ITパスポートに落ちた15人の原因と直前チェック

「ITパスポート 攻略シリーズ」の第10回、最終回です。この連載では、第1回で2025年以降に公開されたITパスポートの合格・不合格体験記42人分を読み込み、IPA(情報処理推進機構)の公式情報と突き合わせて、合格に効くやり方を整理してきました。
最終回は、42人のうち 不合格を経験した15人 に絞って読み直します。何が原因で落ちたのか、2回目で点数を伸ばした人は何を変えたのか。そのうえで、2026年12月27日までに受ける人のための 直前1週間・前日・当日のチェックリスト と、年内の再受験計画 をまとめます。
最終回なので改めて書くと、私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っているチームです。落ちた人の多くはあと1〜2問の差でした。アプリで間違えた問題だけに絞って解き直せるようにしているのは、その1〜2問につながる苦手を、本番の前に一つずつつぶせるようにするためです。
落ちた15人の多くは「あと1〜2問」だった
まず知っておきたいのは、不合格の多くが大差ではなかったことです。580〜595点で落ちた人が、15人のうち8人いました(2回目の点数を含む)。合格基準は総合600点以上なので、まさに「あと少し」です。
中学3年生で受験した ORIGIN さんは1回目が580点で、「あと20点。1,2問の差でした。」と書いています。595点で落ちた 学びも旅も、少しずつ の筆者は、「あと少しでも落ちは落ち。」と振り返っています(この記事はオンライン講座のアフィリエイトリンクがあり、生成AIで作成し筆者が編集したと明記されています)。
ただし、ITパスポートの採点はIRT(項目応答理論)で、正答数と点数の換算式は公開されていません。「◯問正解すれば合格」とは言えないので、ここでの「1〜2問差」は本人の実感として読んでください。
不合格の原因は8つの型に分かれる
15人が自分で書いた敗因を分類すると、次のようになりました(1人で複数に当てはまります)。

1. 1分野だけが極端に低い(6人)
ITパスポートは総合600点に加えて、ストラテジ・マネジメント・テクノロジの 3分野それぞれで300点以上 が必要です。総合で600点を超えても、1分野でも300点を切れば不合格です(iパス よくある質問)。
体験記では、マネジメント275点で落ちた人(F4)、テクノロジ370点の人(F13)など、足を引っ張った分野は人によってばらばらでした。地方公務員の 40代のメガネ さんは、得意なはずのストラテジ系がいちばん低く590点。本人は「完全に国家資格を舐めていました。」と書いています。
2. 「簡単」を信じた準備不足(5人)
勉強時間を数字で書いた不合格者3人は、いずれも20時間以下でした(約12時間・16時間くらい・約20時間)。合格者9人の中央値は約50時間です。2週間前に勢いで申し込んだ人、計算問題の演習をほぼしないまま受けた人もいました。
3. 古い版のテキスト・過去問(4人)
シラバス5.0の中古テキストで受けた人(F1)、2年前に買った過去問題集を使った人(F7)、令和7年度版の参考書で令和8年に受けた人(F11)がいます(F1 は じゅん・くるーにー さん)。本でも問題集でもアプリでも、使う問題が今のシラバスに合っていなければ、解いた分だけ古い範囲を覚えることになります。2024年4月の試験から生成AIが出題範囲に入り、2026年1月掲載の最新シラバスVer.6.5では下請法が中小受託取引適正化法(取適法)に置き換わっています。
4. 略語・用語が覚えられない(4人)
ERP・CRMのようなアルファベット3文字の略語や、普段使わないシラバス用語でつまずいた人が4人。2択まで絞っても最後に迷う、という書き方が目立ちました。
5. 答えを覚えて「理解したつもり」(2人)
過去問を繰り返すうちに、問題文を見ただけで答えが浮かぶようになる。それを「理解した」と取り違えるパターンです。詳しくは次の章で、2回目も同じ理由で落ちた例として取り上げます。
6〜8. 計算から逃げる・見直さずに退出・同じやり方で再受験(各1人)
2児の母の きのこmama さんは、1回目に計算問題の演習をほとんどせず、通しで解く練習もしていませんでした。合格後に「計算からは逃げられない、ということですね。」と振り返っています。
まっし さんの最大の後悔は「30分時間を余らせて退出してしまったこと」。結果は580点でした。解答を終えれば途中で退室できますが、一度出ると戻れません。
2回目で伸びた人は「やり方」を変えていた
不合格を経験した15人のうち、8人は再受験で合格しています。点数がわかる人の伸びは次のとおりです。
- F2 かとう さん: 570点 → 600点超
- F3 学びも旅も、少しずつ: 595点 → 635点
- F10 Sala さん: 525点 → 580点 → 640点
- F12 うさぴょん さん: 560点 → 580点 → 3回目で合格
- F14 ORIGIN さん: 580点 → 680点
共通していたのは、勉強時間を増やしたことよりも、やり方を変えた ことでした。
- F2: 1回目は新シラバスを十分に意識しておらず、ストラテジ系が400点台。2回目はストラテジを意識して見直し、本番は最初の60分で一通り解き、残り60分で最初から見直す配分で合格しました。1回目のあとは「こんなに勉強してもダメなのか……」と落ち込みつつ、「もし今回ダメでも、もう一度受ければいい」と気持ちを軽くしたそうです。
- F3: 1回目はマネジメント440点。敗因を、正解したら次へ進んでしまい復習が甘かったこと、弱点を数字で見ていなかったことと分析し、2回目は間違えた問題をできるまで繰り返しました。教材も勉強時間も増やしていないと書いたうえで、合格は「やり方を変えたからだと思っています。」。マネジメントは625点まで上がりました。
- F4: 1回目はテキストをほぼ読まず、計算問題の演習もほぼしないまま受けてマネジメント275点。2回目の実質7日間は、過去問サイトで苦手のプロジェクトマネジメントを洗い出し、公開問題を分野ごとに生成AIの解説つきで解き直し、計算問題も生成AIで特訓して、約1か月後に630点で合格しました。
- F10: 2回目に580点で落ちたあと、帰りのバスで泣き、1週間勉強を休んだそうです。そこから新シラバスを扱うYouTubeを耳で聴き、最後はアナログな単語帳で用語を固めました。気づいたのは「「聞いたことがある」と「分かっている」は違う。」ということでした。
- F12: 3週間おきに3回受験。3回目に向けて教材を替え、過去10年分の過去問を繰り返しました。
- F14: 1回目は教科書1周と付属問題150問ほど。不合格の当日に1週間後の試験を申し込み、2回目の1週間は付属問題を1日100問程度解いて680点。「問題を解き慣れることが1番大事」とまとめています。
F4 さんと F14 さんが2回目に力を入れたのは、本を読み足すことではなく、問題を解いて解説で理由を確かめること でした。合格者の側を見ても、42人の体験記で最も多かった型は、参考書は1〜2周で切り上げ、過去問サイトや問題アプリを主役にする というものでした。過去問サイトの名前を挙げた人は42人中20人います。営業マネージャーの ぽかぽか さんは、「もう問題を解いて慣れるしかないと思い」、いろいろなアプリで問題を解いたあと、最後は過去問サイトでテクノロジ分野だけをやり込んで合格しています。記事に参考書の名前は出てきません。会社員歴20年ほどの super_fairy757 さんも、参考書を通読せず、ほぼ過去問サイトの問題演習だけで約1週間で合格しました(本人は基本情報の勉強歴があり、「誰でも1週間で受かる、とは思わない」とも書いています)。
同じやり方で、2回目も落ちた例
反対に、やり方を変えずに2回目も落ちたのが F9 の 私の人生@まだ途中 さん(43歳・IT企業のバックオフィス勤務)です。
1回目は動画講座と参考書を2周ずつ。2回目は過去問サイトを中心に繰り返しましたが、また不合格。あとから振り返って、こう書いています。
「今思えば、答えを覚えていただけでした。」
3回目は、わからない用語をスプレッドシートに書き出し、声に出して確認しながら一つずつ調べる方法に切り替え、600点ちょうどで合格しました。
過去問を繰り返すこと自体は、合格者の多くがやっています。問題は、答えは言えるのに、なぜそうなるかを説明できない状態 のまま回数だけ重ねることです。再受験するなら、1回目と同じ教材・同じ解き方で回数だけ増やしていないかを最初に確認してください。
確かめ方は簡単で、正解した問題でも「ほかの選択肢がなぜ違うのか」を言えるかどうかを見ます。言えなければ、その問題はまだ答えを覚えているだけです。全問に正解の理由と各選択肢の正誤が書かれた解説のある問題集やアプリを使い、1問ずつ説明できるかを確かめながら進めると、F9 さんが3回目に切り替えた「一つずつ調べる」やり方に近い形になります。分からない用語を解説からそのまま用語辞書で引けたり、その問題をAIに質問できたりすれば、調べ物のために本やスプレッドシートを行き来する手間もかかりません。

12月27日までの再受験計画
再受験の待機期間はない
公式FAQによると、不合格のあと申し込めない期間は特にありません。受験日の翌日から次の試験を申し込めます(同時に複数回の申込はできません)。受験料は毎回7,500円(税込)で、返金はありません(iパス よくある質問、iパス 受験要領)。
2026年は「12月27日まで」が区切り
ITパスポートは、システムの入れ替えのため 2026年12月28日以降の試験を一時休止 します。2026年9月28日以降の新規申込で選べるのは 12月27日までの試験日 で、会場によってはそれより前に終わる場合もあります。2027年1月以降の実施については「2026年秋頃」にお知らせする、とされています(IPA 2026年5月以降の試験実施について)。
さらに、IPAは現行の試験制度を2026年度の試験で終える予定で、新しいITパスポートは2027年度春頃の予定です。分野が「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」に組み直されます(IPA 情報処理技術者試験の見直しの検討状況)。新制度の配点や合格基準はまだ公表されていません。
ここからは推測です。12月に受けて落ちた場合、次に受けられるのは新制度の試験になる可能性が高い と考えられます。今の教材でそのまま再挑戦できるとは限りません。
逆算するなら、2回受けられる日程で
体験記の再受験の間隔は、1週間後(F14)、不合格の3日後に申し込んで約1か月後(F4)、3週間おき(F12)とさまざまでした。これを踏まえて、年内に受ける人の計画を整理すると次のようになります。
- 1回目の試験は、11月中を目安に早めに置く。落ちても12月に2回目を受けられる余裕を残すため
- 試験が終わったら、画面に出た3分野の点数をその場でメモする(試験結果レポートは1年間ダウンロードできます)
- いちばん低い分野だけを、分野を絞った問題演習で集中的に解き直す。ナレッジバンドルでは、本番形式テストで弱点カテゴリをグラフで確認し、「間違えた問題だけ」に絞って解き直せます
- 120分100問の通し演習を1回はさんでから、2回目を申し込む
- 会場の予約は早めに。都内の土日は1〜2週間前だと満席だった、最寄り会場が11月まで埋まっていた、という体験記もあります
一方で、翌週すぐに受け直すのが良いとも限りません。545点・580点と2回落ちた人の相談に、掲示板の回答者が短い間隔での再受験を戒めている例もありました(ITパスポート試験ドットコム掲示板)。点数が伸びない原因をつぶす時間は取りましょう。
直前1週間・前日・当日のチェックリスト
公式の受験案内と体験記から、試験直前にやることを1枚にまとめました。

直前1週間
- 12月27日までの試験日で予約できているかを確認する。日程の変更は試験日の3日前までです
- 120分100問を、時間を計って通しで解く。本番はパソコンの画面で解くCBT方式なので、画面の操作に不安があればIPAが公開しているCBT疑似体験ソフトウェア(Windows 11 用)で確認できます
- 3分野それぞれの正答率を見て、低い分野から先に手を付ける
- 生成AIや取適法など、新しい用語をシラバスと照らして確認する
- 計算問題は、電卓なしでメモ用紙に手で解く練習をしておく
前日
- 確認票をダウンロードして印刷する。受験票は送られてきません。印刷できないときは受験番号・利用者ID・確認コードを控えます
- 顔写真付きの本人確認書類の原本を用意する(コピーやスマホアプリの社員証・学生証は不可)
- 会場までの道順と到着時刻を確かめる
- 新しい教材には手を出さず、間違えた問題だけ見返す
当日
- 時計・電卓・スマホはカバンにしまう。残り時間は画面に出ます
- メモ用紙とシャープペンシルは会場のものを使う。机に置ける水は無色透明のペットボトル1本で、ラベルを剥がしておきます
- 迷った問題は何か選び、見直し用のチェックを付けて先へ進む。空欄は残さない
- 時間が余っても、チェックした問題を見直してから終える
- 終了後に画面に出る点数は、まだ正式な合格ではありません。合格は経済産業大臣が決め、翌月に発表されます
持ち物と当日のルールは、iパス 試験当日の流れ で最新の内容を確認してください。
合格したら、次の資格は
ITパスポートの次に何を受けるかも、体験記にいくつか書かれていました。
基本情報技術者試験
合格後に基本情報技術者試験へ進んだ人が3人いました。基本情報は、IT製品やシステムを作る人向けの国家試験です。CBT方式で、科目A(90分・60問)と科目B(100分・20問)に分かれています(IPA 基本情報技術者試験)。基本情報も、ITパスポートと同じく 12月28日以降は一時休止 の対象です。
G検定・DS検定と「DX推進パスポート」
G検定・DS検定を先に取り、ITパスポートで3つそろえた人もいました(あ さん)。IPA・データサイエンティスト協会・日本ディープラーニング協会でつくるデジタルリテラシー協議会は、ITパスポート(2021年4月以降の合格者)・DS検定リテラシーレベル・G検定のうち、合格した数に応じてDX推進パスポート(1・2・3)のデジタルバッジを無料で出しています(デジタルリテラシー協議会)。
- G検定の次回(2026年第6回)はオンラインで11月6日(金)・7日(土)、個人の申込は10月29日(木)23:59まで(JDLA)
- DS検定の第14回は11月7日(土)〜22日(日)、個人の申込は10月23日(金)まで(データサイエンティスト協会)
連載10回のふり返り
最後に、10回で見てきたことを短くまとめます。
- 試験のしくみ: 120分100問、採点は92問。総合600点以上かつ3分野それぞれ300点以上。令和7年度の合格率は48.6%で、受験者の半分以上が落ちています
- 勉強時間: 数字を書いた合格者9人の中央値は約50時間。不合格者3人はいずれも20時間以下でした
- 教材: アプリ1つで完結できるものを選ぶ。基準は、今のシラバスに合っているか・解説で理由まで確かめられるか・スキマ時間に回せるか・復習の仕組みがあるか。合格者に最も多かった型も、問題演習が主役だった
- 解き方: 1問平均72秒。迷ったら何か選んで飛ばし、最後に見直す
- 分野別基準: 1分野だけ低いと落ちる。評価対象が18問と少ないマネジメント系は特に注意
- 新しい用語: 生成AIの用語は古い過去問だけでは出会えない。シラバスで拾い、解説つきの問題で確かめる。2027年度からは新制度
- 落ちたら: 分野別の点数を見て、やり方を変えて受け直す。年内なら12月27日まで
42人の体験記を読んで感じたのは、合否を分けたのは才能より、自分の弱点を数字で見て、やり方を変えられたかどうか だったということです。595点で落ちた人も、2回目にやり方を変えて635点で合格しています。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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※この記事は2026年9月25日時点の公開情報をもとにしています。試験の日程・制度・持ち物のルールは変わることがあるので、受験前に必ず iパス公式サイト と IPA で確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。