エネルギー管理士 電気分野対策:課目Ⅱ〜Ⅳと選択問題

エネルギー管理士 攻略シリーズの第8回です。この連載では、第1回で2023年以降のエネルギー管理士の合格・不合格体験記41人分を読み込み、省エネルギーセンター(ECCJ)の公式情報と突き合わせて、合格に効くやり方を整理しています。
前回の熱分野に続き、今回は 電気分野の専門3課目(課目Ⅱ〜Ⅳ) を扱います。41人のうち電気分野で受けた人は、1回目で4課目とも合格した9人と、課目合格の持ち越しを経験した7人です。この16人の体験記から、課目ごとの落とし穴と、課目Ⅳの選択問題の選び方をまとめます。課目Ⅰ(法規)は熱・電気共通なので、第6回を見てください。
私たちは資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っていて、解説に出てくる用語をタップすると専用の用語辞書が開くようにしています。電験で土台がある人でも、自動制御や電動力応用、課目Ⅳの選択問題では、エネルギー管理士で新しく覚える言葉が出てくるからです。
電気分野の4課目と配点
まず、試験の形を押さえます。2026年度(第48回)の電気分野は、1日で次の順に受けました(ECCJ 第48回試験の内容)。
- 1時限 9:00〜10:20(80分): 課目Ⅰ エネルギー総合管理及び法規(200点)
- 2時限 10:50〜12:40(110分): 課目Ⅲ 電気設備及び機器(200点)
- 3時限 14:00〜15:50(110分): 課目Ⅳ 電力応用(200点)
- 4時限 16:20〜17:40(80分): 課目Ⅱ 電気の基礎(150点)
課目の番号と試験の順番が違う ことに注意してください。電気分野では、いちばん理論寄りの課目Ⅱ(電気の基礎)が、1日の最後の夕方に来ます。

配点は2026年度の標準解答で確認できます(ECCJ 令和8年度 標準解答)。専門3課目はどれも 大問1問が50点 で、課目Ⅱは3問・課目Ⅲと課目Ⅳは4問です。合格基準は各課目とも60%なので、課目Ⅱは150点中90点、課目Ⅲ・Ⅳは200点中120点が合格ラインになります。
大問が50点ずつということは、1問まるごと落とすと、残りの大問でかなり高い正答率が必要になる ということです。課目Ⅱなら、1問を0点にすると残り2問(100点)で90点、つまり9割が必要です。この構造が、課目ごとの戦い方を決めます。
課目Ⅲ 電気設備及び機器:電験三種の「電力」「機械」と地続き
課目Ⅲは、工場配電2問と電気機器2問です。解説サイト「電気の資格とエネルギー管理士の部屋」は、この課目を電験三種の電力と機械の定番部分(直流機・誘導機・同期機・変圧器)にあたる枠と説明しています(電気の資格とエネルギー管理士の部屋)。
2024年度に電気分野で一発合格した ひねりせん さん(化学系の出身で、電験三種は3回目で合格)は、課目Ⅲについて次のように書いています。
- 工場配電は電験三種の電力に近い。変圧器の並列運転、電圧降下、線路の電力損失などを過去問で押さえる
- 電気機器は、変圧器・直流機・誘導機・同期機の動作原理を確実に理解する。ぼんやりした理解では、思った以上に深い問題が出る
- 計算は小問が順につながる誘導形式なので、最初の2〜3問を時間をかけて確実に取る
2026年度の試験では、計算結果を書かせる問題がなくなり、計算も解答群から選ぶ形になったと複数の受験者が書いています。電気分野で受けた 無からのビルメン さんは、課目Ⅲで選択肢から逆算して答えを出したと振り返っています。解答群の数値を式に当てはめて確かめるのは、選択式ならではの使える手です。
課目Ⅳ 電力応用:必須の電動力応用100点と、選択問題の50点×2
課目Ⅳは、電動力応用の2問(必須)と、電気加熱・電気化学・照明・空気調和の4問から2問を選ぶ選択問題でできています(令和8年度の問題冊子では問題13〜16)。
前出の解説サイトは課目Ⅳを「一番取り組みづらい課目」と書き、電験三種の機械の定番以外を集めた枠で、さらに電験三種では出ない空気調和もある、と説明しています(電気の資格とエネルギー管理士の部屋)。
体験記でも、課目Ⅳは最後まで残りやすい課目でした。電気分野で持ち越しを経験した7人のうち、6人は電力応用の合格が2年目以降でした(課目Ⅰだけを持ち越した1人を除く全員)。たとえば とある電工さん は「電力応用も一度落ちて、翌年合格した。」と書いています。人数は少ないので課目の難しさを数字で比べることはできませんが、軽く見てよい課目ではありません。
電動力応用は「長い問題文」に慌てない
必須の電動力応用では、インバータ、誘導機・同期機、ポンプ・ファンの動力、力学の計算などが出ます。ひねりせんさんは、この大問の特徴を「問題文がめっちゃ長い!なのに問題数が少ない!」と書いています。事前に知らないと焦るが、数値を式に入れるだけの問題も多く、力学とポンプは数をこなせば解けるパターン問題なので得点源にしたほうがよい、という助言です(ひねりせん 課目3・4編)。
選択問題は、試験の前に2つに決めておく
選択問題の選び方で、公式に有利・不利が発表されているわけではありません。そのうえで、体験記に書かれていた組み合わせは次のとおりです。

- 電気加熱+電気化学: ひねりせんさん、ジェイ さん、無からのビルメンさんの3人
- 電気加熱+照明: Noji さん、けんしろう さんの2人(どちらも記事や同じブログにアフィリエイトリンク・自ブログへの誘導があります)
- 照明と電気化学を狙った: nok? さん
- 空気調和を選んだ人は、今回読んだ体験記にはいませんでした
電気加熱は、選んだ2問を書いていた5人全員が選んでいます。 けんしろうさんは、電気加熱と照明を選んだ理由に電験三種との重なりを挙げています。解説サイトの筆者も電気加熱と照明を選び、5年分程度の計算問題を練習すれば傾向がつかめたと書いています(電気の資格とエネルギー管理士の部屋)。
選択問題の準備の仕方として参考になるのが、ひねりせんさんの割り切りです。電気加熱と電気化学に絞り、「残り2つは勉強していません。」と書いています。選択問題は基本は暗記で、問題文が短く解く時間も少なくて済むので、苦手なら選択問題だけ10年分解いてもよい、とも助言しています。さらに、選択の2問(計100点)で8割を取れるように準備しておけば、電動力応用で多少落としても合計120点に届く、という計算を示しています。
照明で時間を取られた例が2件
一方で、得意なつもりの選択問題で時間を使いすぎた例もあります。
- 2028夏脱サラ計画 さんは、最後に残った課目Ⅳで、得点源のはずだった照明がとても難しく、30〜40分かそれ以上を取られたと書いています。不合格を確信して帰宅したものの、「自己採点の結果は120/200でギリギリ合格」でした
- Nojiさんは、時間がかかりそうな問題12(電動力応用)を後回しにして電気加熱と照明から解きました。照明の計算は自己採点で高得点でしたが、「照明で予想以上に時間を取られてしまった」ため、問題12の前半を解き切れなかったと振り返っています
課目Ⅳは110分で大問4問なので、単純に割ると1問25分前後です。選択問題も 1問ごとに時間の上限を決め、超えたら次へ進む ことが大切です。編集部としては、本命の2つに加えて、本番で本命の1つが難しかったときに乗り換えられるよう、もう1つを過去問数年分だけ眺めておく方法も考えられると思います(体験記で確かめられた方法ではありません)。
課目Ⅱ 電気の基礎:3問とも捨てられない、夕方の80分
課目Ⅱは、電気及び電子理論・自動制御及び情報処理・電気計測の3問(各50点)です。最初に書いたとおり、1問を落とすと残りで9割が必要になるので、どの大問も捨てられません。
解説サイトは、課目Ⅱを電験三種の理論(に機械の自動制御を加えた)枠と説明し、難易度は電験三種と同程度かそれより易しいとしながら、自動制御については「2種レベルに感じます」と書いています(電気の資格とエネルギー管理士の部屋)。
ひねりせんさんの課目Ⅱ編も、同じ点を強調しています(ひねりせん 課目2編)。
- 電気及び電子理論: RLC回路、テブナンの定理、三相交流が中心。電験三種より回路の形が複雑だが、誘導形式なので流れに乗れば解ける
- 自動制御及び情報処理: 「電験三種では飛ばしても合格できる(と思う)伝達関数が、エネルギー管理士では飛ばせません。」。1次遅れ・2次遅れ、最終値の定理、ラウスの安定判別などが出る。後半は情報処理の字句穴埋め
- 電気計測: 範囲が広く、絞るのは勧めない。本人にとっては「お祈りの大問でした」
ひねりせんさんは課目Ⅱを「ギリギリ合格」だったと書いています。2026年度に電気分野で合格した はいえんじにあ さんも、課目Ⅱでは学習していない範囲から出題され、直前に追加で解いた2年分の過去問がなければ不合格だったかもしれないと振り返っています。
点数を書いていた電気分野の1回目合格者6人の課目Ⅱは、150点中107〜124点(71〜83%。多くは自己採点)でした。合格者でも7割前後にとどまる人が多く、余裕を持って受かる課目ではないことがわかります。
もう一つ、時間帯の問題があります。課目Ⅱは16:20からの最終時限です。ひねりせんさんは、それまでの課目で疲れが溜まっている時間なので「最後だからこそ、気を引き締めて受験しましょう。」と書いています。模試や過去問演習でも、一度は 3課目を解いたあとに課目Ⅱを80分で解く 練習をしておくと、本番の疲れ方を知っておけます。

電験三種との関係:土台にはなるが、免除はない
電気分野の1回目合格者9人のうち、8人が電験(三種以上)を持っていました(残る1人は記載なし)。ひねりせんさんは総論編で「電験三種は必ず合格しておいてください!」とまで書いています(ひねりせん 総論編)。
ただし、電験を持っていても試験課目の免除は ありません(ECCJ 試験Q&A 試験全般)。また、持ち越しを経験した電気分野の7人のうち4人も電験の保有者でした。電験の知識はそのまま使える部分が多い一方、課目Ⅱの自動制御、課目Ⅳの電動力応用や選択問題のように、エネルギー管理士で別に準備が要る範囲があります。
電卓の注意と、問題演習での仕上げ方
電卓は√とメモリー程度の普通の電卓1台だけです。 関数電卓、数式を記憶できる電卓、スマホの電卓機能は使えず、貸し出しもありません。ECCJ は「開平計算の√機能は、試験問題の計算において使用する場合があります」と案内しています(ECCJ 電卓の取扱いについて)。三相交流や力率の計算で√を使う場面は多いので、練習も本番と同じ電卓で行いましょう。
電気分野では、問題演習を中心に仕上げた合格者がいます。前出のはいえんじにあさんは「参考書などのテキストは一切購入せず」、過去問5年分を5周し、直前にさらに2年分を解いて合格しています。電験の知識がある人なら、本で全範囲を読み直すより、問題を解きながら足りない所を埋めるほうが時間を使わずに済みます。
そのとき効くのが 解説の質 です。ECCJ のサイトで過去の年度の問題と解答は公開されていますが、解説はありません。自動制御の伝達関数や電動力応用の長い問題文は、答えだけ見ても「なぜその式になるか」がわかりにくいところです。正解の理由だけでなく、各選択肢がなぜ違うかまで書かれた解説で練習すると、形を変えて出されたときにも対応しやすくなります。
エネルギー管理士で新しく覚える範囲(自動制御・電動力応用・選択問題)だけを、短い時間で繰り返したい人も多いはずです。私たちのアプリでは、解説の用語から用語辞書を開けるほか、それでもわからない問題はそのまま AI に質問できます。「間違えた問題だけ」「未回答だけ」に絞って出題でき、本番形式テストで弱点カテゴリをグラフで確かめられるので、本を別に用意しなくても、スキマ時間の問題演習だけで弱点つぶしまで回せます。
2026年度に電気分野を受けた無からのビルメンさんは、過去問8年分を回したうえで、2016年度の問題がそのまま出たので10年分程度はやっておくべきだった、と振り返っています。電気分野の過去問は10年分を目安に すると、こうした取りこぼしを減らせます。
まとめ:電気分野は「50点の大問を落とさない」設計で
電気分野の体験記16人から見えたことをまとめます。
- 専門3課目は大問1問50点。1問をまるごと落とさない ことが合格ラインへの近道
- 課目Ⅲは電験三種の電力・機械と地続き。計算は最初の2〜3問を確実に
- 課目Ⅳは、必須の電動力応用で長い問題文に慌てない。選択の2問は試験前に決め、1問ごとに時間の上限を置く
- 課目Ⅱは自動制御も電気計測も捨てられない。夕方の最終時限で解く練習もしておく
- 電験は土台になるが免除はない。電卓は√まで、過去問は10年分を目安に
2027年度の試験は2027年8月1日(日)に行われる予定です(ECCJ のお知らせ)。今から約10か月あります。
次回の第9回は、課目合格を使った2〜3年計画を扱います。「3年以内」の数え方と、期限切れで法規をやり直した人の例、2年目に残り課目だけを短時間で仕上げた人の例を紹介します。
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- 全問に解説つき。解説の用語はタップでエネルギー管理士専用の用語辞書が開き、関連用語もたどれる
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※この記事は2026-09-26時点の公開情報をもとにしています。試験の制度・日程・配点は変わることがあるので、受験前に必ず省エネルギーセンターの公式サイトで確認してください。過去の試験問題は ECCJ が無断での複製・転写を禁じているため、この記事では問題文を載せず、出題テーマにだけ触れています。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。