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証券アナリスト1次は3科目同時か分割か

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

証券アナリスト1次は3科目同時か分割か

証券アナリスト1次 攻略シリーズの第8回です。この連載は、第1回で合格・不合格の体験記25人分を読み込み、日本証券アナリスト協会(以下、協会)と試験運営会社の公式情報と突き合わせて書いています。

前回までの3回で、科目Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの中身を1つずつ見てきました。今回は、その3科目を どう受けるか の話です。1回で3科目をまとめて受けるのか、春と秋に分けるのか。そして、試験当日の時間配分や電卓、CBT方式の決まりごとまでを1本にまとめます。

2026年秋試験は9/27に実施され、東京の一部会場を除く国内で初めてCBT方式(テストセンターのパソコンで解く形式)になりました。ただし、この連載が読み込んだ体験記は すべてマークシート時代のもの です。当日のルールはCBT方式の公式情報に合わせて書き、体験記からは「受け方」と「時間の使い方」の教訓を拾います。

私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、証券アナリスト1次の3科目・計1,500問に加えて、本番形式のテストを入れています。同時か分割かを決めるには、いまどの科目で点を落としているかを知るのが近道なので、テストの結果は合格率と弱点のカテゴリをグラフで見られるようにしました。


体験記25人の受け方:3科目同時が15人、分割が5人

まず、合格者・不合格経験者25人がどう受けたかを数えました。

  • 1回目に3科目同時: 15人。うち11人が3科目とも合格。3人は科目Ⅲだけ不合格。残る1人は、過去に一度落ちたあとの再挑戦で3科目に合格
  • 分割: 5人。科目Ⅱ・Ⅲ→科目Ⅰ、科目Ⅱ→科目Ⅰ・Ⅲ など
  • 受け方の記載なし: 5人

数だけ見れば、3科目同時が多数派です。1回目に3科目を受けた15人のうち11人が、その1回で1次を終えています。


3科目同時で落ちた3人は、全員が科目Ⅲだけ

注目したいのは、3科目同時で落ちた3人の中身です。3人とも、落ちたのは 科目Ⅲだけ でした。

  • 2025年秋に3科目を受けた 揚塩ころも さんは、結果を「合格が2つと、不合格が1つ。」と書いています。落ちたのは科目Ⅲで、翌2026年春に科目Ⅲだけを受けて合格しました。
  • 2024年春に受けた 人生のまかない さんは、苦手な数学の分野を含む科目Ⅲを「ダメ元で受けましたがもちろん不合格。」。半年後の秋に科目Ⅲだけ受けて合格しています。
  • 同じく2024年春の 怒れるカレー犬 さんも、科目1・2に合格して科目3が不合格。半年後に科目3に合格しました。

3人とも、1回目で重い科目Ⅰ・Ⅱを取り切り、2回目は科目Ⅲだけに集中しています。3科目同時で1科目を落としても、結果として「分割」の形になり、半年後に取り返せる ということです。

怒れるカレー犬さんは、3科目は一度に受けるべきだと書いています。理由は、思わぬ科目が受かることと、科目どうしで知識を共有できることです。人生のまかないさんも、1科目ずつゆっくり受ける同僚はうまくいっていない印象だ、と書いています。


分割した人は、なぜ分けたのか

一方で、はじめから分けて受けた人にも、はっきりした理由がありました。

  • 重い科目Ⅰを後に回す: 金融機関でも経理部門でもない会社員の おにおん さん(有料記事への案内がある記事)は、3科目同時は重いと判断し、2024年4月に科目Ⅱ・Ⅲ、9月に科目Ⅰを受けて、どちらも一度で合格しました。時間は科目Ⅱ・Ⅲで約150時間、科目Ⅰで約150時間です。社会人には分割を勧めています。
  • 確実に取れそうな科目から: 事業会社の経理・財務部門にいる 経理・財務マンになりたくて さんは、科目Ⅰは計算が複雑、科目Ⅲは統計になじみがない、科目Ⅱなら財務諸表で解けそう、という消去法で科目Ⅱを先に受けました。次の回で科目Ⅰ・Ⅲに合格しています。
  • テキストが一番少ない科目から: 理系の大学生だった 旅する佃煮 さんは、春に科目Ⅲだけを受けて不合格(順位ランクC)。秋に3科目をまとめて受け、全科目に合格しました。

3人目の例は示唆的です。分量が少ないからと科目Ⅲを先に受けても、本人の振り返りでは、科目Ⅲはテキストの量こそ最も少ないものの、一番難しい科目でした。分けるなら、何を先に受けるかは「軽さ」でなく「確実に取れるか」で選ぶ のがよさそうです。


受験料は同じ、分割のコストは「時間」

分割にお金の損はありません。2026年秋試験の受験料は、3科目で14,800円、科目Ⅰのみ7,400円、科目Ⅱ・Ⅲは各3,700円でした。科目Ⅱ・Ⅲ(7,400円)と科目Ⅰ(7,400円)に分けても、合計は同じです(CBTソリューションズ 試験概要)。

期限にも余裕があります。受験できるのは講座を受けた年度の翌年から原則3年間で、試験は春・秋の年2回です(協会 試験の内容・実施・合否)。

分割のコストは 時間 です。試験は年2回なので、1回落とすと次は半年後。秋に科目Ⅰを落とすと、翌年の春まで待つことになります。科目Ⅰは、協会の合格者アンケートで「3科目の中で最も難しいと思った科目」に53.6%が挙げ、3回目以上の受験で合格した人も19.2%と3科目で最も多い科目です(協会「合格者の声」、2022年秋の全科目合格者388人)。後に回した科目Ⅰでつまずくと、期間が延びやすいことは覚えておきたい点です。


どちらを選ぶか:前提ごとの結論

ここまでの事実から、編集部の結論を前提ごとに書きます。

  • 会計(簿記)か金融実務の土台があり、秋〜冬から準備を始められる人 → 3科目同時。お金の時間価値・CAPM・WACC・DCF法などは複数の科目にまたがるので、一度にまとめて処理できます。落としても、体験記のように残り1科目を半年後に受ければ済みます。
  • 会計・数学ともに初めてで、1日1〜2時間しか取れない人 → 春に科目Ⅱ・Ⅲ、秋に科目Ⅰ。先に科目Ⅲの数量分析を固めると、科目Ⅰの数式が読みやすくなります。協会もスタディ・ガイドで、数理的な素養に自信がない人には「数量分析と確率・統計」を先に学ぶ進め方を示しています。
  • 2月以降に始める人 → 2科目以下に絞ることも考える。準備期間が3か月を切るなら、3科目を詰め込むより、確実に取れる科目に絞るのが無難です(約1か月で3科目に合格した人もいるので、土台がある人は同時でも構いません)。

どちらの受け方でも、科目Ⅲを軽く見ないこと が共通の注意点です。体験記で落ちた科目がわかる4人は、全員が科目Ⅲでした。2026年春の科目Ⅲの合格率は39.2%と、3科目で最も低くなっています(協会 第1次試験データ)。

同時か分割かを決める材料として、いまの自分がどの科目・どの分野で点を落としているかを一度確かめておくと判断しやすくなります。私たちのアプリの本番形式テストでも、合格率の目安と弱点のカテゴリがグラフで出ます。「科目Ⅲの数量分析だけ極端に低い」とわかれば、その分野を先に固めるか、科目Ⅲを後の回に回すかを具体的に考えられます。

9/27の秋試験を受けた人の結果は11月中旬に出ます。1科目だけ残った場合は、次の春にその科目だけを受ける形になります。これから始める人は、2026年度講座(申込は2027年1月31日まで)を受講すると、2027年春から受験できます。2027年の試験日程はまだ発表されていません(例年10月末ごろ掲載)。


1日360分をどう乗り切るか

3科目をまとめて受けると、試験時間だけで360分になります。2026年秋の国内CBT方式の時間割は、科目Ⅰが9:30〜12:20、科目Ⅱが13:45〜15:25、科目Ⅲが16:15〜17:45でした(CBTソリューションズ 試験概要)。時間割から計算すると、科目Ⅰのあとの休憩は85分、科目Ⅱと科目Ⅲの間は50分です。

体験記でも、この長さに触れた人がいます。

  • 地方の金融機関に勤める かわいそうなzoo さんは、午前9時から16時半ごろまでの長丁場だったと書いています(マークシート時代の時間割)。
  • Toru さん(有料記事への案内がある記事)は、最後の科目である経済で、過去問と毛色の違う問題が並び冷や汗をかいたと振り返っています。そのとき自分に言い聞かせたのが「今は解けないから飛ばそう」でした。
  • 育休中に受けた Cashcows さんは、午前の科目Ⅰで「科目Iの証券分析が思っていたよりも難しく感じました」と書き、久しぶりの試験で冷静さを欠いたそうです。一方、午後の科目Ⅱ・Ⅲは余裕をもって終えています。

最後に来る科目Ⅲは、合格率がいちばん低い科目でもあります。集中が切れる時間帯に、最も落ちやすい科目が来る並びです。本番前に、過去問で1日通しの演習を一度はしておく と、体力の配分がつかめます。休憩時間に何を食べ、何を見返すかも決めておきましょう。

CBT方式では、複数の科目を受ける場合、科目ごとに受付の手続きを繰り返します(私物をロッカーに入れ、持ち込む物と本人確認書類を確認してから入室)。休憩時間の全部を自由に使えるわけではない、と考えておくのが安全です。


時間配分:1分=1点を物差しにする

証券アナリスト1次は、各科目の配点の合計が試験時間の分数と同じです(科目Ⅰ 170分・170点、科目Ⅱ 100分・100点、科目Ⅲ 90分・90点)。各問題の冒頭に配点が表示されるので、配点の数字が、その問題にかけてよい分数の目安 になります。

体験記に出てきた時間の使い方は、科目によって違いました。

  • 科目Ⅰ: 旅する佃煮さんは、分からない問題を飛ばして一通り解き、余った50分くらいで見直しました。一方、2026年春に科目Ⅰだけ受けた いーちゃん さんは、約3時間でも足りないくらいだったと書いています。
  • 科目Ⅱ: 旅する佃煮さんは、100分の試験を40分ほどで終えて2周見直しました。ただし揚塩ころもさんは、見直しで直した答えより元の答えのほうが正しかったという失敗も書いています。
  • 科目Ⅲ: 旅する佃煮さんは時間が足りず、捨てた問題があったそうです。怒れるカレー犬さんは時間が足りない前提で、「8割ぐらいは即答して2割は空欄。」にして最後まで進め、残り時間で埋めたと書いています。

CBTの画面には、「後で見直す」のチェックと、未解答・チェック済みの問題が一覧でわかる「進捗状況」の画面があります(CBT画面操作ガイド)。出題はすべて正解が1つの選択式なので、マークシート時代のように空欄にして後で埋めるより、詰まった問題もいったん何か選び、チェックを付けて先へ進む ほうが、時間切れのときに取りこぼしません。

CBTならではの注意点もあります。試験開始時刻になると、「受験する」を押したかどうかに関係なく残り時間のカウントダウンが始まります(CBTソリューションズ 試験概要)。また、画面の「試験終了」は一度押すと戻れません。時間が余った科目でも、見直しを終えてから押しましょう。


電卓:CBTは持ち込み1台+画面上の電卓

電卓のルールは、CBT方式とPBT方式(マークシート)で違います(CBTソリューションズ 試験概要)。

  • CBT方式: 試験室に持ち込める電卓は1台まで。持ち込んだ電卓と試験用端末の計算機機能を合わせて、試験では2台使えます
  • PBT方式(東京の一部会場と海外): 試験中に使える電卓は2台まで
  • どちらも: 関数電卓・金融電卓、計算結果を記憶するだけのメモリー機能の電卓は持ち込めます。文章や公式を記憶させて表示できるもの、通信機能があるもの、音が出るものは使えません。電卓のカバーは持ち込めません

PBT方式なら手元に2台置けますが、CBT方式では手元の電卓は1台になるので、どれを持ち込むかを1台に絞り、その1台で過去問を解いておく ことが大切です。画面上の電卓は2台目として使えますが、マウスで操作する分、手元の電卓と同じ速さで打てるとは限りません。

体験記では、関数電卓を勧める声がはっきりしています。2025年春に3科目に合格した みずきゆう さん(アフィリエイトリンクがある記事)は、普通の電卓で受けたことを後悔し、「結論としては関数電卓は必須です。」と書いています。協会や試験運営会社は、推奨機種を示していません。どの電卓にするにしても、本番の前に使い慣れておくことが前提です。


CBTの当日:受験票なし、筆記用具は貸し出し、遅刻は30分まで

最後に、CBT方式の当日の決まりを整理します(CBTソリューションズ 試験概要)。マークシート時代の体験記とは違う点が多いので、2027年に受ける人も公式ページで確かめ直してください。

  • 受験票は出ない。会場はマイページと確認メールで確かめる
  • 顔写真付きの本人確認書類 が必須(暫定措置書類が使えるのは2027年春まで)
  • 私物の筆記用具は持ち込めない。受付で筆記用具とメモ用紙を貸し出され、終了後に回収される
  • スマホ・スマートウォッチは試験室に持ち込めない(ロッカーに入れる)。時計や電卓の代わりにも使えない
  • 遅刻は開始30分以内なら受験できる。ただし終了時刻は延びない。30分以上の遅刻は受験できない(公共交通機関の遅れで遅延証明書がある場合を除く)
  • 開始から30分は退室できない
  • 飲み物は、ラベルをすべて剥がした無色透明のペットボトル1本(1,000ml以下)に限って認められる

PBT方式の場合は、受験票を試験日の約14日前から自分でダウンロードして印刷し、筆記用具(HBまたはBの黒鉛筆・シャープペンシル、消しゴム)を持参します。会場での電卓・筆記用具の貸し出しはありません。


まとめ:受け方は「確実に取れる順」、当日は「1台の電卓と1分=1点」

  • 体験記25人のうち、1回目に3科目同時が 15人(11人が全科目合格)、分割が 5人
  • 3科目同時で落ちた3人は 全員が科目Ⅲだけ。半年後に科目Ⅲだけ受けて合格している
  • 受験料は分けても同じ。分割のコストは 半年単位の時間
  • 土台があるなら 3科目同時、初学者で時間が少ないなら 科目Ⅱ・Ⅲ→科目Ⅰ。どちらでも 科目Ⅲを軽く見ない
  • 当日は 360分の長丁場。配点=分を物差しにし、詰まった問題は何か選んでチェックを付けて進む
  • CBT方式の電卓は 持ち込み1台+画面上の電卓。本番で使う1台で練習しておく

次回の第9回は、3年の受験期限と再受講 を取り上げます。科目合格の持ち越し、出産・育児・仕事で中断した人がどう組み立て直したかを見ていきます。


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※この記事は2026年9月26日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度・日程・受験料・当日のルールは変わることがあるので、受験前に必ず日本証券アナリスト協会の公式サイトとCBTソリューションズの試験概要ページで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。

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