エネルギー管理士の勉強時間は何時間?合格者11人の実数

エネルギー管理士 攻略シリーズの第4回です。この連載では、第1回で2023年以降に公開されたエネルギー管理士の合格・不合格体験記41人分を読み込み、省エネルギーセンター(ECCJ)の公式情報と突き合わせて整理しています。
今回のテーマは 勉強時間 です。「何時間やれば受かるのか」は、受験を考えた人が最初に調べることのひとつです。ところが検索して出てくる数字は「300〜600時間」だったり「2週間で合格」だったりと、幅が大きすぎて参考にしにくいのが実情です。
そこで今回は、体験記の中から 合格者が自分で書いた合計時間 だけを抜き出して並べ、そのうえで次の試験(2027年8月1日(日)実施予定)から逆算した計画を3パターン示します。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っています。あとで示す初学者向けのプランは、10か月で300〜400時間、1日あたり1時間ほどを積み上げる計算です。アプリで忘却曲線に合わせて復習の問題を自動で出しているのは、こうした長い期間でも、前半に解いた範囲を忘れにくくするためです。
合格者11人の勉強時間を並べると、中央値は150時間
41人のうち、合格者で勉強時間の合計を数字で書いていたのは 11人 でした。少ない順に並べます(「80〜100時間」のような幅は下限の数字で並べています)。
- 80〜100時間・約1か月半・電気(地蔵さん)
- 2年で合計83時間・熱(浪人技師さん)
- 90〜100時間・約3か月・熱(化学工学レビュワー)
- 約100時間・2か月・熱(わったさん)
- 130〜150時間・熱・2か年計画(あげおBlog)
- 150〜200時間・2か月・熱(たけのブログ)
- 200時間強・約6か月・電気(はいえんじにあさん)
- 206.5時間・電気(電太郎くんブログ)
- 300時間以上・6か月弱・熱(トモテルさん)
- 300〜400時間・約5か月・電気(Nojiと挑む資格の山)
- 2年で約550時間・電気(けんしろうさん)
※ブログのうち、化学工学レビュワー・あげおBlog・たけのブログ・電太郎くんブログ・Nojiと挑む資格の山、けんしろうさんの note は、アフィリエイトリンクや自ブログへの誘導を含む記事です。

11人の真ん中(6番目)は 150時間 で、範囲はおよそ80〜550時間でした。100時間以下で受かった人が4人いる一方、300時間以上かけた人も3人います。
分野で分けると熱6人・電気5人です。電気の5人のうち4人が200時間を超えていますが、地蔵さんは電気で80〜100時間なので、人数の少なさを考えると「電気のほうが時間がかかる」とまでは言えません。
毎日記録をつけていた電太郎くんブログの筆者は、「206.5Hの学習時間で合格することができました」と書いています(電太郎くんブログ)。記録のある数字はこの1件だけで、ほかの人は「多分300時間以上」(トモテルさん)や、記録はしていないがおそらく300〜400時間(Nojiと挑む資格の山)のように、ふり返っての概算です。中央値150時間は「きっちり測った平均」ではなく、合格者の感覚値の真ん中 と受け取ってください。
150時間の中身:どう配分していたか
合計時間だけでは計画に落とし込めないので、内訳や1日の時間を書いている人の例を見ておきます。
課目Ⅱに時間の多くを回している
たけのブログの筆者(熱・150〜200時間)は、勉強時間の内訳を書いています。法令10時間・情勢10時間・管理技術10時間に対し、熱力学30時間・流体15時間・伝熱15時間。つまり課目Ⅰ(法規)の各パートより、課目Ⅱ(熱と流体の流れの基礎)に多くの時間を使っています(たけのブログ 勉強法)。
課目Ⅱに最大の時間を回すのは、第1回で紹介した合格者の型のひとつでもあります。逆に、この配分を誤った例が浪人技師さんです。1年目は53時間勉強して課目Ⅰ・Ⅲ・Ⅳに受かったものの、課目Ⅱだけ45%で落としました。本人は敗因を「勉強時間の配分を間違えたのである」とふり返っています(浪人技師さん)。熱力学の基礎がほぼゼロの状態で、ほかの課目と同じく過去問中心で進めてしまった、という反省です。
平日1時間+休日2〜3時間が多い
1日あたりの時間は、次のような書き方が目立ちました。
- 平日1時間、休日2〜3時間、朝1時間早起き。約3か月で90〜100時間(化学工学レビュワー)
- 平日1〜2時間、休日4〜6時間、直前期の休日は6〜8時間。約5か月で300〜400時間(Nojiと挑む資格の山)
- 朝5時台〜6時半と昼休み。2か月で約100時間(わったさん)
- 約4か月、週4日×2時間。試験1か月前は休日返上(じゃこさん)
化学工学レビュワーの筆者は「3か月で10年分の過去問を2周しました。」と書いています(化学工学レビュワー)。100時間前後で過去問10年分を2周できる、という目安になります。
短期間に詰めた例もあります。地蔵さんは申し込んでから約1か月半で、3連休には「1日の勉強時間は12~14時間程度」で過去問6年分を解いたそうです(地蔵さん)。ただ、これは誰にでも勧められる進め方ではありません。
「2週間」「2か月」で受かった人には前提がある
検索すると「短期間で合格」という体験記も見つかります。時間数は書いていないものの、期間の短い合格者は次のとおりです。
- 実質約2週間(潮さん・熱): 製造業10年以上。大学で熱力学・伝熱は苦手ではなかったと書いています。過去問はほぼ解かず、参考書の要点を書き写す方法でした
- 2か月(設備管理.com・熱): 電験三種を保有。わからない所は ChatGPT に質問
- 2か月(ライゼンさん・電気): 電験三種を保有。※有料記事・自著への誘導がある記事です
共通するのは、実務経験や電験の知識といった下地があること です。しかも潮さんの結果は「専門科目の得点率が全て69%」(潮さん)。合格基準の60%を超えてはいますが、余裕のある点数ではありません。本人も、課目Ⅳに選択問題があることを当日に知ったと書いています。
一方で、4か月かけて合格したじゃこさんは「正直、4カ月では短いと感じました」と書き、半年〜1年を勧めています(じゃこさん)。化学専攻で化学メーカー勤務という下地がある人でも、この感想です。短期合格の体験記は「自分と前提が同じか」を確かめてから参考にしましょう。
落ちた年の勉強時間は、合格者よりずっと少なかった
不合格だった年の時間を数字で書いている人もいます。
- 40代 リーマンたけしの日常雑談(熱): 初受験の年は 総計12時間。課目Ⅰ・Ⅲは勉強せずに臨み、課目Ⅲだけ57%で落とした
- gorokun1200さん(熱): 前年は数時間の勉強で、課目Ⅱ・Ⅲが残った
- 浪人技師さん(熱): 1年目53時間で、課目Ⅱだけ45%
たけしさんは課目Ⅲについて「せめて2~3時間勉強して行けば合格できましたね」とふり返っています(40代 リーマンたけしの日常雑談)。数時間〜十数時間で3課目に受かる人がいるのは、それだけ実務や前提知識が効く試験だということでもあります。ただ、全課目を1回で取るには足りませんでした。合格者の最少が約80時間だったことと比べると、「まず100時間」を1つの線に置く のが現実的です。
2年目は残り課目だけ、短時間で受かっている
課目合格(各課目60%以上)は、合格した試験の年の初めから3年以内なら免除されます。2年目は残り課目だけに絞れるので、時間は大きく減ります。
- 浪人技師さん: 2年目は課目Ⅱだけで30時間 → 45%から84%へ
- たけしさん: 2年目は課目Ⅲだけで15〜20時間(3日間)
- gorokun1200さん: 2年目は課目Ⅱ・Ⅲを3日間の詰め込み
- けんしろうさん: 1年目約400時間で課目Ⅰ〜Ⅲ、2年目は「2年目:約150時間(課目Ⅳ合格)」(けんしろうさん)
2026年度に課目合格した人は、今がちょうど2年目の計画を立てる時期です。課目合格の数え方や期限切れの落とし穴は、第9回でくわしく扱います。
民間の目安「300〜600時間」とのずれ
民間の資格スクールや通信講座のページは、もっと長い時間を挙げています。
- ある資格スクールのコラム: 300〜600時間。基礎知識があれば3〜6か月(1日2〜3時間)、基礎が不足していれば最低1年以上、場合によっては3年近く
- ある通信講座の案内: 熱分野で、未経験から300〜400時間
- あげおBlog: 熱分野で理工系150時間・その他理系200時間・文系400時間(あげおBlog)
なお、ECCJ は勉強時間の目安を出していません。難易度についての Q&A でも、個人差があるので過去問を見てほしい、という趣旨の回答にとどまっています(ECCJ Q&A)。
体験記の中央値150時間は、民間の目安の下限(300時間)の半分です。このずれは、体験記を書く人の前提 で説明がつきます。41人の中には電験三種以上を持つ人、ボイラ・タービンの運転や化学プラントなど実務が試験範囲と重なる人が多く含まれていました。一方、民間の300〜600時間は、そうした下地のない人も含めた目安です(根拠のデータは示されていません)。
つまり、自分がどちらに近いかで目安を選ぶのがよさそうです。
- 電験三種以上を持っている、または実務・大学の専攻が試験範囲に重なる → 150時間前後 を基準に、余裕を見て200時間
- 下地がない(熱力学や電気理論をほとんど学んでいない) → 300〜400時間 を基準にする
2027年8月1日から逆算する3つのプラン
2026年度(第48回)の試験は8月2日に終わり、9月17日に合格発表がありました。次の2027年度の試験は、ECCJ のお知らせに 2027年8月1日(日)実施予定 と書かれています(ECCJ 2026-09-18 のお知らせ)。申込期間はまだ発表されていません。ECCJ の Q&A では、例年4月ごろに次年度の予定がわかるとしています。
なお、実務3年以上の人が選べる研修ルートは、2026年度の申込みがすでに締め切られています。ここでは試験ルートの計画に絞ります。

10か月プラン(初学者・10月開始)
目標 300〜400時間。10月から試験前日まで約300日なので、1日1〜1.3時間ほどです。平日1時間・休日2〜3時間のペースで届きます。
- 10〜12月: 高校物理・数学(指数・対数、三角関数など)の復習をしながら、解説つきの問題で全体を1周。解説の中のわからない用語はその都度調べ、理解まで進める。熱なら課目Ⅱ、電気なら課目Ⅱ・Ⅳを優先
- 1〜3月: 課目別の2周目。間違えた問題は解説で理由を確かめてから解き直す
- 4〜6月: 申込み(受付期間を見落とさない)。範囲全体で3周目。課目Ⅳの選択問題で解く2テーマを決める。課目Ⅰ(法規)はこの時期から本格的に
- 7月: 本番と同じ時間割(80分・110分・110分・80分)で、1日4課目を通して解く練習を2回以上
平日1時間を机の前で確保できない日は、通勤や昼休みに分けても足ります。私たちのアプリは解説つきの問題をスマホで1問ずつ解く作りなので、10分の空き時間でも数問進められます。復習の問題は忘却曲線に合わせて自動で出てきます。

6か月プラン(電験・実務あり・2月開始)
目標 150〜300時間。2月から約180日で、1日1〜1.7時間です。下地がある人は、いきなり 問題を解いて弱点を見つける ところから入ります。わったさんは「最初から過去問でもよかったかもしれません」とふり返っています(わったさん)。
- 2〜3月: 本番形式のテストで力を測り、足りない分野は解説を読み込みながら重点的に解く(電験合格者なら自動制御・電力応用・省エネ法など、電験と重ならない部分)。私たちのアプリの本番形式テストなら、合格率と弱点カテゴリがグラフで出るので、どこを補うかを決めやすくなります
- 4〜5月: 申込み。課目別の演習を2周。2周目は間違えた問題だけに絞る
- 6〜7月: 範囲全体で周回し、通し演習
3か月プラン(下地が厚い人・5月開始)
目標 100時間前後。約90日で1日1〜1.5時間です。化学工学レビュワーの筆者(約3か月で90〜100時間)やたけのブログの筆者(2か月前から開始)が、このくらいの期間です。ただし、この2人は化学メーカー勤務やボイラー技士といった下地のある人でした。下地がなければ、このプランは勧めません。
- 5〜6月: 課目別の演習を2周(課目Ⅱから着手)
- 7月: 通し演習と、法規・課目Ⅰの仕上げ
どのプランでも共通すること
- 課目Ⅱに最も時間を回す。たけのブログの内訳でも、課目Ⅱの3分野で60時間を使っています
- 申込期間を見落とさない。2026年度は4月6日〜6月22日で、2026年度からインターネット申込みのみになりました。2027年度の日程は発表を待って確認してください
- 課目Ⅰ(法規)は後半に。ただし、法令にもっと早く取り組むべきだったと反省した合格者もいるので、6月には始めたいところです
- 勉強時間を記録しておく。電太郎くんブログの筆者のように毎日記録すると、ペースの遅れにすぐ気づけます
まとめ:勉強時間は「自分の下地」で決まる
- 合格者11人の勉強時間の中央値は 150時間、範囲は約80〜550時間
- 課目Ⅱ(熱なら熱力学・流体・伝熱)に時間を多く回している
- 2週間〜2か月の短期合格は、実務・電験などの下地がある人の例
- 不合格だった年の時間は12時間・数時間・53時間。まずは100時間を1つの線に
- 民間の目安300〜600時間は、下地のない人を含めた数字。下地がなければ300〜400時間で計画する
- 2027年8月1日の試験に向けて、初学者は10月、下地のある人は2月、下地が厚い人でも5月までには始める
次回の第5回は 教材選び です。解説の質・問題数・版の新しさ・スキマ時間で回せるか・復習の仕組みという5つの基準と、参考書を買わずに問題演習だけで仕上げる進め方を、体験記の声と合わせて整理します。
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※この記事は2026-09-26時点の公開情報をもとにしています。試験の日程や制度は変わることがあるので、受験前に必ず省エネルギーセンターのエネルギー管理士試験のページで確認してください。勉強時間は各体験記の本人の記述(多くは概算)をそのまま使っています。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。