第一種衛生管理者の体験記30人を分析 受かる人と落ちる人

第一種衛生管理者の合格率は、令和7年度(2025年度)で 46.8% でした。令和5年度は46.0%、令和6年度は46.3%で、3年続けて、受けた人の半分弱が受かる試験です(安全衛生技術試験協会 統計)。
半分は受かる。そう聞くと気が楽になりますが、受けた人の体験記を読むと、合否を分けた線はかなり細いことが分かります。
- 「あと2問取れていれば合格だったのに」(tak!。不合格)
- 「関係法令4割(足切りギリギリ)」(sugu_onaka_suku。合格)
- 「落ちるべくして落ちた感じです。」(ちょびぱや。不合格)
この連載では、note・はてなブログ・企業コラムに公開されている 第一種衛生管理者の体験記30人分(記事34本) を読み込み、試験を実施する安全衛生技術試験協会(以下、協会)の公式情報と突き合わせて、合格に効くやり方を全10回で整理します。対象は2024年以降に受験した人、または2025年以降に公開された一次体験記です。30人の内訳は、合格27人・結果待ち1人・不合格2人。合格者のうち1人は、3回不合格のあと4回目で合格した人です。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っています。第一種衛生管理者の480問を作る側として、受かった人と落ちた人が何をしていたのかを知りたくて、この30人分を一本ずつ読みました。読んでいくと、受かった人の多くはテキストを読み込むより早く問題演習に移り、正解だけでなく「ほかの選択肢がなぜ違うのか」まで確かめていました。私たちが480問すべてに、正解の理由と各選択肢の正誤を書いた解説を付けているのも、同じ考えからです。
第1回の今回は全体像として、「受かる人」と「落ちる人」を分けたポイント と、合格者の勉強時間の実数をまとめます。
まず押さえたい、第一種衛生管理者試験の形
第一種衛生管理者は、労働安全衛生法に基づく免許試験で、厚生労働大臣指定試験機関である協会が実施しています。常時50人以上の労働者がいる事業場では衛生管理者の選任が必要で、第一種はすべての業種の事業場で衛生管理者になれます(第二種は情報通信業・金融保険業・卸売小売業など一定の業種だけ)。
注意したいのは、受験資格に労働衛生の実務経験が要る ことです。たとえば大学・短大・高専を卒業したあと1年以上、高校を卒業したあと3年以上の実務などで、会社に事業者証明書を書いてもらいます(協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」)。
試験は 3時間・44問・五肢択一のマークシート で、5つの範囲に分かれています。
- 関係法令(有害業務に係るもの): 10問・80点
- 労働衛生(有害業務に係るもの): 10問・80点
- 関係法令(有害業務に係るもの以外のもの): 7問・70点
- 労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの): 7問・70点
- 労働生理: 10問・100点
合格基準は「科目ごと(第一種衛生管理者試験の科目のうち範囲が分かれているものについては範囲ごと)の得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であること。」です(同)。つまり 足切りは5つの範囲それぞれ にかかります。
配点から計算すると、足切りを越えるのに必要な正解数は、有害業務の2範囲が各4問、有害業務以外の2範囲が各3問、労働生理が4問です。合計は400点中240点が必要です。特に危ないのは 7問しかない有害業務以外の2範囲 で、2問しか取れないとそれだけで不合格になります。
受かる人に共通していた5つのこと

1. テキストは軽く読み、早めに問題演習に移っている
合格者でいちばん多かったのは「テキスト → 過去問・問題集」の順番です。ただ、その多くはテキストを1周だけ、あるいは流し読みで済ませ、早い段階で問題演習に移っていました。約40時間で合格した うに さんの後悔は、「もっと早く過去問をやってもよかった」でした。
テキストをほとんど使わなかった人もいます。高卒ライン工の資格攻略ノート の筆者は「テキストはほとんど使いませんでした。」と書き、過去問と問題集を繰り返して合格しています(同じ進め方を書いた、よく似た内容の記事がもう1本あります)。テキストを買わずに過去問中心で受かった人、うたたね さんのように「教材を1冊も買わずに合格しました。」という人もいました。
ただし、30人の中に「アプリや Web の問題だけで受かった」と書いた人はいません。どの人も、テキストを一度読むか、動画や講習で最初の知識を入れています。言えるのは、演習中心で受かった人は珍しくない というところまでです。
2. スマホでスキマ時間に問題を解いている
通勤中の電車でテキストを読むのではなく、問題を解くと決めていた人がいます。Marathon Learner さんは「電車=問題演習の時間、と割り切りました。」と書いています。
約35時間で合格した なすび筋 さんは、紙の過去問から途中で「スマホの過去問一問一答サイト」に切り替えました。すぐに解説が見られること、分野別に解けること、正答率が見えることが理由です。労務担当の 現役労務OL☆リナ さん(有料 note の無料部分)は「私はアプリを中心に、とにかく問題を解きました。」と書き、テキストは1回読んだ程度でした。
私たちのアプリでも、全問の解説で正解の理由と各選択肢の正誤を確かめられ、解説の中の用語はタップすると専用の用語辞書が開きます。分からない言葉をその場で引けるので、本を別に用意しなくても、問題を解きながら理解まで進められる作りにしています。
3. 苦手な範囲を「回数」で潰している
なすび筋さんは、得意な分野は5周から、「苦手だった関係法令:20周」。家事と育児の合間に1日30分ほど勉強した れもん さんは「過去問題集を5周以上するだけ」で、3周目あたりで苦手な分野が分かり、そこだけを何周もしたと書いています。sugu_onaka_suku さんは公表問題7回分の得点を分野ごとに表にし、4回目くらいから合格点に届きました。
足切りが5つの範囲それぞれにある以上、全体の正答率より 範囲ごとの弱点 を見ることが大事です。ナレッジバンドルでは「間違えた問題だけ」に絞って解き直せ、本番形式のテストで弱点のカテゴリをグラフで確認できます。
4. 選択肢の正誤の理由まで詰めている
2024年10月に合格した sh1’s diary の筆者は、公表問題3回分を、すべての選択肢の正誤の理由まで詰めました。はやて さんも、過去問がそのまま出ない問題に備えて、ほかの選択肢がなぜ誤りかまで理解するようにしていました。
5. 足切りを最初に確認している
なすび筋さんは勉強を始める前に合格基準を確認し、うにさんは足切りを避けることを優先しました。どこで何問取ればよいかを先に知っておくと、捨ててよい範囲がないことにも早く気づけます。
落ちる人・苦戦した人に共通していた4つのこと
1. 範囲を捨てる
4人が同じ失敗を書いています。合格した akkom さんは捨て問にするつもりだった問題が何問も出て、「なるべく捨て問を作らず」と振り返っています。あいせい さんは問題集の出題頻度で「星1の問題を、自分の判断で端折ってしまった」ところ、本番で何問も出ました。忠犬人事の読書録 の筆者も「出題頻度が低い項目も決して油断できない」。不合格だったちょびぱやさんは、化学物質の特徴と労働生理を捨てて、そこが難しかったと書いています。
2. インプットだけで、問題を解かない
ちょびぱやさんの勉強は、無料の動画を見ることだけでした。「10〜20時間くらいしか使っていません」。公表問題を解くアウトプットをせず、「誰でも受かる」というネットの声を信じてしまったことを敗因に挙げています。本人の提言は、少なくとも50時間前後です。
3. 足切りを越えても、合計60%に届かない
tak! さんは社会保険労務士で、第二種も持っていました。それでも不合格です。点数は、関係法令(有害)48/80・労働衛生(有害)32/80・関係法令(有害以外)60/70・労働衛生(有害以外)40/70・労働生理40/100で、合計220/400(55%)。5つの範囲すべてで40%以上あり足切りはありませんでしたが、合計があと20点、つまり2問足りませんでした。計算すると、労働衛生(有害)と労働生理はちょうど40%です。足切りを越えることと、合計60%に届くことは別の目標 だと分かる例です。
4. 試験当日の数時間だけで受ける
むんへん さんは、2024年8月から3回続けて不合格になり、2026年5月の4回目で合格しました。平日は勉強せず、毎回試験当日の数時間だけで臨んでいたそうで、本人は自分を反面教師とし、「2~3カ月前からコツコツ勉強するのが一番確実です」と書いています。

本番は過去問に近いのか。答えは人によって正反対
体験記で意見がいちばん割れたのが、ここです。
- 近かったという人: 「公表問題で見たことがある問題が多い!」(オオタハラ。企業のコラム)、「初めて見る問題はなかったです。」(りょう。2026年9月に受験し、まだ結果待ちの人の言葉です)
- 初見が多かったという人: 「過去問では見たことのないワードがたくさんあり」(さとふる)、「「鉛筆転がし」レベルの回答が多数」(岡本謙人)。リナさんも、過去問で8〜9割取れていたのに、本番は体感で3割ほどが見たことのない問題だったと書いています
数えて書いていたのは、はやてさんの「全44問中23問が過去問や公開問題と同じ内容」だけです。約半分が同じで、残りの半分はそうではなかったことになります。「過去問だけで大丈夫」とも「過去問では無理」とも言い切れません。共通して言えるのは、頻度の低い項目にも一度は触れておく ことです。
もう一つ、法改正にも気をつけてください。協会が公開している公表問題は直近2回分で、解説はなく、協会自身が「令和8年1月1日以降に施行された法令に対応しておりませんのでご注意ください。」と書いています(協会 公表試験問題)。古い問題や古い解説には、改正前の正誤が残っていることがあります。令和7年の労働安全衛生法の改正は段階的に施行されていて、2026年10月1日には「個人ばく露測定等関係」が施行される予定です(厚生労働省)。
合格者の勉強時間は「中央値55時間」
合計の勉強時間を本文に書いていた合格者は8人でした。

最も短い人が約35時間、最も長い人が約138時間で、真ん中(中央値)は 55時間 です。8人のうち5人が60時間以下でした。民間のサイトが示す目安は30〜150時間と幅があり、100時間前後とするものもありますが、体験記の実数はそれより短い人が多くなっています。
ただし、8人は多い数ではありません。30人のうち、合計時間を測っていない人のほうがずっと多く、約2週間、約1か月で1日平均1時間程度、のように期間だけを書いた人もいます。時間の長さより、ここまでに挙げた 演習に移る早さ・範囲を捨てないこと・範囲ごとの弱点の潰し方 のほうが、合否との関係ははっきりしていました。
試験は毎月ある。申込はオンラインで試験日の14日前まで
第一種衛生管理者の試験は年2回ではなく、全国7つのセンターと東京・大阪の試験場で 毎月 行われています。たとえば2026年10月の東京試験場は、1・5・6・7・13・15・22・25・27・29日です。日程はセンターごとに違うので、受けたいセンターの日程表で確認してください(協会「第一種・第二種衛生管理者の日程」)。
申込は、オンラインなら試験日の2か月前から 14日前の23時59分59秒まで。2026年5月11日からは、写真や添付書類のアップロード、手数料の支払いまでオンラインで済ませられるようになりました(協会のお知らせ)。ただし「受付期間中であっても定員に達した場合は受付を終了いたします。」とあるので、早めに申し込むのが安全です。受験料は8,800円です。
計算すると、10月15日の試験ならオンラインの締切は10月1日、10月22日の試験なら10月8日です。
まとめ:第一種衛生管理者は「捨てない」と「解く」の試験
30人の体験記から見えたことを、ひと言ずつまとめます。
- 足切りは 5つの範囲それぞれ。特に7問の範囲は2問で不合格
- 足切りを越えても 合計60% に届かなければ落ちる(あと2問で不合格の例)
- 受かる人は テキストを軽く読んで早めに演習へ。スマホのスキマ時間も使う
- 苦手な範囲は 回数 で潰し、選択肢の 正誤の理由 まで確かめる
- 範囲を 捨てない。頻度の低い項目から何問も出た人が多い
- 勉強時間は合格者8人の中央値で 55時間
連載の第2回では、「44問400点と5つの足切り」を、第一種と第二種の違い、受験資格、合格発表から免許申請までの流れと一緒にくわしく見ていきます。
第一種衛生管理者の480問をアプリで解くなら「ナレッジバンドル」

資格対策アプリ「ナレッジバンドル」には、第一種衛生管理者のオリジナル問題480問がすべて入っています。スキマ時間に1問ずつ解いて、間違えた問題だけを繰り返せます。
- 全問に解説つき。解説の用語はタップで第一種衛生管理者専用の用語辞書が開き、関連用語もたどれる
- 解説を読んでも引っかかったら、その問題をそのままAIに質問。Google検索もワンタップ
- 忘却曲線で復習を自動出題。「間違えた問題だけ」「未回答だけ」「ランダム」など出題の絞り込みも自由
- 本番形式テストで、いまの合格率と弱点カテゴリをグラフで確認
- 広告なし。全教材は無料体験できます
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※この記事は2026-09-28時点の公開情報をもとにしています。試験の制度・日程・申込の締切は変わることがあるので、受験前に必ず安全衛生技術試験協会の公式サイトで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。