証券アナリスト1次の勉強時間は何時間?

証券アナリスト1次 攻略シリーズの第3回です。この連載では、第1回で証券アナリスト1次の合格・不合格体験記25人分を読み込み、日本証券アナリスト協会(以下、協会)の公式情報と突き合わせて整理しています。
今回のテーマは 「結局、何時間勉強すればいいのか」 です。ネットで調べると「200〜300時間」「400〜600時間」「600時間」と、数字がばらばらに出てきます。どれを信じて計画を立てればいいのかを、協会の合格者アンケートと体験記の実数から整理し、そこから逆算した 1年・半年・3か月の3つのプラン を示します。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っています。協会のアンケートと体験記の数字から見えてくる目安は200時間前後で、1日1時間なら半年以上かかる量です。証券アナリスト1次の3科目・計1,500問をスマホで1問ずつ解ける作りにしているのは、その時間を通勤や昼休みの数分に分けても積み上げられるようにするためです。
なお、2026年秋試験は9月27日(日)に、CBT方式の初回として実施されました(東京の一部と海外はマークシートのPBT方式を併用)。結果は11月中旬に出る予定です。今回紹介する体験記は、すべてマークシート時代の試験のものです。
協会の答えは「一概には言えません」、ただし目安のデータはある
協会のFAQには「何時間ぐらい勉強すれば、第1次試験(3科目)に合格できますか」という質問があります。答えは、事前の知識や実務経験に個人差があるので「一概には言えません」というものです。そのうえで、講座テキストの本文・例題・章末の練習問題が試験の対象だとしています(協会 よくあるご質問 試験 Q.8)。同じFAQは、講座の開講期間が6月から翌年1月までの8か月あり、2月以降も春試験まで3か月程度あることにも触れています。
そして、1つの目安として案内しているのが、2022年秋試験の全科目合格者を対象にしたアンケートです(回答388名)。「全科目の合格達成までにどのくらい学習しましたか」への回答は、次のとおりでした。

- 100時間以下: 22.2%
- 101〜200時間: 34.5%(最多)
- 201〜300時間: 23.2%
- 301〜400時間: 7.0%
- 401時間以上: 4.9%
- 分からない: 8.2%
(出典: 協会「合格者の声」2022年CMA第1次秋試験 全科目合格者アンケート)
足し合わせると、200時間以下が約57%、300時間以下が約80% です。合格者の真ん中は「101〜200時間」の帯にあります。
ただし、このデータには注意点が3つあります。
- 合格した人だけ の回答で、不合格だった人の勉強時間はわからない
- 2022年秋 の調査で、2026年春の試験(3科目合計の合格率44.6%、2019年以降で最低)より前のもの
- 自己申告 で、「分からない」も8.2%いる
それでも、協会が公式に案内している唯一の数字で、回答者数も388人と多いので、この連載では計画の基準にこのデータを使います。
体験記25人の実数:30時間から800時間まで
第1回で読み込んだ体験記25人のうち、3科目の合計時間を数字で書いていたのは5人だけでした。
- 約30時間: つばさの勉強奮闘記(アクチュアリー試験と並行。記事にPRリンクあり)。「勉強時間は30時間ほどだったと思います。」
- 88時間(記録分): ゆとり社会人(2023年春。記事にPRリンクあり)。平日2時間・土日5時間で2か月200時間の計画が、業務の繁忙で「100時間いっていないくらいの勉強時間」に
- 約300時間: おにおん(分割受験。有料記事への案内あり)。科目Ⅱ・Ⅲで約150時間、科目Ⅰで約150時間
- 約300時間: 怒れるカレー犬(科目Ⅲを1回落として半年後に合格)。協会の合格者の声で200時間がボリュームゾーンだったので、300時間ぐらいを目標にしたと書いています
- 700〜800時間: ゆみ(金融知識・数学知識は皆無と自称)。「700〜800時間くらいはやったのかなー」
5人の真ん中は300時間ですが、人数が少なすぎて傾向とは言えません。30時間の人はアクチュアリー試験の勉強と重なっていた人、88時間の人は前年秋に問題集を3周ほど解いていた人です。短い時間で受かった人には、たいてい下地があります。
時間ではなく期間で書いた人も含めると、丸4日から約1年まで幅があります。1日あたりの時間では、次のような書き方が並びました。
- 1日1時間: 兵役中に1年間続けたパクさんは「1日1時間は絶対勉強することを守って」一発で3科目合格。0歳児を育てながら再受講で合格したはなちゃんも「子どもが寝た後の1時間」
- 平日2時間・休日4時間: おにおんさん
- 1日4〜5時間を約2か月: 経済学部3年の國富さん
國富さんは記事の中で「2ヶ月って無謀では?」と自問しつつ合格していますが、完全な初学者なら最低3〜4か月は見たほうがよい、とも書いています。本人は経済学部で科目Ⅲの範囲をすでに学んでいて、科目Ⅲは全体の4割くらいしか勉強していないとのことでした。
民間の目安(400〜600時間など)とのずれの読み方
予備校や資格サイトの数字は、協会のアンケートより多めに出ています。
- ある大手予備校: 1次レベルで200〜300時間程度。平日1時間・週末5時間なら4〜5か月
- 別の予備校: 金融・数学の初学者の平均として、1次の全科目で600時間(自社講座を使えば半分以下になる、という講座案内の中の数字)
- 資格情報サイト: 初めて受ける人は400〜600時間
ずれを読むときのポイントは2つです。
1つ目は、1次だけの数字か、1次と2次の合計か です。上の大手予備校のページには「初学者の方で400~600時間(各レベル200~300時間)」とあり、400〜600時間は1次と2次を合わせた数字として書かれています。「400〜600時間」を見かけたら、どちらの意味かを確かめてください。
2つ目は、誰を想定した数字か です。協会のアンケートは合格者の自己申告で、協会の試験データでは合格者の勤め先は銀行・証券・投資運用の順に多くなっています(協会 第1次試験データ)。一方で、予備校の数字は初学者を想定し、自社講座の案内とセットになっていることがあります。どちらが正しいというより、自分の下地に近いほうを使う のが現実的です。
まとめると、金融・会計の下地がある人は協会アンケートの真ん中(101〜200時間)、まったくの初学者は予備校の目安の200〜300時間、数学が本当に苦手なら300時間以上を見込んでおく、というのが体験記とも矛盾しない読み方です。
科目別の時間は「配点の比」から始めて、下地で調整する
3科目の配点は、科目Ⅰ 170点・科目Ⅱ 100点・科目Ⅲ 90点で、試験時間(分)と同じです(CBTソリューションズ 試験概要)。配点の比は およそ 47%:28%:25% になります。
最初の割り振りは、この比をそのまま使うのが簡単です。合計200時間なら、科目Ⅰ 約95時間・科目Ⅱ 約55時間・科目Ⅲ 約50時間です。
実際、科目別の時間を書いていたおにおんさんは、科目Ⅰ 約150時間、科目Ⅱ・Ⅲ 合わせて約150時間でした。科目Ⅰにほぼ半分という配分は、配点の比とほぼ同じです。科目Ⅰは株式・債券・デリバティブ・ポートフォリオと計算が多く、旅する佃煮さんも科目Ⅰが一番時間がかかったと振り返っています。
そのうえで、下地に合わせて調整します。
- 簿記の下地がある → 科目Ⅱを軽く。旅する佃煮さん(簿記2級)は、科目Ⅱの6割くらいが簿記と絡んですらすら進んだと書いています
- 経済学部の出身 → 科目Ⅲを軽く。國富さんは「経済学部生にとって科目Ⅲはボーナスステージ」と表現しています
- ただし、下地がないのに科目Ⅲを削らない。体験記で落ちた科目がわかる4人は、全員が科目Ⅲでした(旅する佃煮さん・揚塩ころもさん・人生のまかないさん・怒れるカレー犬さん)。旅する佃煮さんは科目Ⅲを落としたあと、「付け焼き刃の知識では無理だと悟り」、テキストをやり込んで秋に合格しています
数学が苦手な人に向けて、協会はスタディ・ガイドで「数量分析と確率・統計」を先に学ぶか、各分野の関連する箇所でその都度参照しながら進めることを勧めています(協会 スタディ・ガイド)。下のプランでも、数量分析を最初に置いています。

期間別の3つのプラン
協会は公式の学習プランを出していません。ここからのプランは、講座テキストの配本順(6・7・9・11月の年4回)、協会アンケートの時間、体験記をもとに編集部が整理した目安です。

1年プラン:6月に受講を始めて、翌年4月に3科目(初学者・1日1時間前後)
講座テキストが届く順番(=範囲が出そろう順番)に合わせて、分野ごとに問題を解き進めるプランです。配本と各回の中身は協会の配本スケジュールによります(協会 学習教材)。
- 6〜7月: 数量分析と確率・統計(6月配本)を先に。財務分析の第1〜3回
- 8〜9月: 科目Ⅰの株式・債券(7月配本)、ミクロ経済(7月配本)。分野ごとに問題を解き、解説で理由まで確かめる
- 10〜11月: デリバティブ・現代ポートフォリオ理論(9月配本)、マクロ経済(9月配本)、財務分析の第4〜5回
- 12〜1月: コーポレート・ファイナンス、金融市場と財政・国際、職業倫理(11月配本)、ポートフォリオ・マネジメント
- 2〜3月: 過去問を科目別に。配点1点=1分で時間を計って解く
- 4月: 3科目を1日通しで解く本番形式を1回。職業倫理の最終確認
1日1時間前後なら、単純計算で合計300時間前後になります。初学者が予備校の目安(200〜300時間)に届く量です。1年・1日1時間を続けて合格したパクさんが、この型に近い例です。同じく約1年かけたウッカリハチベーのぶんぶんさん(記事。自作講座などへの案内あり)は、平日に朝1〜2時間+昼1時間、休日に6〜7時間と、このプランよりかなり多くの時間をかけていました。
1日1時間を1年続けるには、机に向かう時間だけでなく、通勤や昼休みも使えるほうが楽です。私たちのアプリでは、全問に解説(正解の理由と各選択肢の正誤)と用語辞書がついた問題をスマホで1問ずつ解けるので、スキマ時間だけでも分野ごとの演習を理解まで進められます。
もう一つ気をつけたいのは、6月に解いた範囲を翌年の春までに忘れてしまうことです。忘却曲線にそって復習の問題を自動で出す仕組みがあれば、前に解いた範囲の解き直しを1日数問から続けられ、2月からの過去問にも入りやすくなります。
半年プラン:11〜12月に始めて、翌年4月に3科目(会計か金融の下地あり・1日1.5〜2時間)
講座テキスト全19冊が届いて範囲が出そろう11月以降に、問題演習で一気に進めるプランです。
- 11〜12月: 科目Ⅱ(財務分析は下地があれば速く進む)と数量分析
- 1〜2月: 科目Ⅰ
- 2〜3月: 科目Ⅲの経済と職業倫理
- 3〜4月: 過去問
1日1.5〜2時間で約5か月なら、単純計算で220〜300時間ほどです。約7か月で3科目に合格したみずきゆうさん(2024年10月〜2025年4月。記事にPRリンクあり)も、10月に全体像をつかみ、12〜1月に問題集、2月から過去問という流れでした。
3か月プラン:2月に始めるなら、分割受験で1回2科目以下に
3か月で3科目を一度に仕上げるのは、協会アンケートで100時間以下の合格者が22.2%いるとはいえ、予備校の目安(200〜300時間)で考えると1日2〜3時間が必要です。下地がない人には重い計画です。
そこで選択肢になるのが、春に科目Ⅱ・Ⅲ、秋に科目Ⅰ の分割です。おにおんさんは2月初旬から3か月弱・約150時間で科目Ⅱ・Ⅲに合格し、7月から2か月・約150時間で科目Ⅰに合格しました。科目ごとの受験料は科目Ⅰが7,400円、科目Ⅱ・Ⅲが各3,700円で、分割しても3科目一括の14,800円と同じ額です(2026年秋試験の受験料。CBTソリューションズ 試験概要)。
受験可能期間は講座を受けた年度の翌年から原則3年あるので、分割でも期限には余裕があります。ただし、秋に落とすと次は翌年の春になり、半年空きます。3科目同時か分割かの判断は、第8回でくわしく扱います。
いつ申し込むか:これから始める人は「2027年1月31日」が期限
この試験は、協会の第1次レベル講座を受講しないと受験できません。しかも、受講した年度の試験は受けられず、受けられるのは翌年からです(協会 試験の内容・実施・合否)。
- 2026年度講座: 申込は2026年5月20日〜2027年1月31日、受講料は一般69,000円(会員63,000円)。受けられるのは2027年〜2029年の試験(協会 第1次レベル講座)
- 2027年の試験日程は、例年10月末ごろに掲載されます(2026年9月時点で未発表)。春試験は例年4月下旬です
1月末を過ぎると、翌年の春試験は受けられません。今から始める人は、2027年春(最短)か2027年秋を目標に、次の順で考えるとよいでしょう。
- 今(秋)から始めて2027年春に3科目: 約7か月。1年プランと半年プランの中間の量になります
- 年末年始から始める人: 勉強を始める前に、まず講座の申込を済ませる
- 2月以降に始めたい人: 講座の申込は1月31日までに済ませたうえで、2027年春は分割(科目Ⅱ・Ⅲ)にして、秋に科目Ⅰ
まとめ:「200時間」を基準に、下地で増減させる
- 協会の合格者アンケートでは 約57%が200時間以下、約80%が300時間以下。最多は101〜200時間
- 体験記の実数は30〜800時間。短時間で受かった人には下地がある
- 「400〜600時間」は、1次と2次の合計として書かれていることがある
- 科目別は 配点の比(Ⅰ:Ⅱ:Ⅲ=約47:28:25) から始め、簿記ならⅡを、経済学部ならⅢを軽くする。下地がないのにⅢを削らない
- 期間は、1年(1日1時間)・半年(1日1.5〜2時間)・3か月(分割で2科目以下)
- これから始める人は、2026年度講座の申込を2027年1月31日までに
時間の長さだけで合否は決まりません。700〜800時間勉強したゆみさんは、過去問を10周くらい回して最後は「答えを覚えてしまっていて」と反省しています。時間の中身、つまり何を使って勉強するかが次の問題です。
次回の第4回では、合格者が何で仕上げたかをもとに、演習に使う問題を選ぶときの基準を整理します。
証券アナリスト1次の3科目・計1,500問をアプリで解くなら「ナレッジバンドル」

資格対策アプリ「ナレッジバンドル」には、証券アナリスト1次のオリジナル問題3科目・計1,500問がすべて入っています。スキマ時間に1問ずつ解いて、間違えた問題だけを繰り返せます。
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※この記事は2026年9月26日時点の公開情報をもとにしています。講座の申込期間・受講料・試験日程・受験料は変わることがあるので、必ず日本証券アナリスト協会の公式サイトで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。体験記はすべてマークシート方式の時代の試験のものです。