エネルギー管理士の課目合格で組む2〜3年計画

エネルギー管理士試験は、4課目のうち1つでも60%に届かなければ、その年は不合格です。ただし、60%以上を取った課目は「課目合格」として翌年以降に持ち越せます。
連載第9回の今回は、この課目合格の使い方を扱います。第1回で紹介したとおり、この連載は2023年以降に公開された合格・不合格体験記41人分を読み込んで書いています。41人のうち18人が、課目合格を持ち越した経験を書いていました。
2026年度(8月2日)の試験で一部の課目に受かった人は、いまちょうど「残りをいつ取るか」を考える時期です。2027年8月1日の試験に初めて挑む人にとっても、課目合格は「保険」として知っておく価値があります。一方で、数え方を誤って期限を切らした人もいました。制度の条文と体験記の両方から、2〜3年計画の組み方を整理します。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、本番形式のテストで合格率と弱点カテゴリをグラフで確かめられるようにしています。持ち越した人の2年目は、全部をやり直すより、どこで落としたかをはっきりさせて時間を集めるほうが早い、というのが体験記から見えたことだからです。
「3年以内」は「合格した年を含めて3回」
課目合格の期限は、省令で決まっています。
「その合格した試験の行われた年の初めから三年以内に試験を受ける場合は、その合格した課目を免除する。」
出典はエネルギー管理士の試験及び免状の交付に関する規則 第32条(e-Gov)です。ポイントは「年の初めから」という起点です。2026年8月の試験で課目合格したなら、起点は2026年1月1日で、期限は2028年12月31日になります。試験は年1回なので、使える機会は合格した年を含めて3回(2026・2027・2028年の試験)です。
この数え方は、省エネルギーセンター(ECCJ)の公表資料で裏づけられます。
- 2026年度の受験の手引は、受験票で「令和6・7年度の課目合格実績」を確認するよう案内しています。2026年の試験で免除に使えるのは、2024年度と2025年度の課目合格です。
- 2026年9月18日の熊本地震の措置のお知らせは、令和6年度(2024年度)課目合格者の免除期間を「令和8年12月31日まで」、令和7年度(2025年度)課目合格者を「令和9年12月31日まで」に終わるものとして扱っています。

ここから、いま自分がどこにいるかを確かめてください。
- 2026年度に課目合格した人: 残りのチャンスは2027年と2028年の2回
- 2025年度に課目合格し、2026年に残りを取れなかった人: 2025年度の合格課目は2027年8月1日の試験が最後
- 2024年度に課目合格し、2026年に残りを取れなかった人: 2024年度の合格課目は2026年12月31日で期限切れ。熊本地震の救済(後述)の対象者を除き、その課目は受け直しになります
条文だけでは見落としやすい3つの決まり
ECCJ のエネルギー管理士試験制度の概要には、ほかにも計画に響く決まりが書かれています。
- 受かった課目は受け直せない。「合格している課目の免除期間中は、その課目は受験することができません。」点数を上げ直すための再受験はできません。
- 申込時に前年度・前々年度の受験番号を入力する。入力を誤ると免除が適用されない場合がある、と注意書きがあります。合否通知書と受験票は、次の申込まで捨てずに保管しておきましょう。
- 分野を変えると課目Ⅰの扱いが変わる。課目Ⅰ(エネルギー総合管理及び法規)は熱・電気共通で、免除期間中なら分野を変えても使えます。ただし、どちらかの分野で全課目に合格すると課目Ⅰの課目合格は無効になります(試験Q&A 合格課目試験免除制度)。免状は1種類なので、両方の分野を取る必要はありません。
また、試験と研修(実務3年以上の別ルート)は別の制度で、課目合格はお互いに持ち越せません。
もう一つ、合否は自己採点ではなく合否通知書で確かめるのが確実です。2026年に熱分野で最終合格した gorokun1200 さんは、自己採点で課目Ⅱが届いていないと判断して速報記事に「来年頑張ろう」と書いていましたが、郵送物で合格を知り、「自己採点の足し算ミス(笑)」だったと振り返っています。
体験記18人は、課目合格をどう使ったか
持ち越しを経験した18人の使い方は、大きく2つに分かれます。
- 全課目を受けて、落とした課目を翌年以降に回した人: 13人
- 最初から分割を計画した人: 2人。DON DON さんは「1年目は科目IIに絞った。」と書き、半年かけて課目Ⅱだけに合格してから、2年目に残りを取りました。あげおBlog の筆者は「私はこの2カ年計画で合格しました。」と書いています(同記事はアフィリエイトリンクを含みます)
1〜2課目だけを2年目に残した人で見ると、残った課目は熱の課目Ⅱ(熱と流体の流れの基礎)・課目Ⅰ・電気の課目Ⅳ(電力応用)がそれぞれ3人でした。そして18人のうち5人が、1回目は1〜2問差だったと書いています。
- 熱の課目Ⅲを「あと1~2問」で落とした(40代 リーマンたけしの日常雑談)
- 課目Ⅰを「あと2問」で落とした(そうだ電験取ろう)
- 熱の課目Ⅱが「あと4点」だった(こじろう)
こじろうさんはこの経験を「「ほぼ受かった」は、受かってない」と書いています。課目合格は保険として心強い制度ですが、1〜2問の差で丸1年延びる、ということでもあります。
2年目は、残り課目だけに絞って短時間で届いている
持ち越した人の2年目の勉強時間は、1年目よりかなり短いのが特徴です。
- 浪人技師 さん(熱・課目Ⅱのみ): 2年目は30時間
- 40代 リーマンたけしさん(熱・課目Ⅲのみ): 15〜20時間(3日間)
- gorokun1200 さん(熱・課目Ⅱと課目Ⅲ): 3日間の詰め込み
- ぷちあげチャンネル のとりさん(課目Ⅰのみ): 1週間前から。「1 課目ならなんとかなるやろという思いで」受けた、と書いています
- そうだ電験取ろうの筆者(電気・課目Ⅰのみ): 2か月前から、課目Ⅰの過去問15年分
点数がわかる3人は、2年目に大きく伸びていました。

ただし、2年目が短時間で済んだ背景は人によって違います。浪人技師さんは、1年目に課目Ⅱだけ45%で落ちた理由を「勉強時間の配分を間違えたのである」と分析し、2年目は過去問で解けない原因を特定し、その基礎だけを学び直してから問題に戻る方法に切り替えました。時間は短くても、やり方は変えています。1年目と同じやり方で時間だけ減らした、という例ではありません。
期限切れの落とし穴:3年かけた人、4年かかった人
課目合格でいちばん怖いのは、最初に受かった課目の期限が、いちばん先に切れることです。
鰻おやじの雑記ブログ の筆者(熱・PR 表記あり)は、令和4年に課目Ⅰ・Ⅳ、令和5年に課目Ⅲ、令和6年に課目Ⅱと、1課目ずつ積み上げて「3年で合格することが出来ました」。令和4年に取った課目Ⅰ・Ⅳは令和6年が最後の機会だったので、まさに期限いっぱいでした。
nok? さん(電気)も3年目、期限ぎりぎりでの合格です。「今年落ちたら永遠に受かりませんと返していました。」と書いています。
期限を越えてしまったのが、人生迷走マン さん(電気)です。
- 1年目: 課目Ⅰ(法規)だけ受けて合格
- 2年目: 電気設備及び機器に合格
- 3年目: 2課目の同時合格を狙い、電気の基礎だけ合格。もう1課目は自己採点で「あと一問」
- 4年目: 1年目の法規が期限切れで、受け直して合格
本人はこの状況を「つまり、一年目の法規が復活となりました。」と書いています。3年目に2課目を残したことで、1問差が「法規の受け直し」にまで広がった形です。
ここから言えるのは、次の2点です(体験記と制度からの整理です)。
- 3年目に残す課目は1つまでにする。2つ残すと、どちらかを落としたときに1年目の課目まで失効します
- 1年目に受かった課目が何だったか、その期限がいつかを、申込の前に書き出しておく

2〜3年計画の組み方
体験記と制度を踏まえて、立場ごとの組み方を整理します(以下は編集部の整理で、公式の推奨ではありません)。
2026年度に課目合格した人
- 2027年8月1日の試験で残り全部を取りにいくのが基本です。2028年は予備と考え、最初から当てにしない
- 残りが熱の課目Ⅱのように重い課目なら、早めに基礎から始める。2年目を短時間で終えた人は、落とした原因を特定してから学び直していました
- 2027年度の申込期間は未発表です(ECCJ の FAQ では、例年4月頃に次年度の予定がわかるとしています)。前年度・前々年度の受験番号を控えておきましょう
2年目の勉強は、「どこで落としたか」をはっきりさせるところから始まります。自己採点のメモが残っていれば、大問ごとの失点を書き出します。残っていなければ、冒頭で触れた私たちのアプリの本番形式テストで、いまの合格率と弱点カテゴリをグラフで確かめてから、間違えた問題だけを繰り返す、という進め方もあります。解説には正解の理由と各選択肢の正誤が書かれ、用語はタップで専用の用語辞書が開くので、本を最初から読み直さなくても、落とした範囲の理解を問題演習の中で取り戻せます。1年目と同じ範囲を最初からやり直すより、時間を弱点に集められます。
2025年度の課目合格が残っている人
- 2027年が最後の機会です。2026年に取った課目があっても、2025年の課目の期限は先に切れます。落とすと2025年度の合格課目は受け直しになるので、2027年は残り全部に全力で臨む年です
2027年に初めて受ける人
- 受験手数料は、一部の課目だけ受けても17,000円です。4課目すべてに申し込み、4課目合格を狙うのが基本です
- それでも時間が足りないなら、最初から2年に分ける手もあります。DON DON さんのように重い課目(熱なら課目Ⅱ)を1年目に集中して取る方法です。ただし毎年17,000円かかり、2年なら計34,000円になります
- 逆の考え方もあります。2015年に一発合格した いさお@設備管理 さんは「科目合格制度は考えるな」と書いています。持ち越しの体験記を見ても、1年目の準備が甘かったと振り返る人は複数いました。分けるなら「1年目に何を必ず取るか」を決めてから分ける、という順番が大切です
なお、実務3年以上なら研修ルートもありますが、2026年度の研修の申込はすでに締め切られています。研修の課目合格は翌年度限りで、試験とは別に数えます。2年で約550時間かけて電気分野に合格した けんしろう さん(自ブログへの誘導あり)は、「今からなら研修を選びます」と書いています。
熊本地震で受けられなかった人の救済(期限の延長)
規則第32条には、災害などで期間内に受けられないときの「ただし書」があります。これに基づき、ECCJ は2026年9月18日に、令和8年熊本地震の影響で2026年度の試験を受けられなかった人への措置を発表しました(措置のお知らせ PDF)。
- 課目免除の期間を1年延長: 2024年度の課目合格者は2027年12月31日まで、2025年度の課目合格者は2028年12月31日まで
- 受験手数料の振替: 2026年度に払った手数料を、2027年度(2027年8月1日実施予定)の試験に振り替え
- 対象: 本人・家族の被災、公共交通機関の運休、被災対応の業務などで全課目を受けられなかった人。1課目でも受けた人は対象外
- 申請が必要: 2026年10月15日(木)〜2027年5月31日(月)。申請しないと適用されず、審査があります
2024年度の課目合格を持っていて、地震の影響で2026年の試験をまるごと受けられなかった人は、この申請をしないと期限が切れてしまいます。詳細は10月15日の受付開始時に ECCJ のホームページで案内される予定です。
まとめ:課目合格は「保険」であって「計画の中心」ではない
- 期限は合格した試験の年の初めから3年以内。合格した年を含めて3回の試験で使える
- 2026年度の課目合格者は2027年と2028年、2025年度の課目合格者は2027年が最後
- 受かった課目は受け直せない。申込時は前年度・前々年度の受験番号を正しく入れる
- 持ち越した人の2年目は短時間で届いているが、落とした原因を突き止めてやり方を変えていた
- 最初に受かった課目の期限が先に切れる。3年目に残す課目は1つまでにする
- 熊本地震で全課目を受けられなかった人は、10月15日から申請できる期限延長を忘れずに
次回はいよいよ最終回です。落ちた人の原因の総まとめと、試験前日・当日のチェックリスト、合格後の免状取得までの流れを扱い、連載全体をふり返ります。
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※この記事は2026-09-26時点の公開情報をもとにしています。試験の制度や日程、救済措置の詳細は変わることがあるので、受験・申請の前に必ず省エネルギーセンター(ECCJ)公式サイトで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。