GX検定ベーシック第6章対策:脱炭素技術の覚え方

GX検定ベーシック攻略シリーズの第8回です。この連載では、2025年以降に公開された受験記26人分を読み込み、公式の発表と突き合わせながら、合格に効くやり方を整理しています。
今回は、シラバスの最後の章 「第6章 脱炭素技術とイノベーション」 を扱います。再エネ、水素、アンモニア、CCS、CCUS、DACCS、BECCS……と、カタカナとアルファベットが一気に増える章です。
第6章は後回しにされがちですが、体験記を読むと軽く見てよい章ではありません。
- 約20時間の勉強で82点を取った ゼロから学ぶLCA さんの分野別の正答率は、「脱炭素の技術」が87%でした。世界の動向(42%)ほど崩れてはいませんが、満点ではありません。
- 時間が取れず第1・2章を中心に勉強して70点ちょうどで合格した eumoru さんは、「やはり全範囲を勉強するのが大事だと思う。」と振り返っています。
- 1回目に不合格だった30代男性の投稿(体験談サイト 資格講座のリアル体験談 掲載)は、敗因の一つとして、似た選択肢の違いを判断できなかったことを挙げています。略語が並ぶ第6章は、まさにそういう選択肢が作りやすい分野です。
この記事では、第6章を 「3つの箱」に分けて整理し、略語を分解して覚える方法 と、生成AIを使った噛み砕き方をまとめます。
略語が並ぶ章なので、私たちが作っている資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」でも、解説の用語をタップすると専用の用語辞書が開くようにしています。後半では、この用語辞書と生成AIへの質問を問題演習にどう組み込むかも書きます。
第6章は「3つの箱」で整理する
まず、出題範囲を公式のシラバスで確認します。現行のベーシック シラバス(Ver.2.0、2025年8月の回から適用)では、第6章は次の4つの中項目に分かれています(シラバス・例題、シラバス PDF)。
- GX技術の全体像: GX技術の体系と分類
- 電源の脱炭素化: 水力・太陽光・風力・地熱・バイオマス・原子力の各発電、火力発電+CCS
- 脱炭素化を支える技術: 蓄電池、水素・アンモニア、バイオマス・代替燃料、バイオ素材、カーボンリサイクル技術、製造プロセスの脱炭素化、ジオエンジニアリング
- ネガティブエミッション技術: 分類・定義、DACCS、BECCS、植林・再生林、バイオ炭、ブルーカーボン管理
「全体像」は残りの3つを見渡す項目なので、実際に覚える中身は 「①電気をつくる段階で出さない」「②電気以外の分野で出さない・出たCO2を使う」「③すでに大気中にあるCO2を減らす」 の3つの箱に入ります。

この3つの箱を頭に入れておくと、選択肢を読んだときに「これはどの箱の話か」で整理でき、箱をまたいだひっかけに気づきやすくなります。
箱① 電源の脱炭素化:再エネの「課題」と「支える技術」をセットで
7つの電源と「火力+CCS」
シラバスに並んでいるのは、水力・太陽光・風力・地熱・バイオマス・原子力、そして 火力発電+CCS です。火力そのものではなく「+CCS」と組み合わせた形で載っている点に注意してください。火力で出たCO2を回収して地下に貯める、という考え方です。
国の方針としては、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画で、2040年度の電源構成を 再エネ4〜5割程度・原子力2割程度・火力3〜4割程度 と見通しています(経済産業省)。この数字自体は第4章(日本政府の動向)の範囲ですが、「2040年度でも火力が3〜4割残る」ことが、火力の脱炭素化(CCSや水素・アンモニアの混焼)が技術の章に入っている理由だと考えると、章をまたいで覚えやすくなります。
再エネの課題は「天候で出力が変わる」
公式サイトで公開されている例題5問の中には、「再生可能エネルギーの課題」を問う問題があります(シラバス・例題)。
国の水素基本戦略(2023年6月改定)も、「再生可能エネルギーには、その出力が天候に応じて変動するものがある」と書いたうえで、余った再エネ電気を水素に変えて貯める「調整力」の役割に触れています(水素基本戦略)。
つまり、「再エネの弱点(出力の変動)」と「それを補う技術(蓄電池・水素など)」はペアで出る と考えて覚えるのが効率的です。シラバスで蓄電池が電源の項目のすぐ後に並んでいるのも、この関係で読むと覚えやすくなります。
新しい太陽電池:ペロブスカイト
太陽光で押さえておきたい新しいキーワードが、ペロブスカイト太陽電池 です。2024年11月に官民協議会がまとめた「次世代型太陽電池戦略」では、2040年に約20GWの導入 を目指すとしています。軽くて曲げられるため、これまで太陽電池を置きにくかった場所にも設置できるのが特徴です(環境省 資料 2026年3月)。シラバスに名前は明記されていないので、「太陽光発電の最新動向」として押さえる程度で十分です。
箱② 脱炭素化を支える技術:水素は「色」より「排出量」
水素とアンモニアは「燃やしてもCO2が出ない」
水素基本戦略は、水素を「燃焼時にCO2を排出しないことから」カーボンニュートラルの鍵になるエネルギーと位置づけています。ここでいう「水素」には、アンモニアや合成メタン(e-methane)、合成燃料(e-fuel) も含めて扱うと明記されています(水素基本戦略)。
覚えておきたい数字は次のとおりです(すべて同戦略から)。
- 水素(アンモニアを含む)の導入目標: 2030年に最大300万トン/年、2040年に1,200万トン/年程度、2050年に2,000万トン/年程度
- アンモニア発電: 石炭火力へのアンモニア混焼を実証中で、100万kWの実機で20%混焼 の試験を行い、2020年代後半の商用運転を目指す
- 製鉄: 石炭ではなく水素で鉄をつくる 水素還元製鉄 の技術開発(シラバスの「製造プロセスの脱炭素化」にあたる)
グリーン・ブルー・グレーの色分けと、日本の「低炭素水素」
水素は、作り方によって色で呼び分けられることがあります。化石燃料からつくりCO2をそのまま出すものがグレー、同じく化石燃料からつくるがCO2を回収して貯留・利用するものがブルー、再エネの電気で水を電気分解してつくるものがグリーンです(三菱重工 SPECTRA)。
ただし、日本の政策はこの色分けを基準にしていません。水素基本戦略は、「ブルー・グリーンといった色によらない」、CO2の排出量を基準とする 炭素集約度 で考える方針を示し、製造時のCO2排出量が 水素1kgあたり3.4kg-CO2e以下 のものを「低炭素水素」と設定しています(同上)。
2024年5月には、この低炭素水素等の供給・利用を後押しする 水素社会推進法 が成立しました(2024年10月施行)。価格の高い低炭素水素等と既存の燃料との価格差を、供給開始から15年間 支援する「価格差に着目した支援」などが柱で、支援の規模は 3兆円規模 とされています(資源エネルギー庁 資料 2025年3月)。
試験対策としては、「色の名前は一般的な呼び方、日本の制度は排出量(炭素集約度)で線を引く」 と整理しておくと、選択肢のひっかけに強くなります。
CCS・CCUS・カーボンリサイクル
火力や工場から出るCO2を回収して地下に貯めるのが CCS、回収したCO2を利用もするのが CCUS です。
- カーボンリサイクル: CO2を資源と捉えて分離・回収し、コンクリートなどの鉱物、化学品、燃料などに再利用する取り組み(資源エネルギー庁 カーボンリサイクルについて)。CCUSの「U(利用)」の部分をくわしくしたもの、と押さえておくとつながります。
- CCSの目標: 水素基本戦略は、「2030年までに年間貯留量600万トンから1,200万トンの確保にめどをつけることを目指す」としています(水素基本戦略)。
- CCS事業法: 水素社会推進法と同じく2024年5月に成立し、5月24日に公布されました。試掘や貯留事業を許可制にし、国が指定した区域で公募により事業者を選ぶ仕組みです(長島・大野・常松法律事務所)。
「水素社会推進法とCCS事業法は、2024年5月に同時に成立した2つの新法」とセットで覚えておきましょう。

箱③ ネガティブエミッション技術:「すでにあるCO2」を減らす
ネガティブエミッション技術は、大気中のCO2を取り除く 技術です。箱①②が「これから出すCO2を減らす」話なのに対して、箱③は「すでに大気にあるCO2を減らす」話です。
- DACCS: 大気中から技術的に直接CO2を回収し(DAC)、地下に貯留する(CCS)
- BECCS: バイオマスをエネルギーとして使ったときに出るCO2を回収し、地下に貯留する。植物が育つときに吸ったCO2を貯めることになるので、差し引きで大気のCO2が減る
- 植林・再生林: 森林によるCO2吸収量を増やす
- バイオ炭: バイオマスを炭にして、中の炭素を長期間閉じ込める
DACCSとBECCSは、どちらもCCSを使う方法で、ほかの手法に比べて技術の成熟度が比較的高く、除去量を測りやすいとされています(日本エネルギー経済研究所)。
- ブルーカーボン: 沿岸・海洋の生態系が光合成でCO2を取り込み、海底や深海に蓄えられる炭素のこと。2009年に国連環境計画(UNEP)の報告書で紹介された言葉で、藻場(海草・海藻)、塩性湿地・干潟、マングローブ林が主な吸収源です(環境省)。
ここで大事なのが、「火力発電+CCS」はネガティブエミッションではない という点です。化石燃料を燃やして出たCO2を回収しても、大気中のCO2が減るわけではありません。シラバスでも、火力+CCSは「電源の脱炭素化」、DACCS・BECCSは「ネガティブエミッション技術」と別の項目に置かれています。
略語は「分解」して覚える
第6章でいちばん苦労するのが略語です。丸暗記するより、アルファベットを部品に分解する と一気に楽になります。

部品は、次の5つだけです。
- C = Carbon(炭素)
- CS = Capture & Storage(回収・貯留)
- U = Utilization(利用)
- DAC = Direct Air Capture(大気から直接回収)
- BE = BioEnergy(バイオエネルギー)
これを組み合わせると、CCS(炭素を回収・貯留)、CCUS(回収して利用・貯留)、DACCS(大気から直接回収して貯留)、BECCS(バイオエネルギー+回収・貯留)がすべて読み解けます。「最後が CS で終わるものは地下に貯める」と覚えておくと、DACCSとBECCSがどちらも貯留を含むことも自然に出てきます。
似た言葉の混同にも注意しましょう。
- ブルー水素 と ブルーカーボン は、同じ「ブルー」でも無関係です。前者は化石燃料由来でCO2を回収した水素、後者は海の生態系が蓄える炭素です。
- カーボンリサイクル は「CO2を使う」、CCS は「CO2を貯める」。CCUSはその両方を含む言葉です。
70点で合格した eumoru さんは、練習した問題どおりには出題されず、丸暗記より用語の意味を理解して選択肢を外す問題が多かったと書いています。略語を「意味の部品」で覚えておけば、初めて見る言い回しの選択肢でも判断できます。
自作の例題で確認
過去問は公開されていないので、ここでは編集部が作った オリジナルの例題 で確認してみます(本番の問題ではありません)。
ネガティブエミッション技術に関する記述として、最も不適切なものを1つ選べ。
- DACCSは、大気中のCO2を直接回収し、地下に貯留する技術である
- BECCSは、バイオマスのエネルギー利用で発生したCO2を回収・貯留する技術である
- 石炭火力発電所の排ガスからCO2を回収して貯留する取り組みは、ネガティブエミッション技術に分類される
- ブルーカーボンは、沿岸・海洋生態系が光合成で取り込み、海底などに蓄積される炭素を指す
正解は 3 です。火力+CCSは排出を減らす技術ですが、大気中のCO2を取り除くわけではないので、ネガティブエミッション技術には入りません。「どの箱の話か」を考えれば、迷わず外せる選択肢です。
生成AIで「噛み砕く」ときのコツ
第6章のように専門用語が多い分野では、生成AIを家庭教師として使う方法が役に立ちます。体験記26人のうち5人が生成AIを勉強に使っていました。
- ゼロから学ぶLCAさんは、生成AIに試験範囲の四択問題を作らせ、数値や制度名は公式資料で確認していました。
- eumoruさんは、わからない用語をChatGPTに「分かりやすく解説して」と頼んでいました。
- いけがみおさむ さんは、シラバスのPDFを読ませて解説レポートや用語集、予想問題を作らせ、「合格までの勉強は生成AIのみでおこないました。」と書いています。
第6章なら、次のような頼み方が使えます。
- 「CCS・CCUS・DACCS・BECCSの違いを、中学生にわかる言葉で、1つずつ1文で説明して」
- 「ネガティブエミッション技術と、そうでない技術を見分けるポイントを教えて」
- 「水素・アンモニア・蓄電池について、GX検定ベーシック向けの四択問題を5問作って。正解の理由と、ほかの選択肢が違う理由もつけて」
ただし、数字と制度の日付は必ず公式資料で確かめてください。水素の導入目標や低炭素水素の基準、法律の成立年のような数字は、生成AIが古い情報や別の国の数字を答えることがあります。また、生成AIを使ってよいのは勉強中だけです。GX検定は自宅で受ける試験ですが、調べながら受けることは禁止されています(よくある質問)。
問題演習と生成AIを組み合わせる形は、私たちのアプリの中でもできます。解説を読んでも引っかかった問題は、その問題をそのままAIに質問でき、解説に出てくる「DACCS」「炭素集約度」などの用語はタップすると専用の用語辞書が開きます。自分で問題を作らせる手間をかけずに、「解いて、わからない所だけ噛み砕く」流れにできます。略語の多い第6章でも、解説・用語辞書・AIへの質問がそろっていれば、技術の本を別に読み込まなくても、問題演習の中で理解まで進められます。
11月の試験に向けて
次回の2026年第4回は、受験期間が 11月11日(水)〜11月25日(水)、個人の申込締切は 10月28日(水)12:00 です(開催スケジュール)。運営は株式会社Beyont(旧スキルアップNeXt)です。第6章は略語が多く、直前に詰め込むと混同しやすい章なので、「3つの箱」と「部品」の整理は早めに済ませておきましょう。
まとめ:第6章は「箱」と「部品」で覚える
- 第6章は ①電源の脱炭素化 ②脱炭素化を支える技術 ③ネガティブエミッション技術 の3つの箱で整理する
- 再エネは 「出力が天候で変わる」課題と、蓄電池・水素などの支える技術 をセットで覚える
- 水素は色の呼び名より、日本の制度は 炭素集約度(1kgあたり3.4kg-CO2e以下が低炭素水素) で線を引く
- 水素の導入目標は 2030年最大300万トン・2040年1,200万トン・2050年2,000万トン。水素社会推進法とCCS事業法は 2024年5月に成立
- 火力+CCSはネガティブエミッションではない。DACCS・BECCS・植林・バイオ炭・ブルーカーボンが箱③
- 略語は C・CS・U・DAC・BE の部品に分解する
- 生成AIは噛み砕き役に便利。ただし 数字は公式資料で確認、試験中は使わない
連載の第9回では、試験当日の受け方として、自宅IBTの準備、禁止事項、カーソル10秒ルール、そして70%に届かせる解き方をまとめます。
GX検定の500問をアプリで解くなら「ナレッジバンドル」

資格対策アプリ「ナレッジバンドル」には、GX検定のオリジナル問題500問がすべて入っています。スキマ時間に1問ずつ解いて、間違えた問題だけを繰り返せます。
- 全問に解説つき。解説の用語はタップでGX検定専用の用語辞書が開き、関連用語もたどれる
- 解説を読んでも引っかかったら、その問題をそのままAIに質問。Google検索もワンタップ
- 忘却曲線で復習を自動出題。「間違えた問題だけ」「未回答だけ」「ランダム」など出題の絞り込みも自由
- 本番形式テストで、いまの合格率と弱点カテゴリをグラフで確認
- 広告なし。全教材は無料体験できます
GX検定のほか、100以上の資格・検定(レビュー中含む)が1つのアプリで使い放題です。アプリ内の教材追加画面で「GX検定」と検索してください。
※この記事は2026年9月26日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や日程、出題範囲は変わることがあるので、受験前に必ずGX検定の公式サイトとシラバスで確認してください。政策の数値は官公庁の資料から、体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。