メンタルヘルス・マネジメント検定I種 選択問題で80点を取る

メンタルヘルス・マネジメント検定 I種の攻略シリーズ、第5回です。この連載では、I種の合格・不合格体験記33人分を読み込み、主催者(大阪商工会議所)の公式情報と突き合わせて、合格に効くやり方を整理しています。
ここまでの回で、I種の合否を分けるのはまず論述(25点の足切り)だ、という話をしてきました。ところが体験記を読んでいくと、論述の基準を超えたのに、選択問題で落ちた人 が何人もいます。
- 論述は28点で基準を超えたのに、「選択問題が11点足りませんでした」という人(rakentaa_0729)
- 論述の基準は超えたのに、「全体であと1点足らず・・・」だった人(mynote_k)
第5回の今回は、I種の選択問題(100点・2時間)を取り上げます。公式の模範解答から数えた 大問ごとの問題数、なぜ 80点 を目標にすべきか、そして合格者が実際にやっていた 過去問の回し方 をまとめます。
書き手のことを少しだけ。私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、I種については選択問題の形式のオリジナル問題を500問用意しています(論述の練習は入っていません)。体験記を読むと、受かった人は正解の番号を覚えるより選択肢のどこが誤りかを言えるように練習していたので、500問すべてに正解の理由と各選択肢の正誤の解説をつけています。
選択問題の形式:4択・50問・大問9つ
まず、公式に分かっている形式です。
- 配点と時間: 選択問題100点・2時間、そのあと休憩をはさんで論述問題50点・1時間(試験のご紹介)
- 合格基準: 選択と論述の合計が105点以上、かつ論述が25点以上。選択問題だけの基準点は設けられていません(同上)
- 問題数: 50問。大問が第1問から第9問まであり、その中の小問を合わせて50問です(公式の模範解答PDFで確認)
- 解答形式: 4つの選択肢から1つを選ぶマークシート。模範解答の数字は1〜4だけです
- 1問あたりの配点: 公式には書かれていません。100点÷50問なので均等なら1問2点ですが、これは推定です
主催者のサイトには、各回の選択問題の 模範解答(正解の番号だけ) が載っています。問題文は公開されていませんが、正解の一覧を見れば、大問ごとに何問あるかは数えられます。
大問ごとの問題数は、5回続けて同じだった
第31回(2021年)から第39回(2025年)までの5回分の模範解答PDFを数えると、大問ごとの問題数はまったく同じでした(第39回 模範解答、第37回、第35回、第33回、第31回)。

- 第1問 10問 / 第2問 4問 / 第3問 5問 / 第4問 4問 / 第5問 3問
- 第6問 8問 / 第7問 7問 / 第8問 4問 / 第9問 5問(計50問)
その前の第29回(2020年)は 9/5/4/4/2/8/8/5/5 と少し違っていたので(第29回 模範解答)、構成が永久に固定されているわけではありません。今年は出題の基準が第6版に変わった最初の回なので、なおさら「今年も同じ」とは言い切れません。
大問=章、は「推定」
I種の出題範囲は、次の9つの章に分かれています(大阪商工会議所)。
- 企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
- メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
- ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
- 人事労務管理スタッフに求められる能力
- メンタルヘルスケアに関する方針と計画
- 産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
- 相談体制の確立
- 教育研修
- 職場環境等の改善
大問も9つなので、「第1問=第1章、第2問=第2章…」と対応していると考えるのが自然です。ただし、主催者が大問と章の対応を説明した資料は見つかりませんでした。ここから先は推定の話として読んでください。
推定どおりなら、第1章(10問)・第6章(8問)・第7章(7問)の3つの章だけで25問、つまり選択問題の 半分 になります。逆に第5章は3問しかありません。章の分量と出題数は同じではないので、過去問を解くときは「どの章から何問出るか」を意識しておくと、時間の配分を決めやすくなります。
なぜ「80点」が目標なのか
I種の合格基準は、合計105点以上、かつ論述25点以上です。ここから計算すると、次のようになります。
- 論述が25点なら、選択は 80点 必要(105−25)
- 論述が30点なら、選択は75点
- 論述が35点なら、選択は70点
問題は、論述の点数を自分で読めないことです。主催者は論述の模範解答を発表しておらず、答案の開示や採点についての問い合わせにも応じていません(受験要項)。
そして、体験記で論述の点数を書いている合格者7人は、26・28・30・35・36・39点、そして「合格最低点+2点」(一人語り)。25〜30点のぎりぎり合格が多い のが実情です。論述は「25点を超えたかどうか」の勝負になりやすく、そのとき選択が80点に届いていなければ、合計105点を割ります。
実際の例を並べると、選択問題の重さがよく分かります。
- 論述26点で合格した yy_mogu さんは、結果を見て「択一で80点取っておかないと受からなかった!!!!」と書いています
- 2022年に合格した 上田晃穂 さんは、選択76点・論述36点・合計112点。選択が80点に届かなくても、論述で取れていれば受かります
- 逆に、2025年に論述28点を取った rakentaa_0729 さんは、選択が足りずに不合格でした
もうひとつ、rakentaa_0729 さんが指摘している大事な点があります。I種には 科目合格の制度がありません。論述で基準を超えても、翌年はまた選択からすべて受け直しです。本人はこれを「なんのアドバンテージもないのです。」と書いています。選択で80点を取っておくことは、論述の不確かさに対する保険 だと考えてください。
選択問題の難しさは「II種より少し上」
選択問題の難易度について、合格者の声はほぼそろっています。
- 「選択問題の難易度はというとⅡ種に毛が生えた程度」(たなぼう)
- 選択「90点台」で合格した人(じょにー)、論述22点で不合格になった社労士でもマークシートは90点(nyankichi0529)
つまり、過去問をきちんと回せば、80点台後半〜90点台は狙える 試験です。だからこそ「選択はなんとかなる」と油断しやすく、そこで落ちる人が出ます。
合格者の過去問の回し方
体験記から、選択問題の勉強法として具体的に書かれていたものを集めると、流れはほぼ同じでした。

周回数は3〜6周
- 企業内EAPの かい* さんは、過去問を3〜4周することを勧めています
- こか さんは合計6周。最後の周回は試験の1週間前でした
- ひぐ さんは約4周で正答率をほぼ100%に。たなぼう さんは4周(間違えた問題は5周)
- まーさん さんは、問題集を全部解く → 間違えた・迷った箇所だけ確認し直す → 最初から解き直す、を3セット
大問(章)ごとの正答率を記録する
周回の効果を上げていたのが、章ごとの成績を記録する 工夫です。
こかさんは、章ごとの点数をスプレッドシートに記録し、正答率が80%未満の章に色が付くようにしていました。その結果、「記録を見ると、6章以降が苦手だとわかったので、」6章以降を重点的に学習したそうです(こかさんは論述対策のノートを販売している筆者です)。
mynote_k さんは、「ルーズリーフに回答用紙を作って」、解いた日付も書き込んでいました(対策まとめ)。毎回間違えるところ、△を付けて迷ったところ、苦手な章が客観的に見えるので、そこを重点的に勉強できた、と振り返っています。
「なんとなく7割くらい」ではなく、章ごとに数字で残す のがポイントです。
記録を手で付けるのが続かない人は、アプリに任せる手もあります。私たちのアプリでは、本番形式のテストで合格率と弱点カテゴリをグラフで確認でき、間違えた問題は忘却曲線に合わせて復習に自動で出題されるので、「どこが苦手か」を自分で集計しなくても数字で見えます。
間違えた問題は「選択肢の誤りを直せる」まで
合格者が目指していたレベルは、正解の番号を覚えることではありません。
- こかさんの目標は「目指すレベル:設問文を読み、選択肢の誤っている箇所を指摘・修正できるレベル」
- ひぐさんは、「なぜ他の選択肢ではないのか、間違っているとしたら正しい答えは何なのかというところまで答えられるまで反復しました。」
- おざわ さんは、過去問を解く → 間違えた・迷った箇所を確認 → 殴り書きで暗記 → 翌日に解き直す、を繰り返しました
4つの選択肢それぞれについて「どこが違うのか」を言えるようにしておくと、同じ論点が別の言い方で出ても対応できます。しかも、選択肢の誤りを解説で確かめて直す作業は、そのまま論述で書くキーワード集めにもなります。
mynote_k さんは、繰り返すうちに「ひっかけ」の型が見えてきたと書いています。例として挙げているのは、法律の種類が違う、年代が違う、「〜は全くない」のように言い切っている、といったパターンです。

「最も適切/不適切」の読み違いと見直し
読み違いは、分かっていても起きる
rakentaa_0729 さんは、I種の選択問題には「最も適切なものを選べ」と「最も不適切なものを選べ」の両方があると説明したうえで、読み違いについて「これで毎回点数を落としています」と書いています(試験当日の記録)。
対策として体験記に出てきたのは、次のような方法です。
- 選択肢ごとに○×を付ける: mynote_k さんは、本番で選択肢1つずつに○×を書き込み、自信のある選択肢から組み合わせ問題を絞り込みました
- 自信の度合いで記号を分ける: ひぐさんは、過去問どおり正しい・誤り(◎・✕✕)、テキストどおり(○・✕)、誤りはなさそう(△)、分からない(?)と記号を使い分け、確かなものから選択肢を消していきました
どちらも、問題文の「適切/不適切」を確認してから、選択肢に印を付ける という順番を体に覚えさせる方法です。過去問を解く段階から、問題文の「不適切」に丸を付ける癖をつけておくとよいでしょう。
早く退出すると、見直しが雑になる
選択問題は2時間ありますが、多くの受験者は途中で退出します。開始から1時間前後で解き終える人が多く、退出できるのは開始30分後からです。
ただし、早く出ることには落とし穴があります。yy_mogu さんは、論述の勉強時間を確保しようと早めに退出し、見直しが雑になったと反省しています。自己採点では3問の間違いだったのが、実際には6問の間違いでした。
一方、たなぼうさんは約1時間半で退出し、見直しでマークミスを1問見つけています。1問の配点が均等なら2点です。合計あと1点で落ちた人がいる試験で、見直しの数分を削る理由はありません。
- 解き終えたら、「適切/不適切」の読み違いがないかを全問確認する
- マークシートの番号ずれを確認する
- 休憩時間に論述の見直しをしたい気持ちは分かりますが、それは見直しを終えてから
選択を軽く見て落ちた例
rakentaa_0729 さんの2025年の振り返りは、選択問題を勉強するすべての人に参考になります(勉強法の振り返り)。
この年は4月から要点整理の本をノートにまとめ、講座も受講して、論述は28点を取りました。それでも選択が足りずに不合格。本人は原因を「選択問題に対して「おごり」があったんだと思います。」と分析しています。
勉強が楽しく、理解が進んでいく手応えはあった。でも「もっと復習して「自分のもの」にするまで至っていなかったのです。」。
「理解できた」と「本番で選べる」は別物です。過去問を1〜2周して解説に納得した段階で止めず、章ごとの正答率が8割を超えるまで回す ことが、この失敗を防ぐいちばん確実な方法です。
今年度は、過去問だけでは足りない
最後に、2026年度ならではの注意点です。
過去問はすべて第5版以前の出題
第41回(2026年11月1日)の試験から、出題の基準は2026年6月に発行された第6版のテキストに変わります(大阪商工会議所のお知らせ)。
市販の過去問題集には、今年度向けに第6版の章立てで分け直したものもありますが、並べ方が新しくなっても、問題そのものは第5版以前の時期に出題されたもの です。
第6版の新テーマと、法改正・統計
主催者は、第6版に第5版発行以降の法令等の改正、統計調査の結果の更新、職場のメンタルヘルス対策をめぐる動向を盛り込んだと説明しています。出版元の紹介文では、新しく取り上げたテーマとして、各種ハラスメントに関する諸問題、小規模事業場のストレスチェック制度の導入、災害時のメンタルヘルスが挙がっています。過去問は旧版の時期の出題なので、こうした新テーマは過去問では演習できません。
さらに主催者は、次の2点を明記しています(試験のご紹介)。
- 「公式テキストに記載されている統計調査の最新の結果(公表済みのもの)などについて出題することがあります」
- 2026年度の試験は、2026年4月1日時点で成立している法令 に準拠して出題する(施行日ではなく成立日が基準)
2026年4月1日時点で成立している法改正には、50人未満の事業場へのストレスチェック義務化(2028年4月施行)、カスタマーハラスメント防止措置の義務化(2026年10月施行)などがあります。ただし、第6版がこれらをどこまで扱っているかは、この連載では確認できていません。法改正については第7回でくわしく取り上げます。
過去問の「正答率100%」を過信しない
過去問を回すほど、答えを覚えてしまいます。4周で正答率ほぼ100%というのは、合格者がたどり着いた状態ですが、同時に「その問題を覚えた」状態でもあります。今年は、
- 過去問で 章ごとの弱点を見つける
- 法令・統計は 2026年4月1日時点の最新の内容で確認する
- 初めて見る問題 で、理解が本物かを試す
という3つを組み合わせる必要があります。
3つ目の「初めて見る問題」には、過去問とは別に作られたオリジナル問題が向いています。冒頭で書いたナレッジバンドルの500問も、過去問とは別に作ったオリジナル問題です。正解の理由だけでなく各選択肢の正誤まで解説しているので、「選択肢の誤りを直せるか」を確かめる練習にも使えます。解説の用語をタップすれば専用の用語辞書が開くので、本を開かなくても、その場で用語の意味まで確かめられます。
まとめ:選択は「80点」を取りにいく
- 選択問題は 4択・50問・大問9つ。第31〜39回の5回は大問ごとの問題数がすべて同じ(10/4/5/4/3/8/7/4/5)
- 大問=章と推定すると、第1・6・7章で半分の25問(公式の説明はない)
- 論述はぎりぎり合格が多いので、選択は 80点 を目標にする。論述で基準を超えても、選択が足りなければ翌年また全部受け直し
- 過去問は 3〜6周。章ごとの正答率を記録 し、8割未満の章を重点的に解き直す
- 間違えた問題は、選択肢の誤りを指摘・修正できる まで確認する
- 「最も適切/不適切」は 選択肢に印を付ける前に確認。早めの退出より 見直し を優先
- 今年度は過去問がすべて旧版時代の出題。第6版の新テーマ・統計・法改正は別に補う
申込済みの人は、本番の11月1日まで約5週間です。論述の準備が本番ですが、選択の過去問を1回分解いて章ごとの正答率を出すところから、今週中に始めておくと安心です。来年(2027年11月)に受ける人は、第6版で出題された今年の問題が、来年の過去問題集に入ることも頭に入れておいてください。
次回の第6回は、いよいよ論述です。「論述で25点を取る書き方」として、キーワードを書き出してから文章にする型を、合格者の実例で見ていきます。
メンタルヘルス・マネジメント検定I種の500問をアプリで解くなら「ナレッジバンドル」

資格対策アプリ「ナレッジバンドル」には、メンタルヘルス・マネジメント検定I種のオリジナル問題500問がすべて入っています。スキマ時間に1問ずつ解いて、間違えた問題だけを繰り返せます。
- 全問に解説つき。解説の用語はタップでメンタルヘルス・マネジメント検定I種専用の用語辞書が開き、関連用語もたどれる
- 解説を読んでも引っかかったら、その問題をそのままAIに質問。Google検索もワンタップ
- 忘却曲線で復習を自動出題。「間違えた問題だけ」「未回答だけ」「ランダム」など出題の絞り込みも自由
- 本番形式テストで、いまの合格率と弱点カテゴリをグラフで確認
- 広告なし。全教材は無料体験できます
メンタルヘルス・マネジメント検定I種のほか、100以上の資格・検定(レビュー中含む)が1つのアプリで使い放題です。アプリ内の教材追加画面で「メンタルヘルス・マネジメント検定I種」と検索してください。
※この記事は2026年9月24日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や出題範囲は変わることがあるので、受験前に必ずメンタルヘルス・マネジメント検定試験の公式サイトで確認してください。大問ごとの問題数は公式の模範解答PDFから数えたもので、大問と章の対応は推定です。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。