ITパスポートの教材は5つの基準で選ぶ

ITパスポート攻略シリーズの第4回です。この連載では、第1回で2025年以降に公開された合格・不合格体験記42人分を読み込み、IPA(情報処理推進機構)の公式情報と突き合わせて整理しています。
今回のテーマは 教材選び です。「どの本がいちばん良いか」を比べた公的なデータはありません。書名の人気で選んでも、合否との関係は分かりません。一方で、体験記を読むと、教材の「中身の条件」がそろっていなかったことがつまずきの原因になった人 ははっきりいます。版が古かった、答えを覚えるだけの使い方になった、問題の量が足りなかった、といった条件です。
そこで今回は、書名ではなく 教材を選ぶときに見るべき5つの基準 と、本を別に用意せず問題演習で仕上げる進め方 を、体験記と公式情報から整理します。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、ITパスポートの400問を作るときも、体験記で見たつまずきのうち2つ(答えを覚えるだけの使い方と、問題の量不足)を、アプリの側で起こさないことを先に決めました。400問すべてに正解の理由と各選択肢の正誤の解説をつけ、間違えた問題だけを出し直せるようにしているのは、そのためです。
古い版の教材で落ちた3人
まず、不合格体験記から、教材の版が敗因に挙がっていた例を3つ見ます。
1人目:シラバス5.0の古本で受けた
ブログ「モブおじさんでも楽しく生きる!」のじゅん・くるーにーさんは、中古のテキスト2冊(合計382円)で勉強しました。そのテキストはシラバス5.0と書かれたもので、本人は受験時点のシラバスを6.3と記しています。勉強時間は約10日・約12時間前後。本人が挙げた敗因は、3文字の略語を攻略できなかったこと、テキストが古かったこと、勉強不足の3つでした。記事にはこうあります。
「テキスト、参考書は最新のものを買いましょう!」
2人目:2年前に買った過去問題集を使った
田中太郎さんはIT企業に勤める人で、基本情報技術者試験の前のウォーミングアップとして受験しました。使ったのは 2年前に買った過去問題集(直近6回分を1周、テクノロジ系だけ2周)が中心で、合計は約20時間。結果は「あと1問」の不合格でした。本人は敗因として「古い過去問を使っていた」と書き、教材選びを誤ったと振り返っています。
3人目:令和7年度版で令和8年に受けた
40代のメガネさんは、590点で不合格でした。本人が挙げた敗因は4つあり、試験の2週間前に申し込んだこと、買った参考書が 令和7年度版(受験は令和8年)だったこと、過去問の演習サイトにログインもしなかったこと、得意なはずのストラテジ系が最も低かったことです。記事には「完全に国家資格を舐めていました。」と書かれています。
3人とも、敗因は古い版だけではありません。準備時間の短さも共通しています。ただ、3人がそろって「版」を反省点に挙げていることは、教材を選ぶ前に知っておく価値があります。
逆の例もあります。orz.take.1さんは、2〜3年前の古本のテキストと過去問の演習サイトで合格しました。ただし点数は605点で、本人は「本当に首の皮一枚つながりました」と書いています。古い本でも受かることはありますが、余裕は小さくなる、と見るのが妥当です。
合格者の側からも、版と新用語についての反省が出ています。2026年8月に610点で合格したほひさんは「新用語の確認をしっかりしておくべきだった」、9月初旬に合格したLatte014さんは「最新語句チェック必須です」と書いています。
シラバスはこう変わってきた
「古い版」が問題になるのは、ITパスポートの出題範囲を決めるシラバスが、ここ数年で何度も改訂されているからです。IPAのシラバスPDFの改訂履歴と、改訂時のお知らせを並べると次のようになります。

- Ver.6.0(2021年10月): 高校の「情報Ⅰ」に対応し、擬似言語のプログラミング問題などを追加。2022年4月の試験から(IPA)
- Ver.6.2(2023年8月): 生成AIの仕組み・活用例・留意事項などの項目と用語例を追加。2024年4月の試験から(IPA)
- Ver.6.3(2023年12月): DX推進に必要な知識(ビジネス変革、デザイン、データ利活用、AI利活用など)を追加。2024年10月の試験から(IPA)
- Ver.6.4(2025年4月): 「プロバイダ責任制限法」を「情報流通プラットフォーム対処法」に置き換え
- Ver.6.5(2026年1月8日掲載・現行): 「下請法」を削除し、「中小受託取引適正化法(取適法)」を追加(IPA 試験要綱・シラバスについて)
ここから、版について押さえるべき点が2つ出てきます。
1つ目は、2023年以前に出た教材には生成AIの範囲が入っていない ことです。生成AIが入ったのはVer.6.2で、試験に出るようになったのは2024年4月からです。民間サイトには、生成AIの追加をVer.6.5の変更とする説明も見られますが、IPAのシラバスPDFの改訂履歴とは合いません。生成AIはVer.6.2です。
2つ目は、Ver.6.4と6.5の差は取適法の1点だけ ということです。6.4対応と書かれた教材でも、取適法だけ別に補えば実質の差は小さい、と言えます。なお、Ver.6.4と6.5がそれぞれ何月の試験から適用されたかは、今回の調査では確認できていません。
教材を選ぶ5つの基準
では、何を見て教材を選べばよいか。体験記の成功と失敗を並べると、見るべき点は次の5つにまとまります。

基準1:版が新しいか
いちばん先に確かめるのは版です。2026年12月27日までに今の試験で受けるなら、目安は次のとおりです。
- 題名や説明が「令和8年度」「2026年度版」以降になっているか
- 対応シラバスがVer.6.4か6.5と書かれているか。書かれていなければ、取適法は別に補う前提で考える
- 問題集なら、令和8年度に公開された問題まで反映しているか
- 中古の本は発行年を見る。2023年以前なら生成AIが入っていない
本もアプリも、版や更新の時期は変わります。使う前に、発行元のページで対応シラバスと更新日を確認してください。
基準2:解説が「なぜ」まで書いてあるか
2つ目は解説の質です。体験記の失敗でいちばん根が深いのは、問題を解いた量ではなく、答えを覚えただけで理解したつもりになること でした。
- 塩津龍平さんは、過去問では点が取れていたのに590点で不合格。「理解したつもりになっていました。」と振り返っています
- 不合格を2回経験した私の人生@まだ途中さんは「今思えば、答えを覚えていただけでした。」
- 3回目に640点で合格したSalaさんは、解説を読めばわかるのに自分では答えられない、という理解のあやふやさに気づき、「「聞いたことがある」と「分かっている」は違う。」と書いています
正解の番号だけ、あるいは正解の理由だけが短く書かれた解説では、この状態に気づきにくくなります。正解の理由に加えて、ほかの選択肢がなぜ誤りなのかまで書いてあるか を見てください。わからない用語をその場で調べられるかどうかも、差が出るところです。体験記では、用語の意味を生成AIにかみくだいてもらった人が10人いました。
基準3:問題の量と、分野ごとに解けるか
3つ目は問題の量です。体験記で最も多かった合格者の型は、問題演習を主役にする というものでした(再受験で合格した人を含め、少なくとも9人)。
- 2026年6月に835点で合格したらーゆさんは「正直、教科書一冊勝負では不安」と書き、Webの問題演習に取り組んでいます
- 朝活で合格したジョブホッパー宮崎さんは、オンラインの問題集を1,826問解きました
- 1回目580点、2回目680点で合格したORIGINさんは「問題を解き慣れることが1番大事」と書いています
量と同じくらい大事なのが、分野を指定して解けるか です。ITパスポートには分野ごとに300点の基準があり、1分野だけ低くて落ちた人が体験記に何人もいます(詳しくは第6回で扱います)。ストラテジ・マネジメント・テクノロジの正答率を別々に見られる教材だと、弱点が早く見つかります。
基準4:スキマ時間で回せるか
4つ目は、手元にない時間に使えるかどうかです。体験記の書き手の多くは、仕事や学校、子育ての合間に勉強していました。
机に向かえる時間だけで50時間前後を積むのは、社会人には楽ではありません。1問を数十秒〜数分で解けて、途中でやめても続きから再開できるか は、教材を選ぶときにはっきり差が出る点です。
基準5:復習の仕組みがあるか
5つ目は復習です。間違えた問題に戻らなければ、問題の量は点数に変わりません。
- 約8週間で合格したタツヤさんは、過去問の演習で間違えた問題だけを重点的に復習しました
- 2か月かけて合格したnino-sanさんは、期間が長くなって「「答えを覚えてしまう」状態になってしまった」と書いています
復習は、少なすぎると忘れ、同じ順番で繰り返しすぎると答えの番号を覚えてしまいます。間違えた問題だけを出し直せるか、出題の順番を変えられるか、忘れたころに復習を出してくれるか を見ておくと、この両方を防ぎやすくなります。
基準を満たす教材の例
5つの基準のうち、基準2〜5は「問題演習の道具」にかかわるものです。ここは、スマホで解く問題アプリが得意な部分です。
ここでは、冒頭でふれた私たちのアプリ「ナレッジバンドル」を例に、基準に当てはめてみます。自分たちで作っている教材なので、評価ではなく、入っている機能の事実だけを並べます。ITパスポートはオリジナル問題400問を、スマホで1問ずつ解ける形で収録しています。
- 解説(基準2): 全問に、正解の理由と各選択肢の正誤の解説がある。解説の用語をタップすると専用の用語辞書が開き、それでも引っかかればその問題をそのままAIに質問したり、Google検索したりできる
- 量と分野(基準3): 400問。本番形式のテストで、いまの合格率と弱点カテゴリをグラフで確認できる
- スキマ時間(基準4): 1問ずつ解けて、広告が出ない
- 復習(基準5): 忘却曲線にそって復習を自動で出題し、「間違えた問題だけ」「未回答だけ」「ランダム」に絞って解ける
解説と用語辞書が問題と同じ画面にあるので、本を別に用意しなくても、1つのアプリの中で「解く→理由を読む→用語を確かめる→間違えた問題だけ解き直す」を回せる設計です。無料体験ができるので、数問解いてみて、解説の書き方が自分に合うかを確かめてから決めることもできます。どの教材を使う場合でも、基準1の版と更新日の確認は別に行ってください。
本を別に用意しなくても進められるか
「問題を解く前に、まず本を1冊読み通さないといけない」と考える人は多いと思います。ただ、体験記には、本の通読を中心にせず、問題演習と解説で合格した人もいます。

- 約1週間で合格したsuper_fairy757さんは、ほぼ過去問の演習サイトだけで、問題を解く、間違える、解説を読む、また解く、を繰り返しました。ノート作りも参考書の通読もしていません。ただし基本情報の勉強歴があり、本人も「誰でも1週間で受かる、とは思わない」と書いています
- きのこmamaさんは、1回目はテキストをほぼ読まず、過去問サイトで2週間解いて、マネジメント系275点で不合格でした。2回目は公開問題を分野ごとに生成AIの解説つきで解き直し、苦手なマネジメントと計算を繰り返して、約1か月後に630点で合格しています
- 育児と時短勤務の中で合格したぽかぽかさんが挙げた教材は、複数の問題アプリと過去問サイト、無料の模試、動画でした。最後は苦手なテクノロジ系だけをやり込み、615点で合格しています
きのこmamaさんは、1回目も2回目も本はほとんど読んでいません。2回目に変えたのは、苦手な分野を洗い出して集中したこと、解説つきで理由を確かめながら解き直したこと、避けていた計算問題を練習したこと でした。問題演習だけで仕上げるなら、「解いて終わり」にしない解説と、分野ごとの正答率がわかる仕組みが欠かせません。基準2と基準3がそろっていれば、本を別に用意しなくても理解まで進められる、ということです。

状況別の進め方を3つ挙げます。どれも「最良」を保証するものではなく、体験記と公式情報から整理した一例です。
例1:IT初心者で1か月以上ある人
- 最初の1〜2週間: 分野の順に、解説つきの問題を1周する。正解・不正解より、解説を読んで各選択肢の正誤の理由を確かめることを優先し、わからない用語はその場で調べる
- 次の1〜2週間: 分野別の正答率を見て、低い分野を集中して解く。間違えた問題だけを出し直す
- 直前: 本番形式のテストで100問を通して解き、新用語と取適法を確認する
例2:ITの仕事の経験があり、短期で受ける人
- 問題演習だけで進め、間違えた問題の解説を読む。ストラテジ・マネジメント系は仕事の経験で解ける問題が多いぶん、テクノロジ系の正答率に注意する
- 20時間を切る計画は避ける(第3回)
例3:手元に古い版の本がある人
- 古い本を読み直すより、現行シラバス(Ver.6.4・6.5)に対応した解説つきの問題で進めるほうが、足りない範囲(生成AI・情報流通プラットフォーム対処法・取適法・新用語)を拾いやすくなります
- 2023年以前の本には生成AIが入っていません
2027年度の新しい試験向けの教材は、まだ無い
もう1つ、教材選びに関わる大きな事情があります。
2026年9月28日以降の新規申込で選べるのは、2026年12月27日までの試験日 です。12月28日からはシステムの入れ替えのため試験が一時休止になり(会場によってはそれより前に終わります)、2027年1月以降の実施は「2026年秋頃」に知らせるとされています(IPA 2026年5月以降の試験実施について)。
さらに、2027年度からは新しい試験制度 になる予定で、新しいiパスは2027年度春頃に始まる見込みです。分野は「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」に再整理されます(IPA 情報処理技術者試験等の見直しの検討状況)。新制度の配点や合格基準はまだ公表されていません。
一方で、2026年9月25日時点で、主な出版社から「令和9年度」「2027年度版」をうたうITパスポート本は見つかりませんでした。題名に「令和8-9年度版」「令和08-09年」と入っている本はありますが、出版社のページでは現行シラバス(6.5または6.4)対応と書かれていて、新制度への対応は書かれていません。題名に「9年度」とあっても、新しい試験向けの本ではない ので注意してください。
まとめると、分かれ目は受験時期です。
- 12月27日までに今の試験で受けるなら: 現行シラバス(Ver.6.4・6.5)に対応した教材で対策する
- 2027年以降に受けるなら: 新制度のシラバスと、それに対応した教材が出るのを待つ(IPAは新しいiパスのシラバス案とサンプル問題を2026年8月31日に公開しています)
教材を選ぶ前のチェックリスト
- 令和8年度・2026年度版以降で、対応シラバス(6.4か6.5)が書かれているか。6.4なら取適法を別に補う
- 中古の本なら発行年を確認したか。2023年以前なら生成AIが入っていない
- 題名の「9年度」を新制度対応と取り違えていないか
- 解説に、正解の理由と、ほかの選択肢が誤りである理由まで書かれているか
- 問題の量は十分か。分野を指定して解け、分野ごとの正答率がわかるか
- スマホで1問ずつ解けて、スキマ時間に続きから再開できるか
- 間違えた問題だけを出し直すなど、復習の仕組みがあるか
- 解説と用語の調べ方がそろっていて、その教材1つで理解まで進められるか
まとめ:書名より「5つの基準」で選ぶ
- 不合格体験記では、古い版の本・過去問題集が反省点に挙がっていた(3人)
- 生成AIが入ったのは Ver.6.2(2024年4月の試験から)。2023年以前の教材には入っていない。Ver.6.4と6.5の差は 取適法の1点 だけ
- 教材は 版・解説の質・問題の量と分野指定・スキマ時間・復習の仕組み の5つで選ぶ
- 体験記で最も多かった合格の型は 問題演習が主役。解説で理由まで理解し、分野ごとの正答率を見れば、本を別に用意しなくても仕上げられる
- 題名に「9年度」とあっても、2027年度の新制度向けの本ではない。12月27日までに受けるなら今のシラバスで対策する
次回の第5回は、「ITパスポートの時間配分と当日の解き方」です。1問あたり72秒の配分、見直しの使い方、電卓なしのCBTで点を落とさないコツを、体験記から整理します。
ITパスポートの400問をアプリで解くなら「ナレッジバンドル」

資格対策アプリ「ナレッジバンドル」には、ITパスポートのオリジナル問題400問がすべて入っています。スキマ時間に1問ずつ解いて、間違えた問題だけを繰り返せます。
- 全問に解説つき。解説の用語はタップでITパスポート専用の用語辞書が開き、関連用語もたどれる
- 解説を読んでも引っかかったら、その問題をそのままAIに質問。Google検索もワンタップ
- 忘却曲線で復習を自動出題。「間違えた問題だけ」「未回答だけ」「ランダム」など出題の絞り込みも自由
- 本番形式テストで、いまの合格率と弱点カテゴリをグラフで確認
- 広告なし。全教材は無料体験できます
ITパスポートのほか、100以上の資格・検定(レビュー中含む)が1つのアプリで使い放題です。アプリ内の教材追加画面で「ITパスポート」と検索してください。
※この記事は2026年9月25日時点の公開情報をもとにしています。教材の版や試験の制度・日程は変わることがあるので、購入前・受験前に必ず各出版社のページとIPAのITパスポート試験のページで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。