生成AIパスポート第3章対策:RAG・エージェント・MCP

今日 9月30日(水)は、生成AIパスポート10月試験の申込締切日 です。申込は 今日の23:59まで、受験期間は10月1日(木)から10月31日(土)までです(GUGA)。受けるか迷っている人は、まず申込だけ済ませておきましょう。
この連載は、生成AIパスポートの合格・不合格体験記38人分を第1回で読み込み、公式情報と突き合わせて合格に効くやり方を整理しています。連載第7回の今回は、シラバス 第3章「現在の生成AI(ジェネレーティブAI)の動向」 を扱います。2026年2月試験からの改訂で、RAG・AIエージェント・MCPが新しく入った章です。
この章で狙われやすいのは、3つの言葉の役割を入れ替えた選択肢です。私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、生成AIパスポートの520問では、正解の理由だけでなく誤りの選択肢が なぜ誤りか まで、全問の解説に書いています。役割のすり替えを見抜く力は、正解の番号を覚えるだけでは身につかないからです。
第3章は2026年改訂で「新しい仕組み」が加わった章
GUGAは2025年10月1日にシラバスを改訂し、2026年2月試験から適用しています(GUGA)。シラバスPDFの「改訂内容」のページを見ると、第3章の改訂ポイントは次の2つです(シラバス)。
- 画像生成AIや動画生成AIについて、現在主流とされている技術やツールの内容を更新
- RAGやAIエージェントに関する言及を追加
追加された学習項目は「RAGとは」「RAGの歴史と発展」「RAGの仕組みとメリット」「RAGのユースケース」と、「AIエージェントとは」「AIエージェントの仕組み」「AIエージェントのツール事例」「MCPと外部連携」。詳細キーワードには、自己回帰モデル、Veo3、チャンク、ベクトルデータベース、GenSpark、Manus、Skywork AI、MCPが加わりました。
現行シラバスの第3章は、次の4つの中項目でできています。
- 生成AIができることと主なサービス(テキスト・画像・音楽・音声・動画の生成AI)
- ディープフェイク(深層偽造)技術
- RAG
- AIエージェント(MCPを含む)
注意したいのは、2025年以前の版の教材には、この追加分が入っていない ことです。どの教材で勉強する場合も、RAGとAIエージェントの問題と解説が入っているか、いつのシラバスに合わせて作られたものかを最初に確かめてください。GUGAは分野ごとの出題比率を公表していないので、「第3章から何問出る」とは言えません。
1. 各種生成AIサービス:「何を作るAIか」を言えるようにする
シラバスの学習項目は、テキスト生成AI・画像生成AI・音楽生成AI・音声生成AI・動画生成AIの5つです。詳細キーワードには、画像のリサイズや正規化、データの水増し(augmentation)、データ拡張技術、リマスタリング、Claude、Gemini、Sora、自己回帰モデル、Veo3が並んでいます。
このうちVeo3は、Googleが2025年5月20日に発表した動画生成モデルです(Google)。
体験記で目立ったのは、「サービス名から、それが何を生成するAIかを答えさせる」タイプの問題 に戸惑った声です。
- 2025年10月に受けたQiitaの Eto0さん は、難しかった問題の例として「Runwayとはどの生成AIか」を画像・動画・音楽・音声から選ぶ問題を挙げています。
- 2026年4月に受けた東京自習会の ちーさん は、SoraやGeminiなど、使っていた参考書に載っていない実製品の問題が数問あったと書いています。
対策は、サービス名を見たら 「テキスト/画像/音楽/音声/動画のどれか」「どの会社のものか」 をセットで言えるようにしておくことです。第2章で覚えるモデル名(GPT系列・Gemini・Claude・Copilotなど)とも重なるので、第2章と一緒に整理すると効率がよくなります。
2. ディープフェイクと偽情報:「厳格に法律で規制されている」は誤り
シラバスの詳細キーワードは、ディープフェイク(深層偽造)技術、偽情報(ディスインフォメーション)、ディープフェイクによる事件です。学習目標は、ディープフェイクの「危険性を理解する」ことです。
この分野は、GUGAが公開している 公式サンプル問題(例題3問)の1問 になっています(サンプル問題)。ディープフェイク技術について不適切な記述を選ぶ問題で、正解(不適切な記述)は「ディープフェイク技術が悪用されると詐欺やなりすましリスクが高まるので厳格に法律で規制されている。」という選択肢でした。ほかの3つの選択肢は、次の内容で「適切」とされています。
- 特定の人物の顔を映像に合成したり、声を別人の声に変換したりできる
- 主にGANやVAEを活用している
- 高度なディープフェイクは、AI技術を使っても真偽を見分けられないことがある
ここから読み取れるのは、「法律で厳格に規制されている」「必ず見分けられる」のような言い切りの選択肢を疑う という解き方です。GANとVAEは第2章の範囲なので、生成器と識別器が競い合うのがGAN、といった第2章の知識が、そのまま第3章の問題を解く材料になります。
3. RAG:「調べてから答える」仕組みを、チャンクとベクトルDBで説明できるように
RAGは Retrieval-Augmented Generation の略で、シラバスでは「検索拡張生成」と訳されています。

原典は、Patrick Lewisらが2020年に発表し、NeurIPS 2020に採択された論文「Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks」です(arXiv)。論文の要旨は、おおよそ次のとおりです。
- 大規模な言語モデルは、知識をパラメータの中に蓄えている。しかし、その知識を正確に取り出して使うことや、判断の根拠を示すこと、知識を新しくすることには課題がある
- そこで、事前学習済みの生成モデルに、Wikipediaを密なベクトルで索引化したもの を組み合わせ、学習済みの検索器で関連する文章を取り出して生成に使う
- その結果、パラメータだけに頼るモデルより、具体的で事実に即した文章を生成できた
いまのRAGも考え方は同じで、流れは次の図のようになります。

シラバスの詳細キーワードである チャンク と ベクトルデータベース は、図の「準備」の段階に出てきます。
- チャンク: 長い文書を、検索しやすい大きさに区切ったかたまり
- ベクトルデータベース: チャンクの意味を数値の並び(ベクトル)に変えて保存し、質問と「意味が近い」チャンクを探せるようにしたデータベース
メリットとして押さえたいのは次の3つです。
- モデルを学習し直さなくても、最新の情報や社内文書を答えに使える
- 答えの 根拠(どの資料を参照したか) を示しやすい
- 資料に基づいて答えるので、ハルシネーション(もっともらしい誤り)を減らせる
ただし、RAGはハルシネーションを「なくす」仕組みではありません。検索した資料が古かったり、関係のない部分を拾ったりすれば、答えも間違います。選択肢に「完全に防ぐ」「必ず正確になる」とあれば、まず疑ってください。
体験記では、2026年2月に合格した漫画家の 氷堂リョージさん が、RAGを「必要な情報を参照しながら答える仕組み」として整理したと書いています。一言で言い直せるか が、理解できたかどうかの目安になります。
4. AIエージェントとMCP:「動くAI」と「つなぎ方の共通規格」
AIエージェントは「目標に向けて自分で手順を回すAI」
AIエージェントは、目標を与えられると、計画を立てる → ツールを使って実行する → 結果を確認する を自分で繰り返しながら作業を進めるAIです。質問に1回答えて終わるチャットとは、ここが違います。
シラバスに載っているツール事例は GenSpark・Manus・Skywork AI の3つです。なお、第2章の範囲にもOpenAIのOperatorやCodexが入っています。「エージェント」という言葉は第3章、個々の製品名は第2章にも散らばっているので、章をまたいで整理しておきましょう。
MCPは「AIと外部のツール・データをつなぐ共通規格」
MCP(Model Context Protocol)は、Anthropicが 2024年11月25日 に発表し、オープンソースで公開した規格です(Anthropic)。発表では、AIアシスタントを、データのあるシステム(文書の保管場所・業務ツール・開発環境など)につなぐための新しい標準だと説明されています。
仕組みはシンプルで、データやツールを提供する側が MCPサーバー を用意し、AIアプリ側が MCPクライアント としてそこにつなぎます。発表時には、Google Drive・Slack・GitHub・Postgresなど向けのMCPサーバーも公開されました。
公式ドキュメントでは、MCPを AIアプリケーションのためのUSB-Cポート にたとえています(MCP 公式ドキュメント)。USB-Cが機器のつなぎ方をそろえたように、MCPはAIと外部システムのつなぎ方をそろえる、というイメージです。
その後、Anthropicは2025年12月9日に、MCPをLinux Foundation傘下のAgentic AI Foundationに寄贈したと発表しました。この発表では、ChatGPT・Cursor・Gemini・Microsoft Copilot・Visual Studio CodeなどがMCPを採用しているとしています(Anthropic)。

3つを混同しない
試験で狙われやすいのは、3つの言葉の役割の取り違えです。
- RAG: 答える前に資料を 検索して読む 仕組み
- AIエージェント: 目標に向けて、計画・実行・確認を自分で繰り返す AI
- MCP: AIと外部のツール・データを つなぐための共通規格
「MCPは画像生成の手法である」「RAGはモデルを再学習して知識を更新する手法である」のように、役割を入れ替えた選択肢が作られても見抜けるようにしておきましょう。
こうした「すり替え」の選択肢に強くなるには、正解の選択肢だけでなく、誤りの選択肢が なぜ誤りか まで読むのが近道です。冒頭で書いたとおり、私たちのアプリでは全問に正解の理由と各選択肢の正誤の解説があり、解説に出てくる用語はタップすると専用の用語辞書で確かめられます。RAG・AIエージェント・MCPのような新しい言葉も、解説を読んで、わからない用語を辞書で引き、それでも腑に落ちなければその問題をAIに質問する、という流れで、参考書を別に用意しなくても理解まで進められます。忘却曲線に沿って復習の問題も自動で出てくるので、申込を済ませたあと、受験日までの仕上げもそのまま続けられます。
体験記の声:第3章が「弱かった」人と、RAGが「難しかった」と書いた人
新シラバスの回で章別の正答率を公開している人を見ると、第3章の結果はばらついています。
- 2026年4月に合格した リラーニングラボさん は、第3章が91.67%でした。
- 2026年6月に合格した KyoroLab.netの筆者 は、第3章が100%でした。
- 一方、2026年4月に合格した あいと学ぶAIさん は、章別の結果で第3章が弱かったことを画像で示しています。本番は「意外と難しい」と感じ、「60問を約30分で解いて、残り15分は見直し」たそうです。
RAGやAIエージェントに触れた人もいます。BIPROGYの Kushidaさん は、試験の主なテーマの一つに「生成AIの仕組み(LLM・RAG・AIエージェントなど)」を挙げています。
ただ、今回読んだ体験記の中に、新シラバスの回で、RAGやAIエージェントの問題が難しかったと具体的に書いた人は見つかりませんでした。難しかったという声が集まっていたのは、モデル名・略語、法律の言い回し、教材に載っていない実製品、そして「すべて選べ」の複数選択です。複数選択について、氷堂リョージさんは「一つ漏れたら終わりなので特に怖い」と書いています。
新しい範囲だから難問ぞろい、というわけではなさそうです。ただし、用語の意味を一言で言えるかどうか はそのまま問われます。第1回で紹介した 加藤さん の「「使える」と「説明できる」は違う。」という言葉は、生成AIのサービスを毎日使っている人ほど、第3章で意識しておきたいポイントです。
まとめ:第3章は「言い直せるか」で仕上げる
- 第3章は2026年改訂で RAG・AIエージェント・MCP が加わり、画像・動画生成の内容も更新された。旧版の教材には無い
- 生成AIサービスは 「何を生成するか」「どの会社か」 をセットで覚える
- ディープフェイクは、公式サンプル問題のとおり 「厳格に法律で規制されている」は誤り。言い切りの選択肢を疑う
- RAGは チャンク → ベクトルデータベース → 検索 → 生成 の流れで説明できるようにする。ハルシネーションは「減らす」のであって「なくす」わけではない
- AIエージェントは動くAI、MCPはつなぎ方の共通規格。役割の入れ替えに注意
10月試験の申込は 今日9月30日(水)の23:59まで です。受験期間は明日10月1日から31日までですが、2026年8月試験では最終日の夜にアクセスが集中して障害が起きました(GUGA)。受験日は余裕のある日に決めておきましょう。
連載の第8回では、第4章の著作権・個人情報・AI事業者ガイドライン・AI新法を、公式の一次資料をもとに整理します。
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※この記事は2026年9月24日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や日程、シラバスは変わることがあるので、受験前に必ずGUGA公式サイトで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。