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第一種衛生管理者の関係法令対策 人数・頻度・36協定の数字

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

第一種衛生管理者の関係法令対策 人数・頻度・36協定の数字

第一種衛生管理者 攻略シリーズの第5回です。この連載は、第1回で合格・不合格の体験記30人分を読み込み、安全衛生技術試験協会(以下、協会)の公式情報と突き合わせて書いています。

今回のテーマは 関係法令 です。有害業務の10問と、有害業務以外の7問。どちらも「何人以上なら」「何か月以内ごとに」「何年保存」といった数字とリストの暗記が中心で、覚える量のわりに、似た数字どうしが頭の中で混ざりやすい範囲です。体験記にも、労働衛生は9割取れたのに関係法令は足切りぎりぎりだった、という人がいました。

私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、第一種衛生管理者の480問のうち、関係法令は有害業務115問・有害業務以外75問です。忘却曲線に合わせて復習の問題を自動で出すようにしているのは、一度覚えた人数や頻度の数字を、試験の日まで抜けないようにするためです。


関係法令は17問150点、足切りは2か所

まず、関係法令が試験の中でどれだけの重さを持つかを確認します(協会 第一種・第二種衛生管理者の紹介)。

  • 関係法令(有害業務に係るもの): 10問・80点
  • 関係法令(有害業務に係るもの以外のもの): 7問・70点

合わせて17問・150点で、400点満点の37.5%にあたります(計算)。合格基準は「科目ごと(第一種衛生管理者試験の科目のうち範囲が分かれているものについては範囲ごと)の得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であること。」なので、関係法令だけで足切りが 2か所 あります。

配点を問題数で割ると、有害業務の範囲は1問8点、有害業務以外の範囲は1問10点です(配点からの計算)。40%に届く正解数は次のとおりです。

  • 有害業務の10問: 4問正解で32点 → 足切りを越える
  • 有害業務以外の7問: 3問正解で30点 → 足切りを越える。2問だと20点で足切り

7問しかない範囲は、1〜2問の取りこぼしで割合が大きく動きます。ここが関係法令でいちばん危ないところです。

実際に、2024年12月に受験記を投稿した sugu_onaka_suku さんは、合格はしたものの、自分の出来を「関係法令4割(足切りギリギリ)」と書いています。労働衛生は9割、労働生理は7割くらいだったそうなので、関係法令だけが足を引っぱった形です。有害業務を扱わない一般事務職で、公表問題を直近から7回分解き、分野ごとの得点を表にしていた人でもこうなります。

逆の例もあります。社労士で不合格だった tak! さんは、関係法令の有害業務以外が70点中60点と高かった一方、得点源のはずのこの範囲でも1問落としたと振り返っています。5範囲とも40%以上で足切りはなく、合計220点(55%)での不合格でした。本人の言葉は「あと2問取れていれば合格だったのに」です。関係法令は足切りを避けるだけでなく、合計点を積む範囲でもある ということです。


有害業務の10問は「リストと数字」で取れる

筆者が協会の公表問題3回分(令和7年4月・10月、令和8年4月の掲載分)を照合したところ、関係法令(有害業務)で3回とも出たテーマは次の4つでした。

  1. 衛生管理体制の事例問題(3回とも問1)
  2. 厚生労働大臣が定める規格を具備すべき機械等
  3. 36協定を結んでも1日2時間を超えられない業務
  4. 作業環境測定

どれも、条文にあるリストと数字を覚えていれば答えが決まる問題です。順に見ていきます。

問1は3回とも「衛生管理体制の事例問題」

問1では、ある事業場の業種・労働者数と、「深夜業を含む業務に何人」「多量の高熱物体を取り扱う業務に何人」といった内訳が示され、衛生管理者の人数、専任の要否、産業医の専属の要否、総括安全衛生管理者の要否を判断させます。使う数字は、次の図にまとめたものでほぼ足ります。

  • 衛生管理者の人数(安衛則7条): 50〜200人で1人、200人超〜500人で2人、500人超〜1,000人で3人、1,000人超〜2,000人で4人、2,000人超〜3,000人で5人、3,000人超で6人。選任は事由が発生した日から14日以内
  • 専任の衛生管理者: 常時1,000人超、または常時500人超で、坑内労働か労基則18条の業務に常時30人以上
  • 産業医の専属: 常時1,000人以上、または安衛則13条1項3号の業務(深夜業を含む)に常時500人以上
  • 総括安全衛生管理者(安衛令2条): 林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業は100人以上、製造業・電気業・ガス業・各種商品卸売業・各種商品小売業・旅館業・ゴルフ場業・自動車整備業・機械修理業などは300人以上、その他の業種は1,000人以上
  • 製造業・医療業・建設業などでは、第一種(または衛生工学)の免許を持つ人から衛生管理者を選ぶ。第二種で選べるのは「その他の業種」だけ

いちばんのひっかけは「深夜業」の扱い

問1で差がつくのは、深夜業の人数をどの判定に使うか です。

  • 専任の衛生管理者の判定に使う 労基則18条の業務には、深夜業が入っていません
  • 産業医の専属や、6か月ごとの特定業務従事者の健康診断に使う 安衛則13条1項3号の業務には、深夜業が入っています

令和8年4月掲載の公表問題の問1も、深夜業の人数と有害業務の人数を並べて、まさにこの違いを問うものでした。

考え方を確かめるために、筆者が作った例で解いてみます(公表問題ではなく自作の例です)。

  • 事業場: 常時800人の製造業
  • 内訳: 深夜業を含む業務に常時520人、多量の高熱物体を取り扱う業務に常時20人

この場合、衛生管理者は500人超〜1,000人なので3人。専任は、常時1,000人超ではなく、労基則18条の業務(高熱物体)は20人で30人に届かないので、要りません。深夜業の520人は、この判定には数えません。一方、産業医は、安衛則13条1項3号の業務(深夜業を含む)に常時500人以上なので 専属が必要 です。総括安全衛生管理者は、製造業で300人以上なので必要です。

同じ520人が、専任の判定では数えられず、専属の判定では数えられる。この逆転を一度自分で計算しておくと、本番の事例問題で迷いにくくなります。

36協定でも1日2時間を超えられない業務

労基法36条6項1号は、坑内労働その他の健康上特に有害な業務について、時間外労働を1日2時間までに制限しています(労働基準法)。その業務のリストが労基則18条です。

  • 多量の高熱物体を取り扱う業務、著しく暑熱な場所の業務
  • 多量の低温物体を取り扱う業務、著しく寒冷な場所の業務
  • 有害放射線にさらされる業務
  • 土石・獣毛などのじんあい・粉末を著しく飛散する場所の業務
  • 異常気圧下の業務
  • 削岩機などの著しい振動を与える業務
  • 重量物の取扱いなどの重激な業務
  • ボイラー製造などの強烈な騒音を発する場所の業務
  • 鉛・水銀・一酸化炭素などの有害物の粉じん・蒸気・ガスを発散する場所の業務

公表問題では、このリストに 入っていない 業務が誤りの肢や正答として使われています。深夜業、病原体を扱う業務、情報機器作業、湿潤な場所の業務、そしてヘリウム・アルゴンなどの不活性の気体を入れたことのあるタンクの内部の業務です。令和7年10月掲載の問10は、この不活性ガスのタンク内の業務が、時間外労働を制限されない業務として正答になっていました。

「有害そうに見えるのに入っていない」ものを押さえるのがコツです。深夜業がここでも入っていないことは、問1のひっかけと同じ話なので、まとめて覚えられます。

作業環境測定の頻度

作業環境測定も3回とも出ています。測定の間隔は作業場ごとに決まっているので、短い順に並べて覚えるのが早道です。

  • その日の作業開始前: 酸素欠乏危険場所(酸欠則3条)
  • 半月以内ごと: 暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場の気温・湿度・ふく射熱(安衛則607条)、坑内の通気量(安衛則603条)
  • 1月以内ごと: 坑内の炭酸ガス濃度(安衛則592条)、放射線業務の管理区域・放射性物質の濃度(電離則54条・55条。条件により6月以内)
  • 2月以内ごと: 中央管理方式の空気調和設備がある事務室(事務所則7条)
  • 6月以内ごと: 著しい騒音(安衛則590条)、粉じん・有機溶剤・特定化学物質(粉じん則26条・有機則28条・特化則36条)
  • 1年以内ごと: 鉛(鉛則52条)

「6月以内ごと」がいちばん多く、それより短いものと長いものを例外として覚える、という整理にすると量が減ります。

規格を具備すべき機械等

労働安全衛生法42条は、危険・有害な作業に使う機械や、健康障害を防ぐための器具のうち政令で定めるものについて、厚生労働大臣が定める規格または安全装置を具備しなければ、譲渡・貸与・設置してはならないとしています(労働安全衛生法)。

衛生管理者の試験で関係が深いのは、防じんマスク・防毒マスク(法の別表第二)や、エックス線装置・ガンマ線照射装置・再圧室・潜水器(安衛令13条3項)などです。防毒マスクは、令13条5項でハロゲンガス用・有機ガス用などに限定されています。「この器具は規格の対象か」を問う形なので、衛生に関わる器具が並んでいるリストとして一度目を通しておきます。


有害業務以外の7問は「衛生基準」と「年休」が毎回出る

関係法令(有害業務以外)で3回とも出たのは、事業場の衛生基準 と 年次有給休暇 でした。ほかに、衛生管理者の職務、衛生委員会、総括安全衛生管理者の業種と人数、ストレスチェック後の面接指導、労働時間が2回ずつ出ています。7問しかないので、3回とも出た2テーマは確実に取りたいところです。

事業場の衛生基準(安衛則)

  • 気積: 設備の容積と、床から4mを超える空間を除いて、1人10m³以上(600条)
  • 窓など開放できる部分: 床面積の1/20以上。気温10℃以下のときは、換気で毎秒1m以上の気流にさらさない(601条)
  • 照度: 精密な作業300lx以上、普通の作業150lx以上、粗な作業70lx以上(604条)。照明設備の点検は6月以内ごと(605条)
  • 休養室: 常時50人以上、または常時女性30人以上で、男女別に臥床できるもの(618条)
  • 大掃除・ねずみや昆虫の調査: 6月以内ごと(619条)
  • 食堂: 1人1m²以上。炊事場に土足で立ち入らせない(630条)

照度には注意がひとつあります。事務所衛生基準規則10条の照度は、2022年12月から、一般的な事務作業300lx以上・付随的な事務作業150lx以上の2区分です。安衛則604条の3区分(300・150・70)とは別のルールなので、どちらの規則の話かを見てから答えます。

年次有給休暇(労基法39条)

雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、10労働日の年次有給休暇を与えなければなりません。その後は勤続年数に応じて日数が加算されます。週の所定労働日数が少ない人には、日数を減らした比例付与の決まりがあり、公表問題にも比例付与が出ています(労働基準法)。

巡視・委員会・健診・保存年数

  • 巡視: 衛生管理者は毎週1回(安衛則11条)、産業医は毎月1回(条件を満たせば2か月に1回。安衛則15条)
  • 衛生委員会: 毎月1回以上開き、記録は3年保存(安衛則23条)
  • 定期健康診断: 1年以内ごとに1回(44条)。特定業務従事者は配置替えの際と6月以内ごとに1回(45条)
  • 健康診断個人票: 5年保存(51条)。結果の報告は常時50人以上の事業場(52条)
  • 長時間労働の面接指導: 週40時間を超えた時間が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる人(52条の2)

「3年」「5年」「毎週」「毎月」は、入れ替えただけの肢が作りやすい数字です。何の記録か・誰の巡視か とセットで覚えます。


関係法令は、覚えた数字が変わることがある範囲

労働生理と違って、関係法令は法改正の影響を直接受けます。

  • 協会は公表問題について「令和8年1月1日以降に施行された法令に対応しておりません」と注意書きしています(協会 公表試験問題)。古い公表問題や、古い解説を読むときは、改正前の正誤で書かれている可能性がある、ということです
  • 令和7年の労働安全衛生法改正は段階的に施行されていて、2026年10月1日には「個人ばく露測定等関係」が施行されました(厚生労働省)
  • 常時50人未満の事業場のストレスチェック義務化は、2028年4月1日の施行です(中央労働災害防止協会)。今はまだ義務ではありません
  • 協会が「いつ時点の法令で出題するか」を示した記述は、確認できませんでした

公表問題は協会サイトで直近2回分が公開されていて、解説は付いていません。最新の公表問題が出ているかどうかは、受験前に協会サイトで確かめてください。


関係法令の回し方: 演習中心で、苦手な範囲だけ回数を増やす

関係法令の攻略で体験記から見えたのは、テキストを読み込むより、問題を解いて数字の抜けを見つけるやり方でした。

  • テキストは覚えようとせず1周だけ読み、紙の過去問から「スマホの過去問一問一答サイト」に切り替えた なすび筋 さんは、得意な分野は5周ほど、関係法令は「苦手だった関係法令:20周」と書いています。勉強時間は合計約35時間でした
  • 前述の sugu_onaka_suku さんは、公表問題を7回分解き、分野ごとの得点を表にして、4回目くらいから合格点に届いたそうです。それでも本番の関係法令は4割でした。表で見ていても、7問の範囲は本番のぶれが大きい ということです
  • sh1's diary の筆者は、公表問題3回分をすべての選択肢の正誤の理由まで詰めていました

関係法令のように数字の入れ替えで誤りの肢を作る範囲では、「正解の番号」より「どの肢のどの数字が違うか」を言えることが大事です。私たちのアプリでは、全問の解説で正解の理由と各選択肢の正誤を確かめられ、「間違えた問題だけ」に絞って解き直せます。本番形式のテストでは弱点カテゴリがグラフで出るので、どの範囲が足切りに近いかを、本を別に用意しなくても問題演習の中で確かめられます。

関係法令の仕上げとして、次の3つを試験前に確認しておくと安心です。

  1. 問1の事例問題で、深夜業の人数を「専任」の判定に入れていないか
  2. 36協定の2時間の業務から、深夜業・病原体・情報機器作業・不活性ガスのタンク内を外せるか
  3. 有害業務以外の7問で、3問正解に届かない回がないか(範囲ごとの正答率を記録する)

まとめ

  • 関係法令は有害業務10問80点・有害業務以外7問70点。足切りは2か所で、7問の範囲は2問正解だと足切り
  • 有害業務は、衛生管理体制の事例問題(問1)・規格具備の機械等・36協定の2時間・作業環境測定が3回とも出た
  • 問1のひっかけは深夜業。労基則18条(専任・36協定)には入らず、安衛則13条(専属・6か月ごとの健診)には入る
  • 有害業務以外は、衛生基準と年休が3回とも出た。照度は安衛則604条と事務所則10条を混ぜない
  • 関係法令は法改正の影響を受ける。公表問題は令和8年1月1日以降の法令に対応していない
  • 苦手な範囲だけ周回数を増やし、範囲ごとの正答率を記録する

次回の第6回は、労働衛生 がテーマです。化学物質の状態や保護具の使い分け、必要換気量やBMIの計算問題など、有害業務10問・有害業務以外7問の攻略を見ていきます。


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※この記事は2026年9月28日時点の公開情報をもとにしています。法令の数字は e-Gov 法令検索の条文で確認していますが、試験の制度・日程・出題範囲や法令は変わることがあるので、受験前に必ず安全衛生技術試験協会の公式サイトと最新の法令で確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。

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