ナレッジバンドル

第一種衛生管理者の試験の仕組み 44問400点と5つの足切り

公開 ・ ナレッジバンドル編集部

第一種衛生管理者の試験の仕組み 44問400点と5つの足切り

連載「第一種衛生管理者 攻略シリーズ」の第2回です。第1回では、2024年以降に受験した人を中心に、合格・不合格の体験記30人分を読み込み、受かる人と落ちる人の違いを整理しました。

体験記を読んでいると、「足切りギリギリ」「あと2問」といった言葉が何度も出てきます。関係法令が4割で足切りすれすれだった合格者もいれば、5つの範囲すべてで足切りを越えたのに不合格になった人もいます。こうした話は、試験の点数の仕組みを知らないと意味がつかめません。

私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、第一種衛生管理者の480問は、試験と同じ5つの範囲に分けて収録しています。この試験は足切りが範囲ごとにかかるので、アプリの本番形式テストでは、合格率と一緒に、どのカテゴリが弱いかをグラフで確かめられるようにしました。

第2回の今回は、試験を実施している安全衛生技術試験協会(以下、協会)の公式ページをもとに、第一種と第二種の違い・受験資格・44問400点の配点・5つの足切り・申込から免許証までの流れ をひと通りまとめます。


第一種と第二種の違い:第一種はすべての業種で選任できる

衛生管理者は、労働安全衛生法に基づく免許試験で、厚生労働大臣指定試験機関の安全衛生技術試験協会が実施しています。常時50人以上の労働者を使う事業場は、人数に応じて衛生管理者を選ばなければなりません。

免許には第一種と第二種があり、選任できる業種が違います。協会の説明はこうです(協会 第一種・第二種衛生管理者の紹介)。

「第一種衛生管理者免許を有する者は、すべての業種の事業場において衛生管理者となることができます。」

一方の第二種は、有害業務と関連の少ない情報通信業・金融保険業・卸売小売業など、一定の業種に限られます。製造業・医療業・建設業などの事業場で衛生管理者になるには、第一種(または衛生工学衛生管理者)が必要です。

試験の中身の違いは「有害業務」の範囲があるかどうかです。第二種は労働衛生・関係法令・労働生理の3科目が各10問(各100点)で、有害業務は出ません。第一種は、労働衛生と関係法令がそれぞれ「有害業務に係るもの」と「それ以外」に分かれ、問題数も配点も変わります。この「範囲の分かれ方」が、あとで説明する足切りに効いてきます。


受験資格:労働衛生の実務経験と事業者証明書が要る

第一種衛生管理者は、誰でも受けられる試験ではありません。学歴に応じた年数の労働衛生の実務経験が必要です。代表的なものは次のとおりです(全17区分。協会 資格の紹介)。

  • 大学・短大・高専を卒業後、1年以上の労働衛生の実務経験
  • 高校を卒業後、3年以上の労働衛生の実務経験
  • 学歴を問わず、10年以上の労働衛生の実務経験

実務経験は、会社に書いてもらう事業者証明書で証明します。派遣で働いている人は派遣元が証明し、複数の会社で経験を積んだ人はそれぞれの会社で作ってもらいます。

「実務」とは何か、協会の FAQ は、健康診断結果の取りまとめ、疾病統計の作成、衛生管理者の補助業務などを例に挙げたうえで、「単にデスク周りの清掃や電球交換をする等では該当しません。」と書いています(協会 よくあるご質問)。会社の指示で受ける人でも、自分の業務が当てはまるかは申込の前に確かめておきましょう。

なお、第二種の免許を持っている人は、あとで触れる「特例」で受けられ、受験資格を証明する書類の代わりに第二種の免許証の写しを付けます。


5つの範囲と配点:44問・400点・3時間

第一種の試験は、次の5つの範囲で合計44問・400点です(問題数と配点は協会の表、合計は自分で合算)。

  • 関係法令(有害業務に係るもの):10問・80点
  • 労働衛生(有害業務に係るもの):10問・80点
  • 関係法令(有害業務に係るもの以外のもの):7問・70点
  • 労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの):7問・70点
  • 労働生理:10問・100点

配点を問題数で割ると、有害業務の2範囲は1問8点、それ以外の3範囲は1問10点 になります。協会が「1問何点」と明示した文言は見当たらないので、これは配点からの計算です。同じ1問でも、労働生理や有害業務以外の範囲のほうが点数が大きいことになります。

形式は 五肢択一のマークシート。試験時間は 13:30〜16:30 の3時間 で、1問あたりに直すと約4分です。問題冊子は、関係法令(有害)→労働衛生(有害)→関係法令(有害以外)→労働衛生(有害以外)→労働生理の順に並んでいます(令和8年4月掲載の公表問題で確認)。当日の時間の使い方や持ち物は、連載の第8回でくわしく扱います。


合格基準:範囲ごとに40%、合計で60%

合格基準は、協会のページに次のように書かれています。

「科目ごと(第一種衛生管理者試験の科目のうち範囲が分かれているものについては範囲ごと)の得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であること。」

かっこの中が大事です。第一種では労働衛生と関係法令が「有害業務」と「それ以外」に分かれているので、足切りは3科目ではなく5つの範囲それぞれ にかかります。協会の FAQ も、合計が60%あっても「ある科目の得点が40%未満となると不合格になります。」と念を押しています(協会 よくあるご質問)。

配点から、それぞれの範囲で足切りを越えるのに必要な正解数を計算すると、次のようになります。

  • 有害業務の2範囲(各10問・80点):40%は32点なので、4問以上
  • 有害業務以外の2範囲(各7問・70点):40%は28点なので、3問以上
  • 労働生理(10問・100点):40%は40点なので、4問以上

いちばん危ないのは、7問しかない有害業務以外の2範囲 です。1問10点なので、2問しか取れないと20点で足切りになります。問題数が少ないぶん、1問の重みが大きく、1問のミスがそのまま合否に響きます。

体験記にも、足切りすれすれで合格した人がいます。sugu_onaka_suku さんは、労働衛生は9割、労働生理は7割ほど取れていたのに、関係法令は「関係法令4割(足切りギリギリ)」だったと書いています。

足切りを越えても、合計60%で落ちる

もう一つの落とし穴が合計点です。足切りをすべてぎりぎりで越えた場合の合計は、32+32+30+30+40=164点。合格ラインの240点には76点足りません。

実際に、足切りはなかったのに合計で不合格になった人がいます。第二種の免許を持つ社労士の tak! さんは、特例を使わず全科目で受け、不合格の通知はがきに書かれた点数を公開しています。

  • 関係法令(有害)48/80
  • 労働衛生(有害)32/80
  • 関係法令(有害以外)60/70
  • 労働衛生(有害以外)40/70
  • 労働生理 40/100
  • 合計 220/400(55%)

5つの範囲はすべて40%以上ですが、労働衛生(有害)と労働生理はちょうど40%(割合は自分で計算)。合計は240点に20点届かず、本人は「あと2問取れていれば合格だったのに」と振り返っています。得点源のつもりだった範囲で1問落とし、労働生理は10問中4問だったそうです。

44問中、何問正解すれば受かるのか

1問の点数が範囲によって違うので、「何問正解で合格」とは一つに決まりません。配点から計算すると、次のとおりです。

  • 1問10点の問題を多く取れた場合:26問 の正解で240点に届くことがある(例:有害の2範囲で各4問、ほかの3範囲で合計18問)
  • 1問8点の問題に正解が偏った場合:27問 正解でも240点に届かないことがある
  • 足切りを越えたうえで 28問 正解していれば、どう配分されても240点以上になる

目安としては「44問中28問、6割強」と覚えておくと安全です。そして、28問を取るには、5つの範囲のどれも捨てられません。第1回で紹介したとおり、頻度の低い項目を飛ばして本番で何問も出た、と後悔している合格者は少なくありません。

範囲ごとの得点を普段から見ておくと、足切りと合計のどちらが危ないかが早めに分かります。ナレッジバンドルでは、本番形式テストで範囲ごとの弱点を確かめたあと、「間違えた問題だけ」に絞って解き直せます。全問の解説で正解の理由と各選択肢の正誤を確かめられ、解説の用語はタップすると専用の用語辞書が開くので、本を別に用意しなくても理解まで進められます。


特例第一種:第二種を持っている人は20問・2時間

第二種の免許を持っている人は、「特例第一種衛生管理者免許試験」で第一種を受けられます。出題は有害業務の2範囲だけです(協会 資格の紹介)。

  • 労働衛生(有害業務に係るものに限る):10問・80点
  • 関係法令(有害業務に係るものに限る):10問・80点
  • 試験時間:13:30〜15:30 の2時間

特例で合格した takaichi777 さんは、第二種を取ったあとに第一種を受け直した経験から、「最初から第一種を目指せば良かったと思いました」と書いています。第二種と第一種で試験を2回受けることになり、時間もお金も倍かかった、という後悔です。これから受ける人で、職場が第一種を必要とする業種なら、最初から第一種を選ぶほうが遠回りになりません。

なお、特例で受ける人の合格点(合計の60%をどう計算するか)を明示した協会の記述は、確認できませんでした。特例を使う人は、協会に確かめてください。

このほか、船員法の衛生管理者適任証書を持ち、その後1年以上の実務経験がある人は、労働生理が免除されます(試験時間は2時間15分)。


試験日と申込:毎月あり、締切は試験日の14日前

第一種衛生管理者は年に1〜2回の試験ではなく、全国7つのセンターと東京・大阪の試験場で毎月 行われています。たとえば2026年10月は、北海道センターが15日・29日、近畿センターが1日・29日、東京試験場が1・5・6・7・13・15・22・25・27・29日です(協会 試験日程)。令和8年度は東京・大阪の試験場で休日の試験も大幅に増えました。センターによって回数がかなり違うので、受けたいセンターの日程表で確かめてください。

申込の締切は次のとおりです。

  • オンライン申請:試験日の2か月前の0時から、14日前の23時59分59秒まで
  • 郵送:第1希望日の2か月前から14日前の消印まで(簡易書留)
  • センター窓口への持参:休業日を除く2日前まで

どの方法でも、受付期間中であっても定員に達した場合は受付を終了 します。たとえば10月15日の試験をオンラインで申し込むなら10月1日まで、10月22日の試験なら10月8日までですが(日付は自分で計算)、人気の日は早く埋まることがあります。

2026年5月11日からは、衛生管理者試験の申請がオンラインで完結 するようになりました。会場と日程の選択、添付書類と証明写真のアップロード、試験手数料の支払いまでをオンラインで済ませられます(協会 お知らせ)。受験料(試験手数料)は 8,800円 で、受験票が出たあとは返金されません(協会 試験手数料)。


結果の通知と免許の申請:合格だけでは免許証は届かない

結果は郵送で届きます。合格者には「免許試験合格通知書」、それ以外の人には「免許試験結果通知書」が、合格発表日の当日に受験したセンターから送られます。電話での問い合わせには応じてもらえません。

見落としやすいのが、合格したあとの手続きです。合格通知書を受け取ったら、自分で免許申請 をする必要があります。

  • 提出先:東京労働局免許証発行センター(簡易書留で郵送。窓口はない)
  • 手数料:収入印紙1,500円分
  • 同封するもの:免許試験合格通知書の原本、免許証の送付用封筒と切手 など
  • マイナポータルからの電子申請もできる

協会は「この手続きをしないと免許証は交付されません。」と明記しています(協会 合格後の手続き)。申請が集中する時期は、免許証が届くまで1か月以上かかることもあるので、会社に選任の予定がある人は早めに出しましょう。


公表問題と法改正の注意

協会は、過去に実施した試験問題を「公表試験問題」として直近2回分掲載しています。ただし正答に印があるだけで、解説はありません。さらに協会自身が、令和8年4月掲載分・令和7年10月掲載分について「令和8年1月1日以降に施行された法令に対応しておりません」と注意書きしています(協会 公表試験問題)。

令和7年に改正された労働安全衛生法は段階的に施行されていて、2026年10月1日にも「個人ばく露測定等関係」が施行される予定です(厚生労働省)。古い問題や古い解説には、改正前の正誤のまま書かれたものがありえます。関係法令の2範囲は、問題を解くときに「いつの法令で書かれた解説か」を意識しておくと安心です。なお、協会が「いつ時点の法令で出題するか」を明示した記述は確認できませんでした。


まとめ:まず「5つの足切り」と「合計240点」を頭に入れる

第一種衛生管理者の試験の仕組みを、ひと言でまとめます。

  • 第一種は すべての業種 で選任できる。受験には 実務経験と事業者証明書 が要る
  • 試験は 5つの範囲・44問・400点・3時間。有害業務の範囲は1問8点、それ以外は1問10点(計算)
  • 足切りは 5つの範囲それぞれ40%。7問の2範囲は 2問だと足切り
  • 足切りを越えても 合計240点 に届かなければ不合格。足切りぎりぎりの合計は164点
  • 目安は 44問中28問。どの範囲も捨てられない
  • 試験は 毎月。オンライン申込は 試験日の14日前まで、定員で早く締まることがある
  • 合格したら 免許申請 を忘れずに(収入印紙1,500円)

合格率は令和7年度で46.8%です(協会 統計)。半分近くが落ちる試験ですが、落ちる理由の多くは、この仕組みの中にあります。

連載の第3回では、合格者が実際にどれくらい勉強していたのかを、勉強時間を書いていた8人の実数から見ていきます。


第一種衛生管理者の480問をアプリで解くなら「ナレッジバンドル」

資格対策アプリ「ナレッジバンドル」には、第一種衛生管理者のオリジナル問題480問がすべて入っています。スキマ時間に1問ずつ解いて、間違えた問題だけを繰り返せます。

  • 全問に解説つき。解説の用語はタップで第一種衛生管理者専用の用語辞書が開き、関連用語もたどれる
  • 解説を読んでも引っかかったら、その問題をそのままAIに質問。Google検索もワンタップ
  • 忘却曲線で復習を自動出題。「間違えた問題だけ」「未回答だけ」「ランダム」など出題の絞り込みも自由
  • 本番形式テストで、いまの合格率と弱点カテゴリをグラフで確認
  • 広告なし。全教材は無料体験できます

第一種衛生管理者のほか、100以上の資格・検定(レビュー中含む)が1つのアプリで使い放題です。アプリ内の教材追加画面で「第一種衛生管理者」と検索してください。


※この記事は2026年9月28日時点の公開情報をもとにしています。試験の制度・日程・手続きは変わることがあるので、受験前に必ず安全衛生技術試験協会の公式サイトで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。

第一種衛生管理者の対策を、今日からアプリ 1 本で。

第一種衛生管理者だけなら、iPhone の単体アプリ「第一種衛生管理者 過去問500|試験対策問題集」が ¥600 の買い切り。サブスクは不要です。ほかの資格も学ぶなら、全教材が使い放題のナレッジバンドルを無料で試せます。

買い切り ¥600無料で試す