ITパスポートの試験の全体像と2026年の変更点:120分100問・採点は92問・合格率・受験料・12月28日からの休止【2026年版】

「ITパスポート 攻略シリーズ」の第2回です。第1回では、2025年以降に書かれた合格・不合格の体験記42人分を読み込み、「受かる人」と「落ちる人」の違いを整理しました。
今回は、勉強法の前に押さえておきたい 試験そのものの仕組み をまとめます。ITパスポート(iパス)は「120分で100問」とよく紹介されますが、実際に採点されるのは92問だけで、合格するには総合点のほかに3分野それぞれの基準も超える必要があります。さらに2026年は、12月28日から試験が一時休止 になり、2027年度から試験の中身が変わる 予定という特別な年です。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っています。総合点が足りていても1分野だけ基準に届かずに落ちる、というこの仕組みがあるので、アプリの本番形式テストでは、合格率と並べて弱点のカテゴリをグラフで出すようにしています。
情報は、IPA(情報処理推進機構)の公式ページと公式PDFで確認したものだけを使っています。
まず結論:2026年のITパスポートを5行で
- 形式は CBT・120分・100問・四肢択一。ただし 採点されるのは92問
- 合格基準は 総合600点以上(1,000点満点)+ 3分野それぞれ300点以上
- 令和7年度の合格率は 48.6%。受験者の半分以上が落ちている
- 受験料は 7,500円(税込)。不合格でも 次の申込までの待機期間はない
- 9月28日以降の新規申込は12月27日までの試験日だけ。12月28日から休止し、2027年度春頃に新しいiパス が始まる予定
以下、ひとつずつ見ていきます。
試験の形式:CBT・120分・100問・四肢択一
iパスは、「情報処理の促進に関する法律」に基づいて経済産業省が行う国家試験(情報処理技術者試験の一区分)で、実施はIPAです。公式サイトには「iパスは国家試験として初めてCBT方式を導入しました」とあります(iパスとは)。
- 方式: CBT(Computer Based Testing)。会場のパソコンの画面で、マウスやキーボードを使って答える
- 会場と日程: 全国47都道府県の会場で、通年・随時。会場によって午前・午後・夕方の時間帯がある
- 時間と問題数: 120分で100問(小問形式)。単純に割ると 1問あたり72秒
- 出題形式: 四肢択一
- 分野: ストラテジ系(経営全般)35問程度、マネジメント系(IT管理)20問程度、テクノロジ系(IT技術)45問程度

今の「120分・100問」になったのは2016年3月からです(試験要綱の改訂履歴)。当日は 電卓も時計も持ち込めず、計算はすべて会場のメモ用紙で手計算、残り時間は画面で確認します。当日の解き方と時間配分は第5回でくわしく扱います。
採点されるのは100問中92問、残り8問は「評価用」
ここが意外と知られていない点です。試験要綱には、100問のうち総合評価は 92問 で行い、残りの 8問は今後出題する問題を評価するために使う と書かれています。つまり8問は解いても点数に入りません。
- 採点対象の92問の内訳: ストラテジ系32問/マネジメント系18問/テクノロジ系42問
- どの8問が評価用なのかは 公表されない
受験者にはどれが評価用か分からないので、「この問題は採点されないかもしれない」と考えて飛ばすことはできません。100問すべてに本気で答える のが前提です。
点数はIRT(項目応答理論)で出る
もうひとつの特徴が採点方法です。iパスは素点(1問◯点の足し算)ではなく、IRT(Item Response Theory:項目応答理論) で評価点を出しています。試験要綱の「問題別配点割合」の欄も、ITパスポートは「IRTによる」とだけ書かれていて、1問あたり何点という形では示されていません。
そのため、「何問正解すれば600点」という換算式は公開されていません。ネット上には「◯問正解で合格」という説明も見かけますが、公式にはそう言える根拠はありません。第1回で見たように、体験記には580〜595点の「1〜2問差」で落ちた人が何人もいます。過去問で合格ラインを「ちょうど超える」ではなく、余裕をもって超える ことを目標にしておくのが安全です。
合格基準:総合600点と、3分野それぞれ300点
合格基準は次の4つを すべて 満たすことです。
- 総合評価点: 600点以上(1,000点満点)
- ストラテジ系の分野別評価点: 300点以上(1,000点満点)
- マネジメント系の分野別評価点: 300点以上(1,000点満点)
- テクノロジ系の分野別評価点: 300点以上(1,000点満点)

公式FAQにもはっきり書かれています。
「分野別評価点のうち一つでも300点未満の分野があると、合格基準を満たしません。」
(出典: ITパスポート試験 よくある質問)
体験記の中にも、この「分野別の足切り」で落ちた人がいます。30代・金融機関勤務の きのこmama さんは、1回目にマネジメント系が275点で不合格になり、苦手分野を集中して対策した2回目に630点で合格しました。
とくにマネジメント系は採点対象が 18問と最も少ない 分野です。IRTなので単純な割り算はできませんが、1問の重みが大きくなりやすい分野だと考えておくべきでしょう。分野別の対策は第6回でまとめます。
分野別の足切りを防ぐには、総合点だけでなく どの分野が弱いか を、本番の前に数字でつかんでおくことです。私たちのアプリでは、本番形式のテストで合格率と弱点のカテゴリをグラフで確認できます。弱い分野が見えたら、その分野の問題を重点的に解き直します。
結果の出方:画面に出るのは「点数」だけ、合格は翌月
iパスはCBTなので、試験が終わるとその場で採点され、画面に結果が出ます。ただし、ここにも注意点があります。
- 画面に出るのは 点数(総合評価点と分野別評価点) で、「合格」「不合格」の表示はない
- 画面の結果は 印刷して持ち帰れない。受験後1年間、「試験結果レポート」をダウンロードできる
- 画面で基準を満たしていても、その時点ではまだ合格ではない
2026年8月の体験記で、lapis さんは、簿記のCBTと違って画面に合否が出ず点数だけが表示され、印刷もできなかったことに戸惑い、「この点数、覚えて帰るしかないの?」と書いています。
公式FAQの説明は次のとおりです。
「受験者端末に表示される試験結果が合格基準を満たしていても、その時点で合格とはなりません。」
合格者を決めるのは 経済産業大臣 です。合格発表は 月ごと に行われ、合格者の受験番号がiパスサイトに載ります。2026年の実例では次のような流れでした(合格発表、IPA 新着情報)。
- 6月受験 → 7月22日に合格発表 → 8月7日に合格証書を発送
- 7月受験 → 8月21日に合格発表 → 9月8日に合格証書を発送
- 8月受験 → 9月28日に合格発表(予定)
つまり、合格発表は受験した月の翌月の中旬〜下旬、合格証書はさらにその翌月 に簡易書留で届く、というのが2026年の実例です(決まった規則として公式に書かれているわけではありません)。合格証書は経済産業大臣名で、再発行はできません。不合格の場合は何も通知されないので、試験結果レポートで点数を確認します。
履歴書に書くなら、正式な合格発表の後 にしておくのが確実です。
合格率と受験者:半分以上が落ち、受験者の中心は非IT系の社会人
公式統計では、令和7年度(2025年度)の受験者は271,352人、合格者は132,012人で、合格率は48.6% でした。令和2年度の58.8%から5年連続で下がっています(推移のグラフは第1回に載せています)。
月ごとの数字で確認できている最新は 令和8年4月の48.2%(社会人50.1%/学生41.3%)です。5月以降の月次統計は、iパス専用サイトが停止中のため確認できていません。
受験者の顔ぶれも見ておきます。IPAの発表によると、令和7年度の応募者は307,266人で、2年連続で30万人を超えました(IPA 令和7年度 応募者数等)。
- 社会人の応募者を勤務先で分けると、非IT系企業が179,995人、IT系企業が40,715人(約4.4倍)
- 非IT系で最も多いのは「金融・保険業、不動産業」で70,445人
- 業務別では「営業・販売(非IT関連)」が45,781人で最多
iパスは「IT業界の人の試験」ではなく、ITを仕事で使う側の人が受ける試験 になっています。合格率を見ても、令和7年度は社会人のIT系が48.9%、非IT系が51.4%で、ITの仕事をしていないから不利、という差は出ていません。学生は41.0%と、社会人より低めです。
受験料と申込:7,500円、前日の正午まで、再受験の待機なし
- 受験料: 7,500円(税込)。理由を問わず返金されない
- 申込方法: iパスサイトで利用者IDを登録し、ログインして申し込む(郵便・電話では受け付けない)
- 支払い: クレジットカード、コンビニ(払込手数料187円は受験者負担)、バウチャー
- 締切: クレジットカード・バウチャーなら 試験前日の正午まで。コンビニ払いは受験日の5日前まで
- 日程変更: 試験日の 3日前まで何回でも 変更できる。2日前〜当日は変更できない。申込日から2日後までの試験を申し込んだ場合は、申込後に日時を変えられない
- 再受験: 公式FAQでは、不合格後に申し込めない期間は「特にありません」。受験日の翌日から次の申込ができる
- 注意: 同時に複数回の申込はできない。キャンセル待ちもできない
「待機期間なし」は大きな特徴です。体験記でも、不合格の3日後に再申込して約1か月後に合格した人(きのこmamaさん)や、580点で落ちたその日に1週間後の試験を申し込み、2回目で680点を取った人がいました(ORIGIN)。
受け直すまでの期間が短いときは、新しい教材に手を広げるより、試験結果レポートで低かった分野と、練習で間違えた問題を解き直すほうが点につながります。「間違えた問題だけ」に絞って出題できる問題演習アプリを使えば、限られた日数でも弱点に集中できます。
いまはiパスサイトが止まっている(9月28日 10:00まで)
この記事を公開している時点(2026年9月26日)では、iパス専用サイトが 9月20日 21:00〜9月28日(月)10:00 のシステムメンテナンス で停止しています。この間は 受験申込も、試験日・会場の変更も、確認票のダウンロードもできません。コールセンターも9月21日〜27日は休業です(IPA お知らせ)。
これから申し込む人は、9月28日の再開後 に手続きすることになります。
2026年の変更点1:9月28日以降の申込は12月27日まで、12月28日から休止
ここからが2026年ならではの話です。IPAは、システムの入れ替えのため 2026年12月28日以降、試験を一時休止する と発表しています(IPA 2026年5月以降の試験実施について)。
- 通常は、申込日から3か月先の同じ日までの試験日を選べる
- 2026年9月28日以降に新規で申し込む場合、選べるのは2026年12月27日までの試験日
- 会場によっては、12月27日より前に試験が終わる 場合がある
- 再開の時期は決まり次第発表。2027年1月以降の試験の実施は「2026年秋頃」に発表 する予定(9月25日時点では未発表)
- 空席がなく最後の試験日までに受けられなかった場合も、受験料は返金されない
- バウチャーの購入受付は2026年7月31日で一時停止している


実際の影響を考えると、年内に受けるなら早めに申し込む のが基本です。体験記でも、都内の土日は1〜2週間前だと満席だった、最寄りの会場が11月まで埋まっていた、という声がありました。
もうひとつ、ここは筆者の推測ですが、12月に受けて落ちると、次に受けられるのは新しい制度の試験になる可能性が高い と考えられます。今の制度は2026年度で終わる予定で、新しいiパスは2027年度春頃の開始予定だからです(2027年1月以降の扱いは未発表なので、断定はできません)。再受験の余地を残したいなら、10月・11月に1回目を受けておくのが安心です。
2026年の変更点2:2027年度から新しいiパスへ
経済産業省とIPAは、2027年度から情報処理技術者試験を新しい制度に移行する 予定です。今の試験制度は2026年度の試験で終わる予定で、新しいiパスは 2027年度春頃 に始まる予定です(IPA 見直しの検討状況について)。
公表されている変更点は次のとおりです。
- 試験時間 120分・100問は変わらない(予定)
- 出題分野を、今の「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」から 「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」 に再整理
- 「DXで求められるマインド・スタンス」 と 「データマネジメントの基礎」 を新しく追加
- AI時代に合わせて、セキュリティ・倫理の出題を強化
- iパスの次のステップとして「データマネジメント試験」(仮称)を新設
新しいiパスの目的は、「ビジネスパーソンに求められるデジタルリテラシーとしての基礎知識及びマインド・スタンスが、目標とする水準に達していることを評価する。」とされています。IPAはすでに新しいiパスのシラバス案(Ver.0.1)とサンプル問題も公開しています。
一方で、新制度の配点・合格基準・分野ごとの問題数は、まだ公表されていません。「600点+各分野300点」がそのまま続くのかどうかも分かっていない、ということです。新制度の中身(RAG・AIエージェントなどの新しい用語)は第9回で取り上げます。
この連載の基本線は次のとおりです。
- 年内(12月27日まで)に受けるなら、今の試験に向けて、今のシラバス(Ver.6.4/6.5)に対応した教材で対策する
- 2027年以降に受けるなら、新制度の配点・合格基準や対応教材が出るのを待つ
まとめ:数字で押さえるITパスポート
- 120分・100問・四肢択一のCBT。1問あたり72秒、電卓なし
- 採点されるのは 92問(ストラテジ32・マネジメント18・テクノロジ42)。8問は評価用で、どれかは非公表
- 点数はIRTで出るので、「◯問正解で合格」とは言えない
- 合格には 総合600点以上+3分野それぞれ300点以上 が必要
- 画面に出るのは点数だけ。合格は 経済産業大臣が決め、翌月に発表、証書はさらに翌月
- 受験料7,500円、前日正午まで申込可、再受験の待機期間なし
- 9月28日10:00まではサイト停止中。再開後の新規申込は 12月27日までの試験日、12月28日から休止
- 2027年度春頃から新しいiパス。配点・合格基準は未公表
次回の第3回は、「ITパスポートの勉強時間は何時間必要か」です。体験記で勉強時間を数字で書いていた合格者9人の実数(中央値50時間)をもとに、12月27日の最終日から逆算した3週間・1か月・2か月のスケジュールを組み立てます。
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※この記事は2026年9月25日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度・日程・申込のルールは変わることがあり、特に2027年1月以降の実施や新制度の詳細はこれから発表されます。受験前に必ずITパスポート試験の公式サイトとIPAの試験情報で確認してください。公式サイトの内容のうち、9月28日までの停止期間中に確認できなかったものは、公式ページの保存版で確認しています。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。