ナレッジバンドル
G検定のコラム第6回 / 全10回

G検定のカンペと検索の本当の話

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

G検定のカンペと検索の本当の話

「G検定はカンペOKらしい」「ネットで調べながら解ける」。G検定を調べ始めると、こうした話をよく目にします。

この連載は、第1回で紹介したとおり、G検定の受験記44件と不合格体験記8件、合わせて52件を読み込み、JDLA(日本ディープラーニング協会)の公式情報と突き合わせて書いています。連載第6回の今回は、カンペ(自作の用語集・チートシート)と検索について、公式に書かれていること、体験記に書かれていること、時間の計算から言えること を分けて整理します。

先に結論を書いておきます。カンペは「作る」ことに価値があり、本番で「見る」ことを前提にした準備は危ない。 これが、公式情報と体験記の両方から見えたことです。

私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、G検定の解説に出てくる用語はタップすると専用の用語辞書が開くようにしています。カンペも用語辞書も、本番で頼るためではなく、分からない言葉をその場で引いて覚えていくための道具だと考えているからです。


公式には「資料参照可」とは書かれていない

まず、いちばん誤解が多いところからです。

JDLAの公式サイトやFAQを確認しても、「カンペや書籍を見ながら受けてよい」と書かれた記載は見つかりません。FAQにも、試験中に資料を参照してよいかどうかを扱った項目はありません(JDLA FAQ)。「カンペOK」という言い方は、あくまで受験者や解説記事のあいだで広まった言い方で、公式のルールとして示されたものではありません。

一方で、JDLAの利用規約には、はっきり禁止されていることがあります。第8条(禁止事項)には、次のような項目が並んでいます(JDLA 利用規約)。

  • 「本サービスを不正の目的をもって利用すること」
  • 試験問題の全部または一部について「漏えいにつながる一切の行為、またはそのおそれのある行為」。括弧書きで、保存・複製・配布・送信・公開などが例として挙げられている

つまり、試験画面を撮影する、問題文を書き写して外に出す、問題文を誰かやどこかのサービスに送る といった行為は、規約上はっきり禁止です。生成AIに問題文を入力することも「送信」に当たるおそれがあります。

また、受験開始時に同意する受験規約には、カンニングや試験中に援助を受けるといった不正行為があった場合に結果が取り消される可能性がある旨が書かれている、と複数の解説記事が紹介しています。ただし、この同意画面の原文は今回の調査では確認できていないため、ここでは「そう紹介されている」にとどめます。

オンライン試験で自作の資料を見ることについては、自宅受験では監視が無いため事実上黙認されているだけで、公式に認められているわけではない、というのが民間の解説記事の多数の見方です(G検定ナビ)。この記事でも、公式に認められていないものを前提に準備を組み立てることはおすすめしません。


会場試験では、そもそも見られない

G検定には、自宅などで受けるオンライン試験のほかに、テストセンターで受ける会場試験(CBT方式)があります。会場試験のルールは明確です(JDLA FAQ / CBT-Solutions)。

  • 手荷物はすべてロッカーに預ける
  • 電卓は持ち込めず、画面上の電卓を使う
  • 筆記用具とメモ用紙は会場で渡され、試験後に回収される

会場試験では、カンペも検索も物理的に使えません。自分の頭に入っている知識だけで解くことになります。

そして、公式の数字を見ると、会場試験の合格率は同じ回のオンライン試験より毎回はっきり低くなっています(JDLA 2026年第5回 開催結果)。

  • 2026年第2回:オンライン 78.83% / 会場 64.83%
  • 2026年第3回:オンライン 85.02% / 会場 70.29%
  • 2026年第5回:オンライン 79.93% / 会場 62.56%

会場のほうが試験時間は20分長い(オンライン100分、会場120分、どちらも145問程度)のに、合格率は14〜17ポイント低い。理由をJDLAは説明しておらず、受験者層の違いなど別の要因もありえるので、因果関係は分かりません。ただ、「調べられる前提」で準備した人が会場では通用しない、という可能性は十分に考えられます。

なお、次回の2026年第6回(11月6日・7日)はオンライン試験のみです。それでも、2027年は1・5・9月に会場試験が予定されているので、どちらで受けても通用する準備をしておくほうが安全です。


体験記の声:「作ったけれど、ほとんど見なかった」

では、実際にカンペを用意した受験者は、本番でどう使ったのでしょうか。52件の体験記で目立ったのは、作ったけれど本番ではほとんど見なかった という声です。

  • 2026年第2回に合格した たかなし さん:「カンペシートも一応作成しましたが、ほとんど見ませんでした。」
  • 2025年第6回に受験した SRのR さん:「チートシートらしきものを作ったけど、試験中全く見ませんでした」
  • 2024年第6回に合格した msys825 さん:用意した資料は「探す時間がもったいなくてほとんど使いませんでした」
  • 2026年第5回を受験した かずさん:用意したメモについて「メモの内容はあまり役立ちませんでした(泣)」「メモを見ても答えに繋がらないというか」

見なかった理由として共通しているのは、時間が足りない ことです。2024年の試験を受けた スキルフルな人生 さんは、全問を解き終えたのが終了5分前だったと書き、「チートシートなんか使う暇ないじゃん」と振り返っています。

検索についても同じです。2回の不合格を経て合格した さくらさくら日記 の筆者は、1回目の受験(120分で200問弱だった旧形式の頃)を振り返って、調べ物の時間についてこう書いています。

「参考書やググって調べるとすぐに2分~3分ロスします。結果、最後は慌てます。」

この方は、合格した3回目の受験でも時間が足りなくなり、30問ほどはチェックを付けただけで終わったと書いています。heiyoshilog の筆者も、「全てを調べて回答することは時間的に不可能です」と書いています。


時間の計算で見ると、調べられるのは数問だけ

「1回2〜3分」という体験記の数字を使って、2026年のオンライン試験(100分・145問)で何問調べられるかを計算してみます。

1問あたりに使える時間は、100分÷145問で 約41秒 です。全問に一度答えたあと、見直しに残せる時間の中でしか調べ物はできません。

たとえば見直しに20分を残すには、1周目を1問あたり約33秒で解き切る必要があります。そのうえで調べられるのは、1回3分なら6問、1回2分でも10問です。145問のうち、せいぜい4〜7% にすぎません。

しかもこれは、調べた結果すぐに答えが見つかった場合の上限です。先ほどのかずさんのように「メモを見ても答えに繋がらない」こともあります。かずさんは本番の印象として「どの選択肢も正解のように見えてきて」迷ったとも書いており、用語を調べただけでは選びきれない問題があることがうかがえます。

つまり、残りの9割以上の問題は、自分の知識だけで答えるしかありません。カンペや検索が合否を左右する場面は、計算上もごくわずかです。


カンペの本当の価値は「作る過程」にある

ここまで読むと「カンペは作るだけ無駄」と思うかもしれません。でも、体験記を読むと、そうではありません。用語集を作る作業そのものが、強力な勉強法になっている からです。

2025年第1回に合格した ちゃんぽん さんは、メモアプリで用語集を作りながら問題集を回しました。作るときに気をつけたのは、単元ごと・手法ごとに関連する単語をまとめ、似た項目を近くに置くこと。そして、こう書いています。

「ある程度構造化、整理しながらチートシートを記載していくことで自分の頭も整理できますし」

2026年第1回に合格した 練炭 さんは、2周目で分からない単語を調べるとき、「調べた内容は一文に要約すること」をポイントに挙げています。まとめが長くなると参考書の写しになって頭に残らないから、という理由です。

この2人のやり方を合わせると、用語集の形は次のようになります。

用語集を「学習法」として使う4つのコツ

  1. 単元ごとに分ける。シラバスの大分類に合わせると、抜けている分野が一目で分かります
  2. 1つの用語は一文で書く。教科書の文章を写さず、自分の言葉で短くまとめることで、書く時点で理解できているかが試されます
  3. 似た用語は隣に並べ、「違い」を書く。CNNとRNN、匿名加工情報と仮名加工情報のように、G検定では似たもの同士の区別がよく問われます
  4. 問題を間違えたら、その場で書き足す。問題演習と用語集づくりを同時に回すと、弱点だけが集まった自分専用の復習ノートになります

4つ目の「間違えたら書き足す」を続けるには、分からない用語をすぐ調べられる環境があると楽です。冒頭で書いたとおり、私たちのアプリでは解説に出てくる用語をタップするとG検定専用の用語辞書が開き、関連する用語もたどれます。調べた内容を一文にまとめて用語集に足し、間違えた問題は「間違えた問題だけ」に絞って解き直す。この往復で、用語集と知識が同時に育っていきます。

完成した用語集は、試験の前日や当日の朝に見直す「最終チェック表」として使うのがおすすめです。本番中に開くためのものではなく、本番までに頭に入れるための道具 として位置づけましょう。


まとめ:「カンペ前提」ではなく「頭に入れる前提」で準備する

今回の内容をまとめます。

  • 公式に「資料参照可」と書かれた記載は無い。利用規約第8条は、問題の漏えい・送信や不正目的の利用を禁止している
  • 会場試験では私物はロッカー、メモ用紙は回収。カンペも検索も使えない。会場の合格率は同じ回のオンラインより14〜17ポイント低い
  • 体験記では「作ったけれど、ほとんど見なかった」という声が多い。検索は1回2〜3分かかる
  • 計算上、見直しの時間で調べられるのは145問のうち数問〜十数問。9割以上は自分の知識で答えることになる
  • カンペの価値は「作る過程」にある。単元別・一文・違いを書く用語集は、それ自体が良い勉強法

G検定の準備は、「分からなければ調べればいい」ではなく「本番までに頭に入れる」 を前提に組み立てるのが確実です。それは会場でもオンラインでも通用しますし、何より、受かったあとに役立つ知識として残ります。

次回の第7回では、2025年以降の合格記で急に増えた「生成AIを家庭教師にする勉強法」を、規約の範囲でどう使うかと一緒に紹介します。


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※この記事は2026年9月24日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や日程は変わることがあるので、受験前に必ずJDLA公式サイトで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。

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