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ITパスポート テクノロジ系対策:セキュリティと擬似言語

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

ITパスポート テクノロジ系対策:セキュリティと擬似言語

この連載は、ITパスポート試験(iパス)を2025年以降に受けた42人の合格・不合格体験記を第1回で読み込み、IPAの公式情報と突き合わせて対策を整理しているシリーズです。第8回の今回は、3分野のうち問題数がいちばん多い テクノロジ系 を取り上げます。

テクノロジ系は、IT企業に勤めていない人がいちばん苦戦する分野です。体験記を読むと、ストラテジとマネジメントは仕事の経験で何とかなったのに、テクノロジだけ点が伸びない、という声がくり返し出てきます。そこで今回は、令和8年度の公開問題でテクノロジ系に何が出たのかを数え、どこから手を付けるか、そして意見が割れる「擬似言語(プログラミング)の問題は捨ててよいのか」を考えます。

書き手の私たちは、資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っています。令和8年度の公開問題では、テクノロジ系46問のうち18問がセキュリティでした。用語の数が多い分野を少しずつ固められるように、アプリでは忘れかけた問題を忘却曲線にそって自動で出し直すようにしています。


テクノロジ系は評価対象42問で最多。令和8年度は46問のうち18問がセキュリティ

まず公式の数字です。iパスは100問出題されますが、採点に使われるのは92問で、残り8問は今後の出題のための評価用です。92問の分野別の内訳は ストラテジ系32問・マネジメント系18問・テクノロジ系42問 で、テクノロジ系が最も多くなっています(IPA 試験要綱 Ver.5.6)。

合格には総合600点以上に加えて、3分野それぞれで300点以上が必要です。採点はIRT(項目応答理論)で、問題ごとの配点割合は公表されていません。そのため「テクノロジ系で◯問取れば大丈夫」とは言えませんが、問題数が最も多い分野を苦手のまま本番に行くのは危ない ことは確かです。

IPAが公開している令和8年度の公開問題100問では、問55〜問100の46問がテクノロジ系でした(評価対象外の問題も含むので、42問より多くなります)。46問を、過去問解説サイト「ITパスポート試験ドットコム」の論点分類をもとに数えると、次のようになります(ITパスポート試験ドットコム 令和8年度。分類は民間のもので、IPAが分野の内訳を発表しているわけではありません)。

46問のうち18問、約4割がセキュリティ です。2番目のネットワークとコンピュータ・システムが6問ずつなので、セキュリティだけが飛び抜けています。テクノロジ系の対策は、まずセキュリティから始めるのが筋です。


テクノロジ系で落ちた人、苦戦した人

体験記42人のうち、テクノロジ系が足を引っ張ったとはっきり書いている人を見ていきます。

  • Liliscend さん(F13)は、マネジメント500点・ストラテジ450点に対し、テクノロジ370点 で不合格。本人の分析は「敗因は明確でした。テクノロジ分野です。」でした。
  • ITパスポート試験ドットコムの掲示板に投稿した もちさん(F15)は、1回目545点(テクノロジ420)、1か月勉強し直した2回目も580点(テクノロジ465)で不合格。「テクノロジは知らない言葉もあり」、全然わからなかったと書いています。
  • 合格者でも、公務員からIT企業へ転職して2年半の めぐ さん(T21)は、ぎりぎりの合格で「テクノロジ系、ちゃんと足を引っ張っている。」と振り返っています。

特に苦しいのが非IT系の人です。情報処理試験を扱うブログの運営者である 福祉ITラボ(T03・記事にAmazonアソシエイトのリンクあり)は、受験後に「非IT系にとってテクノロジ系の問題は悩みの種だと思います。」と書いています。

営業マネージャーで、育児をしながら8か月かけて615点で合格した ぽかぽか さん(T25)は、ストラテジとマネジメントは仕事に通じる部分が多くサクサク進んだ一方、テクノロジについては「知らない専門用語、アルファベットの略語で全く頭に入ってきませんでした。」。それでも複数の問題アプリで解き進め、最後は過去問サイトの分野別の演習で テクノロジ分野だけをやり込んで 合格しています。記事に挙がっている教材はアプリ・過去問サイト・無料の模試・動画で、参考書の名前は出てきません。苦手な分野でも、問題を解いて解説を読む繰り返しで立て直せる、という例です。

逆に言えば、非IT系の社会人は、ストラテジ・マネジメントで仕事の経験を使える分、テクノロジに時間を多めに回せます。体験記でも、仕事の経験で2分野を支えて、テクノロジに時間を割いた合格者が複数いました。


セキュリティ:令和8年度に出た論点と覚え方

令和8年度の公開問題でセキュリティに分類される問題には、次のような論点がありました(問番号は令和8年度公開問題)。

  • ランサムウェア対策(問63)、マルウェア感染の防止(問83)
  • リスクベース認証(問71)、バイオメトリクス(生体)認証(問80)
  • PKI(公開鍵基盤)(問90)、ハッシュ関数(問91)
  • ゼロトラスト(問92)
  • ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)(問93・問100)
  • SQLインジェクションを防ぐ文字列処理(問95)
  • 特定の標的を狙い続けるサイバー攻撃(APT)(問96)、無線LANのWPA2(問59)、IoTのセキュリティ(問55)、物理的セキュリティ対策(問94)

用語を並べると多く見えますが、「何を守るための、どんな仕組みか」を一言で言えるようにする と整理しやすくなります。たとえば次のような形です。

  • リスクベース認証: いつもと違う端末や場所からログインしたときだけ、追加の確認を求める
  • PKI: 認証局が発行する電子証明書で、公開鍵が本人のものだと保証する
  • ハッシュ関数: データから決まった長さの値を作る。元のデータには戻せず、内容が1文字でも変わると値が変わるので、改ざんの確認に使う
  • ゼロトラスト: 社内ネットワークの中でも無条件には信用せず、アクセスのたびに確認する
  • SQLインジェクション: 入力欄にSQL文を紛れ込ませてデータベースを不正に操作する攻撃。入力された特殊な文字を無害な文字に置き換える処理などで防ぐ

民間の対策記事でも、テクノロジ系で落ちやすいパターンとして、セキュリティを名称の暗記だけで済ませることが挙げられています(資格ブートキャンプ)。選択肢は「どの説明が正しいか」を問う形が多いので、名前を知っているだけでは2択まで絞ったところで迷います。問題を解いたら、正解の理由だけでなく ほかの選択肢がなぜ違うのか まで解説で確かめておくと、似た用語どうしの区別がつくようになります。

また、現行のシラバス Ver.6.5 には、セキュリティの用語として 「プロンプトインジェクション攻撃」「敵対的サンプル」 も入っています。生成AIまわりのセキュリティ用語は古い版の問題には出てこないことがあるので、今のシラバスに合わせた問題と解説で確認しておきましょう(生成AIの用語は第9回でくわしく扱います)。


ネットワーク・データベース:役割で覚える

令和8年度のネットワークは6問で、DNSサーバの役割(問65)、電子メールの送受信に使うプロトコル(問68)、Bcc欄(問75)、LPWA(問76)、省電力のBluetooth規格=BLE(問81)、キャリアアグリゲーション(問64)が出ました。

ネットワークは、IPアドレスの計算のような難しい話より、仕組みの役割を問う問題 が中心です。DNSはドメイン名とIPアドレスを対応づける、SMTPはメールの送信、POPやIMAPはメールの受信、というように、「何のためのものか」を一言で言えれば解ける問題が並んでいます。LPWA・BLEのようなIoT向けの通信は、少ない電力で遠くまで届く(LPWA)、少ない電力で近くとつながる(BLE)、という特徴で覚えます。

データベースは4問で、外部キー(問57)、正規化(問69)、表にデータを追加する順序(問72)、DBMSのチェックポイント(問56)でした。主キー・外部キーや正規化は、文章で読むより 表を2つ描いて、どの列でつながっているかを自分で書いてみる ほうが早く理解できます。


計算:2進数と稼働率は「型」だけ押さえる

iパスの会場には電卓を持ち込めません。計算は会場で配られるメモ用紙とシャープペンシルを使った手計算です。

令和8年度のテクノロジ系の論点名を見るかぎり、2進数や稼働率そのものを問う問題は見当たりませんでした。ただ、どちらもテクノロジ系の計算の定番として民間の対策記事で挙げられており、年度によって出るかどうかは変わります。2か月かけて合格した nino-san(T12)は、計算問題を 損益分岐点・損益計算書・進数・アローダイアグラム・稼働率の5つに絞って 対策しています。テクノロジ系の計算も、この「絞って型を覚える」やり方で十分です。

  • 2進数: 10進数との変換(2で割っていく/各桁の重み1・2・4・8…を足す)を、紙の上で数回やっておく
  • 稼働率: 稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)。2台を直列につなぐと掛け算(0.9×0.9=0.81)、並列につなぐと「1−両方止まる確率」(1−0.1×0.1=0.99)。この2つの形を覚えれば、たいていの問題に対応できる

一方で、手間のかかる計算問題をすべて飛ばして615点で合格した からす さん(T05)のような例もあります。ただ、本人も「本当にギリギリ合格だった。」と書いており、まねするのはおすすめしません。計算問題の演習をほぼしなかったことを1回目の敗因に挙げた きのこmama さん(F4)は、合格後に「計算からは逃げられない、ということですね。」とまとめています。


擬似言語は捨てるべきか

体験記で意見がはっきり割れていたのが、プログラミング(擬似言語)の問題です。

擬似言語の問題は、高校の「情報Ⅰ」に対応するシラバス改訂で加わり、2022年4月の試験から 出題されています(IPA 2021-10-08)。令和8年度の公開問題では、アルゴリズムとプログラミングの問題が3問でした。うち2問が擬似言語で書かれたプログラム(配列を並べ替える手続の途中経過を答える問67、素数かどうかを判定する関数の空欄を埋める問85)、1問は正六角形を描くロボットの手順を文章で書いたプログラム(問88)です。

捨てた人

  • IT知識ゼロから約50時間で合格した しゅり さん(T01)は、捨てる問題と必ず解く問題を事前に決め、「プログラミングの問題は捨てたり」、財務諸表の簡単な計算は必ず解けるようにしたと書いています。
  • 歯科助手から事務職を目指して合格した わど さん(T22)は、「プログラミングの問題だけは全部飛ばしました。」。理由は「見ていても短期間で理解出来そうになく」、苦手な問題より得意分野を伸ばすほうを選んだからでした。
  • 前出の福祉ITラボ(T03)も、受験した回の擬似言語のコードリーディングを「多くの受験生が捨て問にするような難易度」と書いています。

狙い目だと言う人

  • 本人いわく「バリバリ文系」の情報系学部の大学生で、835点で合格した らーゆ さん(T16)は、プログラミング問題は「かなり狙い目」で絶対に落とさないようにするのがよい、と書いています。理由は「プログラミングの知識がなくても、問題文を上から順に丁寧に読んでいけば解ける問題です。」。

結論:2〜3問を紙の上で追ってみてから決める

どちらの言い分にも理があります。擬似言語は100問中2〜3問なので、捨てても理論上は合格できます。一方でテクノロジ系には300点の分野別基準があり、配点も公開されていないので、テクノロジ系が苦手な人ほど、取れる問題を自分から減らすのは危ない ともいえます。

おすすめは、捨てるかどうかを決める前に一度試すことです。本番の擬似言語は、IPAが公開している記述形式で書かれます(IPAは記述形式とあわせて 擬似言語のサンプル問題(PDF) も2問公開しています)。出てくるのは配列の平均を求める関数のような数行のプログラムです。擬似言語の問題を2〜3問選び、変数の値を紙に書きながら1行ずつ追ってみてください。

  • 表を書きながら追えば答えにたどり着ける → 狙い目にする。本番でも「後で見直す」チェックを付けていったん飛ばし、ほかの問題を解き終えてから時間をかけて解く
  • 何度やっても手が止まる → 深追いしない。ただし本番では空欄にせず、何か1つ選んでから次へ進む。その分の時間をセキュリティやネットワークの用語の確認に回す

ほかのテクノロジ系の問題が安定して取れている人なら捨てても大きな問題にはなりにくく、テクノロジ系がぎりぎりの人ほど2〜3問を拾う価値が大きい、というのが体験記と試験の仕組みから言えることです。


テクノロジ系の進め方(まとめ)

最後に、ここまでの内容を頻出マップにまとめます。

  1. 分野を絞った演習でテクノロジ系だけを解き、正答率を記録する。ぽかぽかさん(T25)は分野別の演習で苦手のテクノロジを立て直しました
  2. セキュリティから始める。46問中18問の最大の塊で、「何を防ぐ仕組みか」で覚える
  3. ネットワーク・データベースは役割で覚える。データベースは表を描いて確認する
  4. 計算は2進数と稼働率の型だけ を手計算で練習する
  5. 擬似言語は2〜3問を紙の上で追ってみてから、狙うか深追いしないかを決める

正答率の記録や苦手の洗い出しは、手作業だと続きにくいところです。ナレッジバンドルでは、本番形式のテストで合格率と弱点カテゴリをグラフで確認でき、「間違えた問題だけ」に絞って解き直せます。忘却曲線に合わせて復習の問題も自動で出てくるので、セキュリティの用語のように数が多い分野を、スキマ時間に少しずつ固めていけます。

略語がどうしても頭に入らないときは、わからない単語を生成AIに「中学1年生でもわかるように」説明させた 村中仁斗 さん(T09・記事にAmazonアソシエイトのリンクあり)のような方法もあります。先ほどのアプリなら、解いている問題をそのままAIに質問でき、解説の用語はタップで専用の用語辞書を引けるので、用語を調べるために本を別に開く必要はありません。勉強中に使うのは問題ありませんが、会場には何も持ち込めないので、最後は自分の言葉で説明できる状態にしておきましょう。


年内に受けるなら今の出題範囲で

2026年9月28日以降の新規申込で選べるのは、2026年12月27日までの試験日 です。12月28日からはシステムの入れ替えのため試験が一時休止し、会場によってはそれより前に終わります。2027年1月以降の実施については「2026年秋頃」に発表予定とされています(IPA)。

2027年度からは新しい試験制度になる予定で、新しいiパスでは出題分野が「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」に組み直されます(IPA)。セキュリティが独立した分野になるわけですが、配点や合格基準はまだ公表されていません。年内に今の試験で受けるなら、今回整理した現行の出題範囲で対策するのが確実です。


まとめ

  • テクノロジ系は評価対象42問で最多。令和8年度の公開問題では46問中18問がセキュリティ(民間の分類)
  • テクノロジ系だけ低くて落ちた人(F13・F15)がいて、特に非IT系の人が苦戦しやすい
  • セキュリティは「何を防ぐか」、ネットワークは「役割」、データベースは「表を描く」で覚える
  • 計算は2進数・稼働率の型だけを手計算で押さえる
  • 擬似言語は捨てた合格者も、狙い目という合格者もいる。サンプル問題で試してから決める

次回の第9回は、シラバスVer.6.5の生成AI・新用語の対策です。令和8年度に出たAI関連の問題と、2027年度の新しい試験で何が変わるのかを整理します。


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※この記事は2026年9月25日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や日程は変わることがあるので、受験前に必ずiパス公式サイトとIPAで確認してください。問番号と論点は、IPAの令和8年度 ITパスポート試験 公開問題(過去問題)をもとにしています。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。

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