にすらすら答えられるかを試してみてください。

  1. メンタルヘルスケアを進めるときの留意事項を4つ
  2. 心の健康づくり計画で定める事項を7つ
  3. 4つのケアの名前と担い手
  4. メンタルヘルスケアの具体的な進め方の4本柱
  5. 心の健康に関する情報を理由にしてはいけない不利益取扱いを5つ
  6. ストレスチェック制度の目的を3つ
  7. ストレスチェックの実施者になれる職種
  8. 職場復帰支援の5つのステップ
  9. 長時間労働者の面接指導の要件(一般・研究開発業務)
  10. パワーハラスメントの3要素と6類型

列挙は書き出せても、選択問題では「どれが指針にない項目か」「申出の期限はどれか」のように、言い回しを少し変えて問われます。書く練習とは別に、問題の形でも確かめておくと安心です。私たちのアプリでは、全問の解説で正解の理由と各選択肢の正誤が示され、解説に出てくる「事業場外資源」「高ストレス者」などの用語をタップすると専用の用語辞書が開くので、定義をその場で確かめられます。分厚い本を別に読み込まなくても、選択問題の側は問題を解いて解説を読むことで理解まで進められる、という組み立てです。間違えた問題だけに絞って解き直せるので、覚えきれていない列挙がどれかも見えてきます。


まとめ:I種の頻出論点は「厚労省の列挙」を骨組みに覚える

  • 試験の内容は、厚労省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を参考に作られている
  • 指針は 留意事項4つ → 計画7つ → 4つのケア → 進め方4本柱 → 個人情報保護・不利益取扱いの防止 の順で覚える
  • ストレスチェックは 一次予防が主目的、結果は 本人の同意なく事業者に渡さない、申出を理由とした不利益取扱いは禁止
  • 職場復帰は 5つのステップ を図で描けるようにし、プログラムとプラン、主治医の判断の限界を押さえる
  • 50人未満のストレスチェック義務化とカスハラ防止措置の義務化は、成立済みの法令として今年度の範囲に入りうる

本番の11月1日まで、残りは約1か月です。列挙の暗記は、机に向かう時間は手書きのカードで、通勤などのスキマ時間は問題演習で、と分けると続けやすくなります。直前期や当日の休憩時間の見直しにも、そのまま使えます。

連載の第9回では、本番の時間配分と、手書きで時間内に書き切る練習の方法を取り上げます。


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※この記事は2026年9月24日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や出題範囲は変わることがあるので、受験前に必ずメンタルヘルス・マネジメント検定試験 公式サイトで確認してください。指針・制度の内容は厚生労働省の公表資料から要約し、リンク先に出典を示しています。体験記の内容は各記事の原文をもとにし、リンク先に出典を明記しています。

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