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ITパスポートの生成AI・新用語対策

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

ITパスポートの生成AI・新用語対策

「ITパスポート 攻略シリーズ」の第9回です。この連載では、第1回で2025年以降に公開された合格・不合格体験記42人分を読み込み、IPA(情報処理推進機構)の公式情報と照らし合わせながら、合格に効くやり方を整理してきました。

今回のテーマは 生成AI・AIの新用語 です。受験記を読んでいくと、参考書に載っていない言葉が出た、という声がくり返し出てきます。前半では、今のシラバス Ver.6.5 に載っている生成AI・AIの用語と、その確認のしかたをまとめます。後半では、2027年度から始まる予定の 新しいITパスポート(新iパス) で何が変わるのかを、IPAが公開したシラバス案とサンプル問題から見ていきます。

私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、知らない言葉でつまずく人が多いことは、問題を作るときにも意識しています。解説の用語をタップすると専用の用語辞書が開き、それでも分からなければその問題をそのままAIに質問できるようにしているのは、そのためです。


本番で「知らない言葉」に出会った人たち

42人の体験記のうち、参考書にない新用語やAI関連の問題を「難しかった」と書いた人は6人(合格者5人・不合格を経験した人1人)いました。本番のあとに、確認しておけばよかったと書いた合格者も4人います。

  • 2025年5月に公開された Yamahiro さんの受験記(総合835点で合格)は、反省点に「IPA公式シラバスをチェックしなかったこと」を挙げています。AI分野など、見たことのない問題に本番で振り回されたそうです。
  • 2026年8月1日に610点で合格した ほひ さんは、ストラテジ系がほぼ初見で、半分くらいが新しい用語だったという印象を書いています。ストラテジ系は475点でした。振り返りは「新用語の確認をしっかりしておくべきだった」。
  • 同じ8月1日に受験した アイリーン さん(試験結果レポートで合格基準を満たした段階。正式発表前)も、本番で知らない語句がたくさん出たと書いています。
  • 2026年9月初旬に800点台で合格した Latte014 さんは、ハルシネーションやアノテーションなど最新シラバスの単語をあいまいなままにしていたことを反省し、「最新語句チェック必須です」とまとめています。
  • ジョブホッパー宮崎 さんは、過去問と同じ問題は多くは出ず、AI・IoT・スマートシティといった新しい領域は過去問だけではカバーしきれない、と書いています。

理由ははっきりしています。IPAが公開する過去問(公開問題)は 年に1回・100問ずつ です。一方でシラバスには、生成AIをはじめとする用語が少しずつ追加されています。古い過去問をいくら回しても、新しく入った用語には出会えません。


生成AIが試験範囲に入ったのは Ver.6.2 から

シラバスの改訂の流れを、AIに関係するところだけ押さえておきます(IPA 試験要綱・シラバスについて)。

  • Ver.6.2(令和5年8月): 生成AIの項目と用語例を追加。2024年4月の試験から適用(IPA)
  • Ver.6.3(令和5年12月): DX推進に必要な知識(生成AIを含むAIの利活用など)
  • Ver.6.4(令和7年4月): プロバイダ責任制限法 → 情報流通プラットフォーム対処法
  • Ver.6.5(令和8年1月): 下請法 → 中小受託取引適正化法(取適法)

ネット上には、Ver.6.5で生成AIが追加されたと書いている記事もありますが、IPAの改訂履歴では 生成AIが入ったのは Ver.6.2 です。2023年以前に出た参考書や問題集には、生成AIの用語が載っていません。問題集でもアプリでも、使う教材が今のシラバスに合わせて作られているかを確かめてください。


シラバスVer.6.5に載っている生成AI・AIの用語

現行の シラバス Ver.6.5(PDF) を開くと、AIの用語は1か所にまとまっておらず、ストラテジ系とテクノロジ系の4か所に分かれて 載っています。

図の★は、IPAのサンプル問題や令和8年度の公開問題で実際に問われた語です。特に押さえたい用語を、ひと言で説明できる形にしておきます。

  • ハルシネーション: 生成AIが、事実と違う内容をもっともらしく作ってしまうこと
  • ディープフェイク: AIで作った、本物そっくりの偽の画像・動画・音声
  • ランダム性: 生成AIは同じ指示でも、毎回同じ答えを返すとは限らないという性質
  • 基盤モデル: 大量のデータで事前に学習させ、そのあとの追加の学習(微調整)で幅広い用途に使えるようにしたモデル
  • 大規模言語モデル(LLM): 大量の文章で学習した言語モデル。文章を作る生成AIの中心にある技術
  • プロンプトエンジニアリング: 意図した答えを得るために、AIへの指示の内容・与える情報・出力の形式などを工夫すること
  • ヒューマンインザループ(HITL): AIの判断の流れの中に人間が入り、確認や修正をする仕組み
  • AIサービスのオプトアウトポリシー: 利用者が入力したデータを、AIの学習に使わないよう求められるようにする方針
  • プロンプトインジェクション攻撃: 細工した指示をAIに入力して、本来はしない動作や答えを引き出す攻撃
  • 敵対的サンプル: 人にはほとんど分からない細工を加えて、AIに誤った判断をさせる入力データ
  • アノテーション: 教師あり学習のために、データに正解となる情報(ラベル)を付ける作業

このほか法務の分野には、AIが学習に使うデータや、AIが作ったものを著作権の観点で注意する必要がある という項目も入っています。


IPAの生成AIサンプル問題と、令和8年度の出題

生成AIに関するサンプル問題(3問)

IPAは Ver.6.2 の公表にあわせて、2023年8月に 生成AIに関するサンプル問題(PDF) を3問公開しています。

  • 問1: システム開発で生成AIを使う例として正しいものを選ぶ(正解は、対象業務や出力形式を自然言語で指示し、E-R図や処理フローを描くコードを出力させる選択肢)
  • 問2: 事実と違う情報をもっともらしく生成する現象の名前を選ぶ(正解は ハルシネーション。ほかの選択肢はアノテーション・ディープフェイク・バイアス)
  • 問3: 基盤モデルの特徴を選ぶ(正解は、広く大量のデータで事前学習し、その後の微調整で幅広い用途に適応できる、という選択肢)

問2の選択肢は、どれもシラバスに載っている語です。似た用語を並べて、どれが何かを区別できるか を問う作りになっています。

令和8年度の公開問題に出たAI関連の問題

最新の 令和8年度 公開問題(100問)を見ると、AIに関係する問題は少なくとも6問ありました。

  • 問1(ストラテジ系): 生成AIで作った曲について、著作権者の許諾が必要になる可能性があるものを選ぶ。正解は、好きなアーティストの曲に似せる目的で作り、ネットで公開したケースだけ
  • 問16: 教師あり学習で、正解となる情報を付ける作業 → アノテーション
  • 問17: AIを使うときの留意事項(人に危害を及ぼす可能性・差別的な判断・プライバシーの侵害)→ 3つとも正しい
  • 問27: 「強いAI」と「弱いAI」のうち、弱いAIの説明を選ぶ
  • 問82(テクノロジ系): バックプロパゲーション で行われていること → 各ノードの重みを調整して誤差を小さくする
  • 問98: プロンプトエンジニアリング の説明を選ぶ

問16・82・98は、用語の意味を1文で言えればそのまま解ける問題です。一方、問1と問17は「適切なものだけを全て挙げたもの」の形で、用語を知っているだけでなく、場面に当てはめて考える力 が問われています。前述のとおり、用語をひと言で説明できるか を、まず目標にしてください。


新用語の確認のしかた:シラバス・動画・生成AI

体験記では、新用語の確認をしたうえで合格した人が6人いました。やり方は大きく3つに分かれます。

1. シラバスのPDFを直接見る

2026年6月に835点で合格した らーゆ さんは、総復習の段階でシラバス Ver.6.5 を確認しています。シラバスは全部読む必要はありません。AIの利活用・AIの技術・セキュリティの攻撃手法・法務(著作権)の「用語例」だけを拾い、ひと言で説明できない語に印を付ける と、確認すべき語がすぐにしぼれます。

2. 用語の解説動画を「耳」で使う

東京自習会 のしゅりさんは、直前にAI関連の新用語だけを説明するYouTube動画を流し込み、テキストにない用語の問題に2問ほど対応できたそうです。システム部署に異動した mmc さんは、会場へ向かう電車で最新シラバスの新用語まとめ動画を見て、それが試験にも出た印象だと書いています。3回目で合格した Sala さんも、すき間時間に新シラバスを扱う動画を耳で聴いていました。

ただし、タイトルに「令和6年度」などと入った古い動画は、Ver.6.4・6.5で変わった部分を含みません。動画は用語に慣れるための補助 と考え、公開日を確かめてから使いましょう。

3. 生成AIに噛み砕いてもらう

IT企業に転職して2年半の めぐ さんは、最新シラバスを生成AIに読ませて、直前に押さえるべき点を聞いたそうです。ほかにも、分からない用語を「中学1年生でもわかるように」説明させた 村中仁斗 さんなど、生成AIを家庭教師のように使った受験記が複数ありました。

ここで気をつけたいのが、今回のテーマそのものである ハルシネーション です。生成AIの説明がいつも正しいとは限りません。AIに聞いた説明は、シラバスの記述や、問題の正解・解説と照らし合わせて確かめましょう。なお、試験会場には電子機器を持ち込めないので、生成AIが使えるのは勉強中だけです。

おすすめの順番をまとめると、①シラバスで語を拾う → ②動画や生成AIで意味をつかむ → ③解説つきの問題で、問われ方を確かめる です。

③は、用語を「知っている」から「選択肢を切れる」に変える段階です。私たちのアプリ「ナレッジバンドル」では、解説に出てきた用語をタップすると専用の用語辞書が開き、引っかかった問題はそのままAIに質問することもできます。全問の解説に、正解の理由と各選択肢の正誤が書かれているので、似た用語どうしの区別を、問題を解きながら確かめられます。②の意味をつかむ(用語辞書・AIへの質問)と③の問われ方を確かめる(解説)が1つのアプリの中で済むので、新用語のために参考書を買い足す必要はありません。


2027年度からの新しいiパスで変わること

IPAと経済産業省は、2027年度から新しい試験制度に移る予定 です。IPAのページには「現行試験制度については、2026年度の試験実施をもって終了する予定です。」と書かれていて、新しいiパスは 2027年度春頃 に始まる予定です(IPA 見直しの検討状況)。

変わること・変わらないこと

  • 変わらない: 試験時間120分・出題数100問
  • 分野の組み直し: 今の「ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系」から、「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」へ
  • 新しく入る: 「DXで求められるマインド・スタンス」と「データマネジメントの基礎」
  • 強化される: IPAは「AI時代に対応したセキュリティ・倫理の出題を強化」するとしています

シラバス案に入った新しい用語

2026年8月31日に、新しいiパスの シラバス案 Ver.0.1(PDF) が公開されました。AIまわりでは、今の Ver.6.5 にない次のような語が入っています。

  • RAG(検索拡張生成): 外部の文書を検索し、その内容をふまえて答えを作る方法。案では「RAG による知識連携」という形でも出てきます
  • AIエージェント: 目標を与えると、AIが自分で手順を考えて作業を進める仕組み。案では「自律性と人間の関与」や、AIが安全・倫理・法令から外れないようにする歯止め(ガードレール)とセットで載っています
  • AI事業者ガイドライン: 総務省と経済産業省がまとめた、AIを開発・提供・利用する事業者向けの指針(経済産業省)
  • そのほか、AIトランスフォーメーション(AX)、トークン、コンテキスト内学習など

ハルシネーション・ディープフェイク・ヒューマンインザループ・プロンプトインジェクションといった今の用語も、案の中に引き続き入っています。今覚えている用語は、新しい試験でもむだになりません。

もう一つ目を引くのが、プログラミングの扱いです。IPAの 出題範囲等の改定案(PDF) の表では、「アルゴリズム・プログラミング」を含む「システムの開発・運用」の分類に、iパスの出題範囲の印が付いていません。シラバス案のPDFにも「プログラミング」の語は見当たりませんでした。ただし、どちらも 案の段階 なので、確定した変更として受け取らないようにしてください。

新しいiパスのサンプル問題(4問)

同じ日に サンプル問題(PDF) も4問公開されています。

  • 問1(マインド・スタンス): 失敗を不安に思って動けないメンバーへの助言として適切な対応 → 失敗が許される範囲の小さなサイクルで改善し、フィードバックを得ながら進める
  • 問2(データマネジメント): 「データのサイロ化」の説明 → 部門ごとのデータがつながらず、組織を横断して参照・統合できない状態
  • 問3(データマネジメント): 顧客データのメタデータにあたるもの → 顧客番号の採番ルールや粒度の説明
  • 問4(情報倫理・AI倫理): 生成AIサービスを業務で使うときの留意事項(機密情報を入れると秘密保持契約に触れるおそれ、個人情報を入れると第三者提供にあたるおそれ、得られた情報に誤りが含まれるおそれ)→ 3つとも適切

問4は、今の試験の問17(AIの留意事項)と同じ「全て挙げたもの」形式で、より業務の場面に寄せた問い方です。なお、IPAはこのサンプル問題について、「新たな出題分野、出題形式のイメージを共有するために作成、公表するもの」で、本番と同じ作成・チェックの手順は経ていないと説明しています(IPA サンプル問題のページ)。

新しい試験の配点・合格基準はまだ出ていない

新しいiパスの 配点・合格基準・分野ごとの問題数は、2026年9月25日時点で公表されていません。分野別の足切りがなくなる、簡単になる、といった話を見かけても、公式の発表を待ってください。新制度に対応した参考書も、この時点では見当たりません。


今受けるなら、どこまでやるべきか

ここまでをふまえた基本線は次のとおりです。

  • 年内に今の試験で受ける人: 対策は Ver.6.5 の範囲で十分です。RAG・AIエージェント・AI事業者ガイドラインは今のシラバスにない語なので、優先度は低めです。まずは Ver.6.5 の用語を ひと言で説明できる 状態にしましょう。
  • 2027年以降に受ける人: 新しいiパスの正式なシラバスと、新制度に対応した教材を待つのが確実です。今のうちにやるなら、シラバス案とサンプル問題に目を通しておく程度で十分です。

日程にも注意が必要です。9月28日以降の新規申込で選べるのは 2026年12月27日までの試験日 で、12月28日からはシステムの入れ替えのため試験が一時休止 されます(会場によってはそれより前に終わります)。2027年1月以降の実施については、IPAが「2026年秋頃」に案内するとしています(IPA)。IPAが今の制度を2026年度で終えるとしていることから、12月に不合格になると、次は新しい制度での受験になる可能性が高い と考えられます(公式に明言されたものではありません)。今の試験で受けるなら、再受験の余裕をもてるよう早めに日程を押さえるのが安心です。


まとめ

  • 体験記では、参考書にない新用語・AIの問題 に本番でつまずいた人が少なくない
  • 生成AIが範囲に入ったのは Ver.6.2(2024年4月の試験から)。Ver.6.5では用語が4か所に分かれて載っている
  • 令和8年度の公開問題でも、アノテーション・バックプロパゲーション・プロンプトエンジニアリング・生成AIと著作権などが出ている
  • 新用語は シラバスで拾い、動画や生成AIで意味をつかみ、解説つきの問題で確かめる。生成AIの説明は問題の正解・解説やシラバスと照らし合わせる
  • 2027年度からの新しいiパスでは、分野が「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」に組み直され、RAGやAIエージェントなどが加わる予定。ただし配点・合格基準は未公表

次回はいよいよ最終回です。不合格を経験した15人の原因を整理し、直前1週間・前日・当日のチェックリストと、12月27日までに再受験する場合の計画をまとめます。あわせて、連載全体をふり返ります。


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※この記事は2026年9月25日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や日程、新しい試験制度の内容は変わることがあるので、受験前に必ずIPAのITパスポート試験のページとiパス公式サイトで確認してください。過去問・サンプル問題の内容は IPA が公開している問題(令和8年度 ITパスポート試験 公開問題、ITパスポート試験 生成AIに関するサンプル問題、新試験制度の ITパスポート試験 サンプル問題)をもとに要約しています。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。

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