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GX検定のコラム第6回 / 全10回

GX検定ベーシック第3・4章対策:日本のGX政策

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

GX検定ベーシック第3・4章対策:日本のGX政策

「GX検定 攻略シリーズ」の第6回です。この連載では、第1回で2025年以降に公開されたGX検定の体験記26人分を読み込み、公式情報と突き合わせて合格に効くやり方を整理しています。

今回は、シラバス(出題範囲)の 第3章「世界の動向」と第4章「日本政府の動向」 を扱います。体験記を読んでいて、いちばん点を落としやすいと感じたのがこの2つの章でした。

私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、GX検定の500問には全問に、正解の理由だけでなく各選択肢がなぜ正しいか・なぜ違うかの解説を付けています。年や数字を少しずらした選択肢が並びやすいこの2つの章では、その「違う理由」まで読めるかどうかで差が出ます。


政策の2章で点を落とす人が多い

約20時間の勉強で82点(記事の時点では正式発表前)をとった ゼロから学ぶLCA さんは、2026年8月に公開した受験記で分野別の正答率を示しています。

  • 脱炭素化の背景: 100%
  • 脱炭素化に向けた動き: 100%
  • 世界の動向: 42%
  • 日本政府の動向: 66%
  • 企業の取組: 90%
  • 脱炭素の技術: 87%

ほかの章はほぼ満点なのに、政策の2章だけが大きくへこんでいます。本人も「国内外動向がひどい!」と書き、国内外の政策は表や時系列で整理すべきだった、と振り返っています。

逆のパターンもあります。2026年8月に70点ちょうどで合格した eumoru さんは、体調を崩して時間がとれず、「テキストの第1章と第2章の勉強でギリギリ合格できた」そうです。そのうえで「やはり全範囲を勉強するのが大事だと思う。」とまとめています。第3・4章を捨てると、合格基準の70%はぎりぎりになる、ということです。

この2章が難しくなった理由もはっきりしています。運営のBeyont(旧スキルアップNeXt)は、2025年8月の試験からシラバスを大きく改定し、GX2040ビジョン・第7次エネルギー基本計画・2040年度のエネルギー需給見通し・排出量取引制度、そして「米国の気候変動対策と日本への影響」を追加しました(GX検定 ベーシック シラバス大幅改定のお知らせ)。政策は毎年動くので、古い教材や古い対策記事の数字がそのまま通用しない 分野です。


第3章「世界の動向」で押さえること

第3章のキーワードは、シラバスでは国別のCO2排出量、カーボンニュートラルの宣言状況、NDC、グローバル・ストックテイク、炭素生産性、米国の対策と日本への影響、EUタクソノミー、中国の五カ年計画とEV政策などです(シラバス)。

NDCとグローバル・ストックテイク

  • NDC(国が決定する貢献): パリ協定のもとで各国が出す削減目標です。日本は2025年2月18日に、2035年度60%・2040年度73%削減(2013年度比)の新しいNDCを国連に提出しました(環境省)。
  • グローバル・ストックテイク(GST): パリ協定の目的に向けた世界全体の進み具合を評価する仕組みです。第1回はCOP28(2023年、ドバイ)で完了 しました(環境省 脱炭素ポータル)。

NDCは「各国の目標」、GSTは「世界全体の答え合わせ」と、主語の違いで区別すると混乱しません。

米国・EU・中国

  • 米国: トランプ大統領が2025年1月にパリ協定からの再離脱を命じ、国連への通知から1年後の 2026年1月27日に正式に離脱 しました(日本経済新聞)。シラバスは、これが日本にどう影響するかまで範囲に入れています。
  • EU: シラバスのキーワードはEUタクソノミー(環境に配慮した経済活動を分類する仕組み)です。第5回で扱ったCBAM(国境炭素調整)とあわせて、EUは「ルールを作る側」として整理しておきます。
  • 中国: 五カ年計画とEV政策がキーワードです。公式サイトの例題5問にも、中国のカーボンニュートラル目標を扱う問題があります(シラバス・例題)。

期限付きのカーボンニュートラル目標を掲げる国・地域は、2025年2月時点で146にのぼります(資源エネルギー庁)。

COP30は「最新の状態」として押さえる

2025年11月にブラジル・ベレンで開かれたCOP30では、緩和・気候資金・一方的な貿易制限措置の3要素からなる「グローバル・ムチラオ決定」がまとまり、適応資金を3倍にしていく努力や、NDC未提出国への早期提出の呼びかけが盛り込まれました(環境省 脱炭素ポータル)。

シラバスの最終更新は2025年4月30日なので、COP30の個別の決定はシラバスに書かれていません。ただ、公式FAQは、周辺の知識も自分で身につける必要があるとしています。深入りはせず、「直近のCOPはどこで、何が決まったか」を1行で言える程度にしておくのが現実的です。


第4章「日本政府の動向」は年表で覚える

第4章は、固有名詞と年がとにかく多い章です。ゼロから学ぶLCAさんの反省どおり、時系列に並べると一気に覚えやすくなります。世界の動きと並べた年表を作りました。

流れを文章にすると、次のようになります。

  1. 2020年10月: 菅総理が所信表明演説で2050年カーボンニュートラルを宣言(環境省資料)
  2. 2020年12月: グリーン成長戦略。成長が期待される14分野の実行計画(経済産業省)
  3. 2023年: 2月にGX実現に向けた基本方針を閣議決定、GX推進法・GX脱炭素電源法が成立、7月にGX推進戦略を閣議決定(経済産業省)
  4. 2025年2月18日: 地球温暖化対策計画・GX2040ビジョン・第7次エネルギー基本計画を 同じ日に閣議決定
  5. 2025年5月: 改正GX推進法が成立し、排出量取引への参加が義務に
  6. 2026年度: 排出量取引制度がスタート。2028年度に化石燃料賦課金、2033年度に発電事業者の有償オークションが続く

いちばん大事なのは4の「2025年2月18日の3点セット」です。シラバスの2025年改定の目玉なので、ここは確実に取りたいところです。


3点セットと排出量取引の数字

削減目標と電源構成

  • 削減目標(2013年度比): 2030年度46%(さらに50%の高みを目指す)→ 2035年度60% → 2040年度73% → 2050年ネット・ゼロ(環境省 地球温暖化対策計画の概要)
  • 現状: 2024年度の排出・吸収量は約9億9,400万トンで、2013年度比28.7%減。初めて10億トンを下回りました(環境省)
  • 2040年度の電源構成(第7次エネルギー基本計画): 再エネ4〜5割程度・原子力2割程度・火力3〜4割程度。発電電力量は1.1〜1.2兆kWh程度、エネルギー自給率は3〜4割程度(資源エネルギー庁)
  • 2023年度(速報)は再エネ22.9%・原子力8.5%・火力68.6%、自給率15.2%(同上)
  • エネルギー政策の原則は S+3E(安全性・エネルギー安定供給・経済効率性・環境適合性)

「46%だけ」で覚えている古い教材に注意してください。60%・73%は2025年2月に加わった数字です。

GX2040ビジョン

GX推進戦略(2023年7月)を改訂したもので、GX産業構造・GX産業立地・現実的なトランジション・成長志向型カーボンプライシング構想・公正な移行など8つのパートで構成されています。政府は今後10年間で150兆円超の官民GX投資を実現するとしています(経済産業省)。その呼び水となる先行投資支援が、10年間で20兆円規模のGX経済移行債です。

排出量取引制度(GX-ETS)

2026年の試験でいちばん「古い知識」との差が出るのがここです。以前は、GXリーグに参加した企業が自主的に取り組む仕組みでした。今は法律で義務になっています。

  • 対象: CO2の直接排出量が、前年度までの3年度平均で 10万トン以上 の事業者
  • 開始: 2026年度(2026年4月から)
  • しくみ: 政府が対象者に排出枠を割り当て、対象者は毎年度、排出実績と同じ量の排出枠を期限までに持つ義務を負う。枠が余れば売り、足りなければ買える(以上、経済産業省 排出量取引制度)
  • 割当は無償。価格が乱高下しないよう、排出枠に上限・下限の価格を設ける(経済産業省 2025-02-25)
  • 対象は300〜400社、日本の排出量の約6割とされます(PwC 解説)
  • この先の段取り: 2028年度に化石燃料賦課金、2033年度に発電事業者の有償オークション

2026年度の上下限価格(1トンあたり4,300円・1,700円)も決まっていますが、シラバスにない細かい金額なので、「上限と下限がある」という仕組みを優先して覚えれば十分だと考えます。

温対法・SHK制度・省エネ法

第4章にはこのほか、温対法とSHK制度(温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度)、省エネ法、地域脱炭素ロードマップ・脱炭素先行地域も入っています。SHK制度では2024年度の報告からメタンの地球温暖化係数(GWP)が25から28に変わりました(環境省 脱炭素ポータル)。第5回で扱った数字ですが、制度の名前とセットで出ることもあるので、ここで見直しておきましょう。


政策の2章を得点源にする3つのコツ

1. 「年」と「数字」をセットにしたカードを作る

政策分野の選択肢は、年や数字を入れ替えた「ひっかけ」を作りやすい形です。「2040年度・73%」「2026年度・10万トン」「2040年度・再エネ4〜5割」のように、年と数字を1枚のカードにして覚える と、入れ替えに気づけます。

2. 用語の意味から選択肢を外す

体験記では、丸暗記より用語の意味を理解して選択肢を外す問題が多い、という声が出ています(eumoruさん)。NDCとGST、GX推進法とGX脱炭素電源法、GX推進戦略とGX2040ビジョンのように、似た名前を「何のためのものか」で説明できるか を確かめてください。

排出量の報告を仕事にしている Arichi さんでも、ベーシックは70点台前半で、「大変難しかったですが、」と書いています。業務知識があっても、政策の年表は別に覚える必要があります。

3. 自作の例題で確認する

GX検定の過去問は公開されていません。確認用に、編集部で 自作した例題 を3問載せます(本番の問題ではありません)。

  • 問1: 日本が2025年2月に国連に提出したNDCで、2040年度の削減目標(2013年度比)は何%か。→ 答え: 73%
  • 問2: 2026年度から排出量取引制度への参加が義務になるのは、CO2の直接排出量がどれだけの事業者か。→ 答え: 前年度までの3年度平均で10万トン以上
  • 問3: 第7次エネルギー基本計画の2040年度の見通しで、最も割合が大きい電源は何か。→ 答え: 再生可能エネルギー(4〜5割程度)

すぐに答えられなかった数字は、上の図に戻って確認しましょう。

3問だけでは、年や数字を入れ替えたひっかけに慣れるには足りません。政策の2章は、解説つきの問題を数多く解いて、外した問題を何度も解き直すのが近道です。私たちのアプリ「ナレッジバンドル」なら、冒頭で書いた解説に加えて、「GX2040ビジョン」「NDC」のような用語はタップすると専用の用語辞書で確かめられます。政策の本を別に読み込まなくても、問題を解きながら年表の中身まで理解していけます。「間違えた問題だけ」に絞って解き直せますし、忘却曲線に沿って復習の問題を自動で出してくれるので、覚えたはずの年と数字が抜け落ちる前にもう一度確かめられます。


次回試験の日程

次の2026年第4回は、受験期間が 11月11日(水)〜11月25日(水)、個人の申込締切は 10月28日(水)12:00 です。合否発表は12月10日の予定です(開催スケジュール)。政策の数字は試験の直前にもう一度見直すつもりで、年表と数字の整理を早めに始めておきましょう。


まとめ:第3・4章は「年表」と「3点セット」で取りにいく

  • 政策の2章は、ほかの章が満点でも 42%・66%までへこむ ことがある(ゼロから学ぶLCAさん)
  • 第3章は NDC(各国の目標)とGST(世界の答え合わせ)、米国の離脱(2026年1月27日)を押さえる
  • 第4章は 2020年のCN宣言から2033年度までを年表 にする
  • 最重要は 2025年2月18日の3点セット: 削減目標46/60/73%、2040年度の電源構成、GX2040ビジョン
  • 排出量取引は 2026年度から・10万トン以上・義務。「任意の取り組み」で覚えている人は更新する

次回の第7回は、第5章「企業の取組」です。体験談サイトに載った30代男性の投稿で、1回目の不合格の原因のひとつに挙がっていたScope1・2・3の区別と15カテゴリ、TCFDの4項目を整理します。


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※この記事は2026-09-26時点の公開情報をもとにしています。政策の数値は経済産業省・環境省の公表資料で確認していますが、試験の制度・日程・出題範囲は変わることがあるので、受験前に必ずGX検定 公式サイトとシラバスを確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。

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