証券アナリスト1次の受験期限3年と再受講

証券アナリスト1次 攻略シリーズの第9回です。この連載は、第1回で合格・不合格の体験記25人分を読み込み、日本証券アナリスト協会(以下、協会)の公式情報と突き合わせて書いています。
今回は、試験の中身ではなく 「期限」 の話です。証券アナリスト1次は、講座を受けてから受験できる期間が原則3年と決まっています。3年のあいだに3科目がそろわなければ、再受講をしないと、それまでの合格がすべて消えます。
体験記を読むと、この3年は思ったより短いようです。育休中に受講した人はこう書いています。
「私はすでに3回を産休育休で見送っていたので実質半分しか残っていなかった。」
(揚塩ころも)
仕事・妊娠・出産・育児で勉強が止まるのは珍しいことではありません。今回は、3年の期限と再受講の決まりを公式の文面で確かめたうえで、中断をはさみながら合格までたどり着いた人たちの組み立て方を見ていきます。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っています。3年の期限の中で中断をはさむなら、短い時間でも勉強をつなげられるかが大事になります。証券アナリスト1次の3科目・計1,500問をスマホで1問ずつ解けるようにしているのは、机に向かえない日でも数分から続きを始められるようにするためです。
3年の期限の基本:受講の翌年から、春・秋の計6回
まず、公式の決まりを整理します。
- 講座を受けないと受験できない: 第1次試験を受けられるのは、第1次レベル講座の受講者だけです(協会 試験の内容・実施・合否)。
- 受験できるのは受講の翌年から3年間: 受講した年度の試験は受けられません。2026年度講座(申込は2027年1月31日まで)なら、受けられるのは2027年・2028年・2029年の試験です(協会 講座の制度内容、受講料)。
- 春・秋の年2回: 3年なので、各科目を受ける機会は計算上6回です(「6回」という書き方は公式の文面にはなく、年2回×3年の計算です)。
- 科目ごとに受けられ、合格した科目は期間中ずっと残る: 3科目を一度に受けても、1科目ずつ受けてもかまいません。
- 自分の最終年はマイページで確認できる: 受験可能最終年は協会のマイページに表示されます。
- 個人の事情による延長はない: 協会の講座ページには「転勤等個人の事情による受験可能期間の延長はありません。」と書かれています(協会 講座を知る・申込む)。
冒頭の揚塩ころもさんも、受講の直後に妊娠し、出産・育児で1年間職場を休んでも、協会の3年の期限は変わらなかったと書いています。期限は、止まっているあいだも進みます。

もう一つ、見落としやすい点があります。申し込んだ試験を欠席しても受け直しはできず、入金後の取り消し・返金もできません(CBTソリューションズ 試験概要)。受けなかった回も、6回のうちの1回として消えていきます。
再受講の条件:最終秋試験のあと、翌年1月末までに
3年で3科目がそろわなかったときの道が「再受講」です。協会の再受講制度のページから、要点を抜き出します。
- 対象: 受験可能最終年の秋試験(最終秋試験)が終わった時点で、合格していない科目(未受験の科目も含む)がある人。
- 中身: その年度の第1次レベル講座を、もう一度受講します。合格科目があっても 全学習分野の一括受講 です。
- 合格科目は引き継がれる: 再受講すると、それまでの合格実績は残り、未合格の科目に合格すれば第2次レベル講座に進めます。ページには「再受講前に合格している科目の受験は不要です。」とあります。
- 期間: 未合格の科目は、さらに3年間受験できます(協会 試験の内容・実施・合否)。
- 受講料: 新規と同じ表で、2026年度は一般69,000円、会員63,000円です(会員は協会の法人会員などの役職員)。受講料は2025年度から3,000円上がっています。
- 申込: 対象者には11月中をめどにメールで案内が届き、マイページの「要再受講」の欄に○が付きます。申込はマイページから翌年1月末までです。
- 再受講しないと: それまでの第1次試験の合格実績がすべて失効します。あとで受講し直しても新規受講の扱いで、過去の合格は引き継がれません。
つまり、3年を過ぎても、翌年1月末までに再受講すれば、取った科目は残ります。 逆に、この申込を逃すと、2科目合格していてもゼロからです。
9/27の秋試験が「最終秋試験」だった人へ
2023年度講座を受けた人は、受験可能期間が2024〜2026年です。9/27に実施された2026年秋試験(CBT方式の初回)が、最終秋試験にあたります。
結果は11月中旬に協会のマイページで発表されます。未合格の科目が残った場合、決まりに当てはめると、再受講するのは 2026年度講座(申込は2027年1月31日まで)で、未合格の科目は2027〜2029年の試験で受けられる計算です。案内のメールとマイページの「要再受講」の欄を確認してください。
もう一つの3年:3科目合格のあと
期限は1次の中にだけあるわけではありません。3科目合格を達成した年を含めて3年以内に第2次レベル講座(受講料66,000円)を受講しないと、1次の合格が失効します(協会 合格すると)。協会は、仕事などで直ちに受講できない場合でも、この3年以内なら2次に進めると説明しています。2次試験そのものは、次回の第10回で扱います。
体験記に見る「期限」との付き合い方
体験記25人のうち、不合格・科目の持ち越し・受験期限切れを経験した人は7人いました。7人とも、記事の時点では1次の3科目に合格しています。このうち期限や中断がからむ例を見ていきます(体験記はすべてマークシート時代のものです)。

見送った3回を取り戻すため、3科目同時に切り替えた人
揚塩ころもさんは2023年度に受講を始め、期限は2026年まででした。妊娠・産休・育休で最初の3回を見送り、残りは3回。多くの人は1〜2科目ずつ段階を踏んで受けると聞いていたものの、自分が1科目ずつ受けると最終年ぎりぎりになると考えました。最後の回を「ここで受からないと再受講」という重圧の中で迎えるのはきつい、とも書いています。
そこで2025年秋に3科目を同時に受け、結果は「合格が2つと、不合格が1つ。」。科目Ⅰ・Ⅱに合格し、科目Ⅲは不合格でした。
注目したいのは、このあとです。次の2026年春は科目Ⅲだけになり、揚塩ころもさんは、分量・試験時間とも一番軽い科目だけなので心も軽いと書いています。秋の結果のあと3か月は勉強から離れ、2月に1日30分〜2時間で再開、3月は毎日3〜4時間。使っていた2018年版の過去問題集には統計の問題が入っていなかったと気づき、2024年版を買い足しています。そして2026年春、「結果、科目Ⅲ合格です。」(揚塩ころも)。
期限の最後の年(2026年)の春に取り切ったので、万一落ちても秋にもう1回ありました。合格した科目を「貯金」として残し、最終回の手前で残りを取り切る という組み立てです。
期日を過ぎてから、再受講で取り戻した人
はなちゃん、今日も育児中。の筆者は、仕事の忙しさと妊娠中の体調不良で、「全3科目が取りきれずに期日を終了していた」と書いています。2科目は取得済みでした。
一度はあきらめかけたものの、1月の出産を経て、「やっぱり取得済みの2科目分がなんだか勿体なく思えてきた。」。5万円あまりの受講料を払って再受講を決めました(金額は記事の記載で、年は書かれていません。2026年度の受講料は前述の69,000円です)。
産後は帝王切開の回復や両手の腱鞘炎で、書いて覚えることも難しかったそうです。勉強時間は「子どもが寝た後の1時間」。2月いっぱいは体がつらく、3月から本腰を入れて、4月末の試験で合格しています。限られた時間については、「今しかない」という時間の短さが、かえって良いプレッシャーになったと振り返っています。
この例は、再受講の決まりがそのまま効いた形です。期限が切れても、1月末までに再受講すれば取った2科目は残り、残りの科目だけに集中できました。

講座を何度も取り直し、やり方を変えて抜けた人
かんちゃんさんは、FP1級を持ち、CFPにも合格した人ですが、協会の通信教育(講座)を2回取り、「6回試験を受験したが、不合格でした。」と書いています。協会の講座だけでは内容が難しく、独学ではすぐ行き詰まったのが理由でした。
3回目の講座を取り、予備校のWeb通信講座を足したところ、全体像が見えて前に進めるようになり、2024年春に1科目合格。ところが「2024年秋試験は、申し込んだが受験料の振込忘れで受験できず。」という回をはさみ、「2025年春試験で、残り二科目合格。」となりました。
学べることは二つあります。一つは、同じやり方で期限を重ねても結果は変わりにくい こと。もう一つは、申込と支払いの抜けも、1回分の機会を消す ことです。
ラストチャンスで3科目、半年後に1科目
ほかにも、期限が背中を押した例があります。papa's pageの筆者は、「試験に一度落ちた後は放置で」、本人がラストチャンスと書いた2024年秋にダメ元で3科目を受け、「まさかのトリプル合格」でした。
また、2024年春に3科目を同時に受けて科目Ⅲだけ落ちた 人生のまかない さんと 怒れるカレー犬 さんは、どちらも半年後の秋に科目Ⅲだけを受けて合格しています。持ち越した科目が1つなら、次の回はその科目だけに時間を使えます。科目Ⅲの立て直し方は第7回、3科目同時か分割かは第8回でくわしく扱いました。
中断をはさむときの組み立て方
ここまでの公式の決まりと体験記から、期限を意識した組み立て方を6つにまとめます。
1. 最終年と「残りの回数」を数える
まず、マイページで受験可能最終年を確かめ、残りの回数を数えます。揚塩ころもさんが3科目同時に切り替えたのは、「残り3回」と数えたからでした。残りの回数が科目数に近いほど、1回で複数の科目を受ける必要が出てきます。
2. 合格した科目は「貯金」、最終回の手前で取り切る
合格した科目は期間中ずっと残ります。一度に全部がそろわなくても、取れた科目は次の回の負担を減らします。残りの科目は、できれば最終秋試験の一つ前までに取り切る計画にしておくと、落ちても最終回が残ります。
3. 申込・入金を落とさない
申し込んだ試験の欠席や入金忘れで、1回分の機会が消えます。2026年秋のCBT方式は申込が7月1日〜9月4日(PBT方式は8月3日まで)、2026年春は2月6日〜3月5日でした。2027年の日程は例年10月末ごろに協会のサイトに載るため、まだ発表されていません。日程が出たら、申込期間をカレンダーに入れておきます。
4. 中断から戻ったら、教材の版を確かめる
試験は原則として前年度の講座テキストから出ます。揚塩ころもさんは、古い過去問題集に統計の問題がなかったことが科目Ⅲの敗因の一つでした。協会の講座ページには「受験資格のある間は、マイページに掲載される講座テキスト(PDF)、CMA e-Learningシステムの利用が可能です。」とあり、受講で手に入る教材は期限内なら使い続けられます。一方、手元で買った過去問題集は、止まっていた期間が長いほど古くなります。今の範囲に合った版かを確かめてから再開します。
再開したら、いまどの分野が抜けているかを先に確かめると、限られた時間の使い道が決まります。本番形式のテストで合格率の目安と弱点のカテゴリをグラフで見られるアプリを使えば、「どこから手をつけるか」を洗い出せます。
5. 期限が切れても、1月末までは「貯金」を守れる
最終秋試験で残ってしまっても、再受講すれば合格科目は残ります。判断の締め切りは、11月中旬の結果発表から翌年1月末までの約2か月半です。はなちゃんさんのように、いったんあきらめかけてから再受講を選んだ人もいます。受講料(2026年度は一般69,000円)と、残っている科目の数・合格の見込みを比べて決めます。
6. 時間は短くても、毎日の枠を決める
育児中の2人は、勉強時間を長く取れていません。はなちゃんさんは子どもが寝たあとの1時間、揚塩ころもさんは1日30分〜2時間から始めて、直前の3月に毎日3〜4時間へ増やしています。協会の合格者アンケート(2022年秋の全科目合格者388人)では、全科目合格までの学習時間が200時間以下の人が約57%でした(協会「合格者の声」)。持ち越した1科目だけなら、必要な時間はさらに小さくなります。
短い時間を毎日つなぐには、机に向かわなくても始められる形にしておくのが近道です。私たちのアプリでも、寝かしつけのあとや移動中の数分から1問ずつ進められます。全問に正解の理由と各選択肢の正誤の解説があり、中断をはさんでも、忘却曲線で復習の問題を自動で出してくれるので「どこまでやったか」を思い出す手間が減ります。「未回答だけ」「間違えた問題だけ」に絞れば、戻ってきた日の続きもすぐ決まります。
まとめ:3年は「6回の機会」と考えて、先に数える
- 受験できるのは 受講の翌年から原則3年間。春・秋の年2回なので、計算上6回の機会がある。個人の事情による延長はない
- 合格した科目は期間中残る。最終秋試験で残った科目は、その年度の講座を再受講(翌年1月末まで・全分野一括・2026年度は一般69,000円)すればさらに3年。再受講しないと合格実績はすべて失効
- 3科目合格のあとは、3年以内に第2次レベル講座を受講 しないと、1次の合格も失効
- 体験記では、見送った回数を数えて3科目同時に切り替えた人、期限切れのあと再受講で残り科目を取った人、講座を重ねてやり方を変えた人がいた
- 欠席・入金忘れも1回分の機会を消す。中断から戻ったら教材の版を確かめる
9/27に実施された2026年秋試験の結果は、11月中旬に発表されます。最終秋試験だった人は、結果と一緒に再受講の案内を確認してください。これから始める人は、2026年度講座(申込は2027年1月31日まで)を受講すると、2027年春から受験できます。2027年の試験日程は、まだ発表されていません。
次回の第10回は連載の最終回です。落ちた人の原因の総まとめと、試験前日・当日のチェックリスト、そして2次試験・CMA取得までの流れとCFAとの違いを取り上げ、連載をふり返ります。
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※この記事は2026年9月26日時点の公開情報をもとにしています。受験可能期間・再受講・受講料などの制度は変わることがあるので、必ず日本証券アナリスト協会の公式サイトと、ご自身のマイページで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。