GX検定ベーシックで苦戦する原因と直前チェック

GX検定 攻略シリーズも、今回の第10回で最終回です。この連載では、第1回で紹介したとおり、note・ブログ・体験談サイトに公開されている 2025年以降のGX検定の体験記26人分 を読み込み、運営会社 Beyont(旧スキルアップNeXt)の公式情報と突き合わせてきました。
最終回は、これまで少しずつ触れてきた 「苦戦した人・不合格になった人」 を正面から読み解きます。そこから逆算して 直前1週間・前日・当日のチェックリスト を作り、最後に、合格したあとに考える 次の資格(アドバンスト・eco検定など) を比べます。連載全10回のふり返りも付けました。
連載のはじめに書いたとおり、私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、GX検定の500問もその一つです。不合格から2回目で受かった人が、新しい教材に手を広げず間違えた問題だけを繰り返していたことは、アプリに「間違えた問題だけ」の絞り込みを入れている理由とも重なります。
苦戦・不合格の体験記は6人。点数を書いた不合格者はいない
最初に、材料の限界をはっきりさせておきます。26人のうち、ベーシックの不合格を経験した一次体験記は2人だけ で、どちらも不合格時の点数を書いていません。2人とも、そのあと合格しています。
- みそ(Miso Life) さん: 2025年5月にベーシック不合格。同じ試験は受け直さず、2025年7月にアドバンストに合格
- 体験談サイトに載った30代男性の投稿(資格講座のリアル体験談): 2024年11月に不合格、3か月後の2025年2月の回で合格
そこで、本人が「ギリギリ」「大変難しかった」と書いた合格者も加えて読みました。
- eumoru さん: 2026年8月、ベーシック70点で合格
- Arichi さん: ベーシック・アドバンストとも70点台前半で合格
- 仲野ひさよ さん: ベーシック合格(点数の記載なし)
- 会計監査のよもやま さん: アドバンストを得点率74%で合格
これに、1回目で合格しつつ分野別の得点に大きな偏りが出た ゼロから学ぶLCA さんを加え、本人が書いた原因を並べたのが次の図です(アドバンストだけの人は除いています)。

人数が少ないので「何%の人が」とは言えません。それでも、原因の顔ぶれは第1回で整理した「苦戦の型」とほぼ重なります。
原因1:動画・講座を見て「わかったつもり」になる
体験談サイトの30代男性は、1回目の敗因を本人がはっきり分析しています。講座の動画を繰り返し見て、「理解できているつもりになっていました。」。そして「実際に問題を解く練習が不足していました。」と振り返っています。似た選択肢の違いを判断できず、Scope1・2・3 の区別でも迷ったそうです。
みそさんも、不合格の回はゴールデンウィーク11日間のうち9日を e-Learning・暗記・復習に使ったと書いています。時間は使っているのに、問題を解いて分かっていない所を見つける工程が薄かった、という点が2人に共通します。
GX検定には 公開された過去問がありません(公式FAQ)。公式サイトで公開されている問題は例題5問だけです。だからこそ、解説つきの問題を解いて、外して、理由を確かめる回数が合否を分けます。インプットを一通り終えてから演習に移るのではなく、最初から解説つきの問題を解き、分かっていない所を見つける工程を先に置くのが安全です。正解の理由と各選択肢の正誤が書かれた解説があれば、解きながら理解まで進められます。実際、第1回で紹介した 上田晃穂 さんは、無料の問題サイトだけを2周して正答率84%で合格しています(本人は「私はこの無料教材だけを2周」と書いています。記事にはアフィリエイトリンクと有料部分があります)。
原因2:手応えを過信する
GX検定は、解き終わるとその場で点数が表示されます。みそさんはその点数を見て、「どう見ても落ちましてね」と不合格を知りました。振り返りには「70点は取れると思い込んでいた私が愚か。」とあります。それまで検定試験に落ちた経験がなかったことも書いています。
合格基準は公式に 「得点率70%を基準としていますが、受験状況により前後します」 とされています(GX検定 ベーシック)。50問なら35問前後の正解が目安ですが、ちょうどの線を狙うのは危険です。実際、eumoruさんは70点ちょうどでの合格でした。
合格率も回によって大きく振れます。通算は74.51%ですが、2024年第4回は53.88%、2025年第4回は55.85%でした(開催実績)。理由は公式に書かれていません。7割超が受かるから大丈夫、と考えず、問題演習で8〜9割取れる状態まで仕上げた合格者(第1回で紹介した型)にならうのが安全です。1回目で90点を取った つみたろ さんでさえ、「何もしなければ普通に落ちそうな難易度だった。」と書いています。
原因3:範囲を絞りすぎる
eumoruさんは体調が優れず、勉強時間がとれなかったため、第1章・第2章に絞って勉強しました。結果は「テキストの第1章と第2章の勉強でギリギリ合格できた」。そのうえで、「やはり全範囲を勉強するのが大事だと思う。」と書いています。
本番の印象として、練習した問題どおりには出題されず、丸暗記より 用語の意味を理解して選択肢を外す問題が多かった とも振り返っています。出題範囲(シラバス Ver.2.0)は6章あり、どの章からも出ます(シラバス・例題)。
原因4:世界の動向・日本の政策が弱い
1回目で82点を取ったゼロから学ぶLCAさんも、分野別に見ると偏りがありました。脱炭素化の背景は100%なのに、「世界の動向:42%」、日本政府の動向は66%。本人は「国内外動向がひどい!」と書き、国内外の政策は表や時系列で整理すべきだったと振り返っています。
この分野は2025年8月の回からシラバスが大きく改定され、GX2040ビジョン・第7次エネルギー基本計画・排出量取引制度・米国の気候変動対策と日本への影響などが加わった範囲です(公式のお知らせ)。第6回で整理した政策の年表を、直前にもう一度見直してください。
原因5:業務知識があっても、覚え方が合わなくても苦戦する
Arichiさんは、会社で電気・ガスの使用量からCO2排出量を計算して国に報告する担当です。それでも「大変難しかったですが、」と書き、結果は「それぞれ、70点台前半でしたので、」と、ベーシック・アドバンストともに70点台前半でした。業務知識があることと、試験範囲を広く押さえていることは別だとわかります。
仲野ひさよさんは、CO2の問題が自分から一番遠いテーマだったそうです。本の大事なところをノートに書き写す方法では「ぜんぜん覚えられない(涙)」状態になり、テキストを耳で聞く勉強に切り替えて、「耳とメモの両方でギリギリ試験に間に合った」と書いています。覚えられないと感じたら、早めにやり方を変えるのも一つの手です。
不合格から立て直した2人がやったこと
次の回で合格した30代男性:演習の比重を上げた
体験談サイトの30代男性が2回目に変えたことは、次の4つでした。
- 模擬問題を解く時間を増やす
- 正解の選択肢だけでなく、ほかの選択肢がなぜ違うかも確認する
- 間違えた部分は、動画に戻って確かめる
- 直前は新しい知識を入れず、間違えた問題の復習に充てる
「動画 → 問題」から「問題 → 動画」へ、順番を入れ替えた形です。これは、1回目で合格した人たちの型(問題を反復し、誤りの理由まで理解する)とそのまま重なります。
ベーシックを飛ばしてアドバンストに合格したみそさん
みそさんは、ベーシックを受け直さずにアドバンストの勉強に移り、2か月後に合格しました。本人はアドバンスト受験時の記事で「5月に受けた下位試験は暗記が多く、」と書き、理解や計算を求められるアドバンストのほうが自分に向いていたと振り返っています。ベーシックの合格は、アドバンストの受験条件ではありません(受験資格は後述の講座の受講です)。
直前1週間・前日・当日のチェックリスト
苦戦した人の原因と、公式の受験ルールをもとに、直前期にやることをまとめました。

直前1週間
- 新しい教材に手を広げない。間違えた問題と、あいまいな用語だけを繰り返す(30代男性の2回目のやり方)。私たちのアプリでも「間違えた問題だけ」に絞って解き直せて、あいまいな用語は解説からタップして用語辞書で確かめられます。それでも腑に落ちない問題はそのままAIに質問できるので、直前期に本を開き直さなくても、アプリの中で確認を済ませられます。本番形式のテストで弱点のカテゴリをグラフで見れば、見直す章も決めやすくなります
- 正解以外の選択肢も、どこが誤りか言えるか を確認する
- 全6章に一度は目を通す。第1・2章だけで終わらせない
- 世界の動向・日本の政策は 年表と数字 で見直す。日本の削減目標は2030年度46%・2035年度60%・2040年度73%(2013年度比)、排出量取引は2026年度から CO2 直接排出10万トン以上の事業者に義務、メタンのGWPは28。古い教材の数字(46%だけ、メタン25、排出量取引は任意)で覚えない
- Scope1・2・3 の区別、似た略語(TCFD・ISSB・SSBJ・SBT など)を自分の言葉で説明できるか確かめる
- シラバス・例題ページを再確認 する。やつづか えり さんは「もっと前から目を通しておけばよかったと思います。」と書いています
- 受験環境を確認 する。Webカメラ付きPC(Windows 11 か macOS 14 以降、タブレット不可)、本人確認書類、本人確認に使うスマホ、個室が必須です(受験環境)。会社のVPN接続では受験できない場合がある、という体験記もあります
前日
- 机の上に置けるのは PC・A4白紙1枚・筆記用具だけ。ベーシックは電卓も使えません。本やメモは片づける
- 部屋の物を別室に移し、クローゼットの服まで隠した合格者もいます(つみたろさん)。カメラに他の人が映ると失格なので、家族に受験の時間帯を伝えておく
- 通知が出るアプリを閉じる。デスクトップ通知に触れても画面離脱になります
当日
- 開始30分前には準備を終える(つみたろさんの推奨)
- 試験中は 離席できず、飲み物も置けません。外部モニター、イヤホン・ヘッドホン、帽子も不可
- マウスカーソルが試験画面の外に出たら、10秒以内に「試験に戻る」を押す。戻らないと強制終了で、復帰も再受験もできません(受験環境)
- 自宅でも 調べながら受けるのは禁止 です(公式FAQ)。不正が見つかると結果は無効で、返金も再受験もありません
- 問題文の「最も不適切なもの」「最も適切なもの」を取り違えない。60分で50問程度なので、1周したあと見直す時間は十分にあった、という体験記が複数あります
- 解き終わると点数が表示されますが、正式な合否は 試験最終日の約2週間後にメール で届きます
合格したあとの「次の資格」:アドバンスト・eco検定などとの違い
ベーシックに合格すると、「環境省認定制度 脱炭素アドバイザー」を名刺に書けます(環境省)。ただし 国家資格ではなく、環境省が民間資格を認定する制度です。有効期限はありませんが、運営は2年に一度の受け直しを勧めています。次に何を受けるかを考える人のために、関連する資格を比べました。

GX検定 アドバンスト:実務寄り・計算あり
アドバンストは「カーボンニュートラル実践講座(中級編)」の受講が受験資格で、受験料12,100円・90分・50問程度、計算問題あり です(GX検定 アドバンスト)。通算合格率は68.07%でした(開催実績)。講座の受講料が別にかかり、体験記には60,500円と書かれています(Equinox さん)。この費用を理由に受験を即決できない、という声もありました。
合格者の体験記からは、次の注意点が読み取れます。
- やつづか えりさんは、算定問題で「単位や、年間/月間といった対象期間を間違えない」ことが重要だと書いています(アドバンストの記事)
- 秋翔設計 の筆者は、講座に計算の時間が3時間あったのに、本番は「計算問題が50問中わずか6問しか出題されなかった」と書いています(アフィリエイトリンクを含む記事)
- 会計監査のよもやまさんは、炭素会計の事前知識があっても「得点率74%でギリギリの合格でした。」
さらに上のスペシャリスト(上級編講座の受講が受験資格・23,100円)は通算合格率49.18%で、3レベルすべてに合格すると「GX検定 マスター」のオープンバッジがもらえます。
eco検定:環境全般の入門。脱炭素アドバイザーの認定はない
東京商工会議所の eco検定は、生物多様性・廃棄物・SDGs なども含めて環境問題を広く問う検定です。IBT(自宅)なら受験料5,500円・90分(eco検定 受験案内)。環境省の脱炭素アドバイザーの認定資格には入っていません。2025年度の合格率は54.7%でしたが、試験時間も範囲も違うので、GX検定と難易度を単純に比べることはできません。2026年の第41回は、申込が10月9日〜20日、試験期間が11月12日〜12月3日です。
ほかの脱炭素アドバイザー資格
環境省の一覧では、脱炭素アドバイザー ベーシックの認定資格は13あります(環境省)。「脱炭素アドバイザー」を名乗ることだけが目的なら、どれでも構いません。そのうえで、次のように分けて考えると選びやすくなります。
- 日本のGX政策と排出量取引を体系的に学びたい → GX検定
- 金融機関で働いている → サステナビリティ・オフィサー(きんざい。テストセンターCBT・50問100分・6,050円)
- 環境全般の教養を広く → eco検定
- 排出量の算定を深めたい → 炭素会計アドバイザー資格(ゼロから学ぶLCAさんが次に受ける予定と書いています)
次の試験日程
これからベーシックを受けるなら、2026年第4回は 受験期間 11月11日(水)12:00〜11月25日(水)17:00、個人の申込締切は10月28日(水)12:00、合否発表は12月10日です(開催スケジュール)。締切の直前にあわてないよう、受ける日の目安を決めたら申込は早めに済ませておきましょう。
連載全10回のふり返り
最後に、この連載で伝えてきたことを1回1行でふり返ります。
- 第1回: 通算合格率は74.51%でも回によって54〜91%と振れる。受かる人は問題を8〜9割まで反復し、理由まで理解していた
- 第2回: 試験は60分・50問程度・合格基準70%(前後あり)。自宅IBTでも調べながら受けるのは禁止、電卓も不可
- 第3回: 合計時間を数字で書いた合格者5人の中央値は20時間。人数が少ないので目安として、試験日から逆算して計画する
- 第4回: 過去問は公開されない。解説・用語の確かめ方・復習の仕組みがそろい、アプリ1つで完結できる教材を選んで、問題演習だけで理由まで解けるようにする
- 第5回: 第1・2章は気候変動の科学と国際枠組み・カーボンプライシング・開示の略語。メタンのGWPは28
- 第6回: 第3・4章は世界の動向と日本のGX政策。削減目標46/60/73%、排出量取引は2026年度から義務
- 第7回: 第5章は Scope1・2・3(15カテゴリ)とTCFDの4項目。Scopeの区別は苦戦した人がつまずいた所
- 第8回: 第6章は再エネ・水素・アンモニア・CCUS・DACCSなどの技術。略語は整理して覚える
- 第9回: 当日は受験環境の準備が勝負。カーソル10秒ルールと「最も不適切なもの」の読み違いに注意
- 第10回: 苦戦の原因は「わかったつもり」「過信」「範囲の絞りすぎ」「政策分野」。直前は手を広げず、全範囲を見直す
まとめ:「わかったつもり」を問題演習でつぶす
苦戦・不合格の体験記から見えたことをまとめます。
- 不合格の一次体験記は2人だけで、どちらも点数はなく、どちらも後に合格している
- 原因として目立つのは 動画・講座で「わかったつもり」、手応えの過信、範囲の絞りすぎ、世界・日本の政策分野の弱さ
- 立て直した人は、問題を解く時間を増やし、ほかの選択肢の誤りまで確認し、直前は復習に集中 していた。無料の問題サイトだけで84%を取った合格者もいて、本をそろえなくても問題演習で仕上げられる
- 合格基準は70%を基準に前後し、合格率も回で大きく振れる。ギリギリではなく8〜9割を目標 に
- 直前は 全6章の見直し・新しい数字の確認・受験環境のチェック。当日は カーソル10秒ルール を忘れない
ベーシックに受かったら、アドバンストに進むのか、別の分野の資格で幅を広げるのかを、目的に合わせて選んでください。
GX検定 攻略シリーズは、今回で最終回です。10回分の内容が、これから受ける人、もう一度挑戦する人の準備に役立てばうれしいです。
GX検定の500問をアプリで解くなら「ナレッジバンドル」

資格対策アプリ「ナレッジバンドル」には、GX検定のオリジナル問題500問がすべて入っています。スキマ時間に1問ずつ解いて、間違えた問題だけを繰り返せます。
- 全問に解説つき。解説の用語はタップでGX検定専用の用語辞書が開き、関連用語もたどれる
- 解説を読んでも引っかかったら、その問題をそのままAIに質問。Google検索もワンタップ
- 忘却曲線で復習を自動出題。「間違えた問題だけ」「未回答だけ」「ランダム」など出題の絞り込みも自由
- 本番形式テストで、いまの合格率と弱点カテゴリをグラフで確認
- 広告なし。全教材は無料体験できます
GX検定のほか、100以上の資格・検定(レビュー中含む)が1つのアプリで使い放題です。アプリ内の教材追加画面で「GX検定」と検索してください。
※この記事は2026年9月26日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や日程、受験環境の条件は変わることがあるので、受験前に必ずGX検定の公式サイトで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。