第一種衛生管理者の当日の時間配分 3時間44問の解き方と退室

第一種衛生管理者 攻略シリーズの第8回です。この連載では、第1回で読み込んだ合格・不合格体験記30人分と、試験を行う安全衛生技術試験協会(以下、協会)の公式情報を突き合わせて、合格に効くやり方を整理しています。
今回は試験当日の話です。第一種の試験は 3時間で44問。1問あたりに直すと約4.1分あります。体験記を読むと、1時間ほどで解き終えて退室した人もいれば、2時間半まで粘った人もいて、時間の使い方は人によってかなり違いました。ただ、体験記を読むかぎり、合否を分けるのは時間切れよりも、5つの範囲のどれかで40%を割ること と、合計が60%に届かないこと です。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、第一種衛生管理者の480問を作る前に、この30人分を読みました。本番で「どの範囲が危ないか」を数えるには、ふだんから範囲ごとの出来を知っておく必要があります。アプリの本番形式テストで、合格率と一緒に弱点のカテゴリをグラフで出すようにしているのは、この「範囲ごとに数える」感覚を試験の前につかんでおいてほしいからです。
今回は、当日のルールを確認したうえで、3時間の配分例、範囲ごとの足切りチェック、読み違いの防ぎ方、持ち物 を順にまとめます。
まず当日のルール:時間と退室の決まり
時間配分を考える前に、協会が決めているルールを押さえます。いずれも協会の「第一種・第二種衛生管理者の紹介」と、公表試験問題(令和8年4月掲載)の表紙にある注意事項で確認できます(協会 資格の紹介、公表試験問題 PDF)。
- 試験時間は3時間(13:30〜16:30)。労働生理の免除者は2時間15分、第二種を持つ人の特例受験は20問で2時間です
- 出張試験の開始時刻は会場ごとに決まる。午前に始まる回もあります
- 五肢択一のマークシート。表紙には「問題は、五肢択一式で、正答は一問につき一つだけです。」とあります
- 開始から1時間は退室できない。表紙の注意事項は「試験開始後、1時間以内は退室できません。」
- 一度出たら戻れない。「退室した後は、再び試験室に入ることはできません。」
- 計算やメモは問題用紙の余白に書く。解答用紙には書きません
- 問題用紙は持ち帰れない。「試験問題は、持ち帰ることはできません。」
午前開始の回については、体験記にも実例があります。3回不合格のあと4回目で合格した むんへん さんは、2回目の受験で、試験が午前だと知らずに申し込んでいたと書いています。受験票が届いたら、日付だけでなく開始時刻まで確認しておきましょう。協会の受験の注意事項にも、受験票を受け取ったら試験の日時を確認するよう書かれていて、センターの試験では第2希望日になっていることもあります(協会 受験の注意事項)。
1問あたり約4.1分。時間が足りなくなる試験ではない
180分÷44問で、1問あたり約4.1分です(計算)。問1の衛生管理体制の事例問題のように文章が長い問題もありますが、全体としては見直しの時間を十分に残せる長さです。
体験記で当日の時間を書いていた人を並べると、次のようになります。
- akkom さん: 過去問では45分で解き終わっていて、本番は丁寧に読んでも1時間で足り、退室できるようになった時点で退室
- HSP秘書のルミさん: 13:30 に始まり、14:00 に回答を終え、14:30 に退出
- うに さん: 1時間ほどで一通り解き終えて見直し
- sugu_onaka_suku さん: 練習では毎回70分ほどで解き終え、本番も同じくらいで退室
- うたたね さん: 解き直しのために時間をフルに使った(周りの大半は途中で退室していた)
- りょう さん(9月19日受験・結果待ち): 2時間半で退出
1時間前後で出た人が多く、長く残った人も、その時間を解き直しや見直しに使っていました。つまり、この試験で気をつけたいのは「解き終わらない」ことではなく、早く解き終わったあとに、何を確かめてから出るか です。
ここで思い出してほしいのが、不合格だった tak! さんの数字です。5つの範囲はすべて40%以上でしたが、合計が220/400点(55%)で不合格でした。本人は「あと2問取れていれば合格だったのに」と書いています。合格者の sugu_onaka_suku さんも、自己採点で「関係法令4割(足切りギリギリ)」だったそうです。1〜2問の差で結果が変わる試験なので、残り時間は見直しに使う価値があります。
3時間の配分例:1周目・2周目・足切り確認・マーク確認
ここからは、公式のルールと体験記をもとに、私たちが時刻から逆算して組んだ配分の一例です(協会が勧めている方法ではありません)。

0〜90分:1周目で全44問に答えを出す
問題冊子は、関係法令(有害業務)→ 労働衛生(有害業務)→ 関係法令(有害業務以外)→ 労働衛生(有害業務以外)→ 労働生理 の順に並んでいます。1周目は前から順に、すぐ答えが出ない問題には印を付けて先へ進みます。
体験記でも、手順を書いていた人は「後回し」を使っていました。chee. さんは、すぐ答えが出ない問題は後回しにしたそうです。りょうさんは、まず全問に目を通して答えを問題用紙に書き込み、確実なものからマークし、迷う問題は後回しにしたと書いています。問題用紙に答えを書いておくと、2周目で考え直すときも、最後にマークと照らし合わせるときも楽になります。
90〜140分:2周目は印の問題だけに戻る
2周目は、印を付けた問題だけに戻ります。ここで効くのが、五肢のうち どれが確実に正しい(誤り)と言えるか を1つずつ確かめるやり方です。全部を知らなくても、確実に消せる肢が増えれば2択まで絞れます。
労働衛生(有害業務以外)には、必要換気量やBMIの計算問題が出ることがあります。電卓が使えるので、1周目で出した答えをここで検算しておきます。ただ、体験記では電卓を忘れたが複雑な計算は出なかった人(まえかわ さん)や、計算問題はほとんど出なかったという人(りょうさん)もいて、回によって違うようです。

140〜170分:範囲ごとに「確実な正解数」を数える
この試験の合格基準は、協会の言葉では「科目ごと(第一種衛生管理者試験の科目のうち範囲が分かれているものについては範囲ごと)の得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であること。」です(協会 資格の紹介)。足切りは 5つの範囲それぞれ にかかります。
配点から計算すると、足切りを越えるのに必要な正解数は次のとおりです。
- 関係法令(有害業務)10問・80点: 4問(1問8点)
- 労働衛生(有害業務)10問・80点: 4問(1問8点)
- 関係法令(有害業務以外)7問・70点: 3問(1問10点)
- 労働衛生(有害業務以外)7問・70点: 3問(1問10点)
- 労働生理 10問・100点: 4問(1問10点)
- 合計: 400点のうち240点以上
いちばん危ないのは、7問しかない有害業務以外の2範囲 です。2問しか取れないと20点で、40%に届きません。
問題用紙に書き込んだ答えを見ながら、範囲ごとに「これは確実」と言える問題を数えます。どこかの範囲が足切りの数ぎりぎりなら、残り時間はその範囲の印の問題に集中させます。りょうさんは試験中の直感で、労働衛生(有害業務以外)を57%と見積もっていました。このように範囲ごとの感触を持っておくと、どこを見直すかがはっきりします。
合計が240点に届いているかも、ざっと数えておきます。tak! さんのように、足切りはすべて越えていても合計で落ちることがあるからです。
170〜180分:マークを確かめる
最後の10分は、マークのずれ、塗り漏れ、1問に2つ塗っていないかを確かめます。問題用紙に書いた答えと、解答用紙のマークを1問ずつ照らし合わせるだけで十分です。鉛筆は HB か B(シャープペンシルも可)で、ボールペンやサインペンは使えません(公表試験問題 PDF)。
「正しいもの」と「誤っているもの」の読み違いを防ぐ
公表問題を見ると、「正しいものはどれか」と「誤っているものはどれか」を問う問題が混ざっています。知識があっても、設問の最後の一言を読み違えると失点します。
- 1周目で問題文を読んだら、設問の末尾に自分なりの印(「正」「誤」など)を書いてから選択肢を読む
- 「誤っているもの」を選ぶ問題では、正しい肢に○、誤りの肢に×を付けていき、×が1つだけ残ることを確かめる
- 2周目で印の問題に戻ったときは、選択肢より先に設問の末尾を読み直す
五肢択一で正答は1つだけなので、×(または○)が2つ残ったら、どちらかの判断が間違っています。そこが見直すべき肢です。
この「肢を1つずつ判断する」練習は、ふだんの問題演習でできます。私たちのアプリでは、全問の解説で正解の理由と各選択肢の正誤を説明していて、解説の用語をタップすると専用の用語辞書が開きます。正解した問題でも、ほかの4つの肢がなぜ違うのかまで読んでおくと、本番で「誤っているもの」を選ぶときにそのまま役に立ちます。
初めて見る問題が出たとき
本番の問題が過去問にどのくらい似ているかは、体験記でも人によって正反対でした。
- りょうさん(結果待ち)は「初めて見る問題はなかったです。」と書いています
- はやて さんは「全44問中23問が過去問や公開問題と同じ内容」だったそうです
- 岡本謙人 さんは、初見の問題が多く「「鉛筆転がし」レベルの回答が多数」だったと書いています
どちらの回に当たるかは選べません。初めて見る問題が出たときは、次の順で考えると時間を使いすぎずに済みます。
- 1周目では深追いせず、印を付けて先へ進む(ほかの問題で取れる点を先に取る)
- 2周目で、知っている知識で確実に消せる肢から消す
- 残った肢で決め、マークは必ず埋める(空欄のままにしない)
初見の問題が1〜2問あっても、足切りと合計は ほかの問題で取り返せます。慌てて全体のペースを崩さないことのほうが大事です。
当日の持ち物と、会場での過ごし方
持ち物と試験中のルールを、協会の注意事項で確認できたものだけで1枚にまとめました。

- 電卓は使える: 決められた機能だけのもので、関数電卓は不可。協会の注意事項は「スマートフォンや携帯電話に内蔵された電卓も使用できません。」と明記していて、電池内蔵で音が出ないものに限られます(協会 受験の注意事項)。スマホで代わりにはできないので、家にある電卓が条件に合うか前日までに確かめておきます
- 定規も使える(同じページ)
- 通信機器: 協会は令和6年度に集団の不正事案があったことから、通信機器を封筒に入れてもらうなどの対策を強めています(協会 令和6年度 事業報告書)
- 参考書などの持ち込み: 認めるという記述は協会のページにありません。一方で「持ち込み不可」と明記した文言も、今回は確認できませんでした
会場には早めに着いておくと安心です。Marathon Learner さんは、開始の約2時間前に会場に入り、席で復習していたそうです。
退室するときに知っておきたいこと
1時間を過ぎれば退室できますが、出たら戻れません。退室を決める前に、次の3つを済ませておくと後悔が減ります。
- 範囲ごとの「確実な正解数」を数え、どこも足切りの数に届いているか
- 設問の末尾(正しい/誤っている)を印の問題だけでも読み直したか
- 問題用紙の答えと解答用紙のマークが一致しているか
もう一つ、問題用紙は持ち帰れません。試験が終わってから自己採点をしたくても、手元に問題が残りません。

りょうさんは、退出する前に合否に関わりそうな3問だけを覚えておき、ロビーでテキストを開いて確かめたそうです(3問中2問が正解だった)。試験の結果は、合格発表日に通知書が発送されます。りょうさんの発表は10月8日で、この記事の時点ではまだ結果待ちです。
まとめ:当日の3時間は「数えてから出る」
- 3時間で44問、1問あたり約4.1分。体験記では1時間前後で退室した人が多く、時間には余裕がある
- 開始1時間は退室できず、出たら戻れない。問題用紙は持ち帰れない
- 1周目は後回しを使って全問に答えを出し、答えは問題用紙に書いておく
- 2周目は印の問題だけ。確実に消せる肢から消し、計算は電卓で検算
- 退室の前に、範囲ごとの確実な正解数(有害4問・有害以外3問・労働生理4問)と合計240点を数える
- 「正しいもの」「誤っているもの」は、設問の末尾に印を付けてから読む
- 電卓は条件つきで使える。スマホの電卓は不可。午前開始の回もあるので受験票で時刻を確認
試験は各センター・試験場で毎月行われていて、次に受けられる日は受けたいセンターの日程表で確認できます(協会 試験日程)。オンライン申請は試験日の14日前まで(例: 東京試験場の10月22日の回なら10月8日まで。14日前からの計算)で、定員に達すると期間中でも締め切られます。
連載の第9回では、本番で迷いやすい 頻出の数字とひっかけ(深夜業の扱い、照度、作業環境測定の頻度など)を整理します。
第一種衛生管理者の480問をアプリで解くなら「ナレッジバンドル」

資格対策アプリ「ナレッジバンドル」には、第一種衛生管理者のオリジナル問題480問がすべて入っています。スキマ時間に1問ずつ解いて、間違えた問題だけを繰り返せます。
- 全問に解説つき。解説の用語はタップで第一種衛生管理者専用の用語辞書が開き、関連用語もたどれる
- 解説を読んでも引っかかったら、その問題をそのままAIに質問。Google検索もワンタップ
- 忘却曲線で復習を自動出題。「間違えた問題だけ」「未回答だけ」「ランダム」など出題の絞り込みも自由
- 本番形式テストで、いまの合格率と弱点カテゴリをグラフで確認
- 広告なし。全教材は無料体験できます
第一種衛生管理者のほか、100以上の資格・検定(レビュー中含む)が1つのアプリで使い放題です。アプリ内の教材追加画面で「第一種衛生管理者」と検索してください。
※この記事は2026年9月28日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や日程、当日のルールは変わることがあるので、受験前に必ず安全衛生技術試験協会の公式サイトと受験票で確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。