エネルギー管理士の合格・不合格体験記41人を読んでわかった「受かる人」と「落ちる人」の違い【2026年版】

2026年度(第48回)のエネルギー管理士試験は、受験者8,783人に対して合格者3,019人でした。計算すると合格率は 34.4% です(省エネルギーセンター 合格者発表)。3人に1人が受かる試験、と聞くと手が届きそうに思えます。
ところが、実際に受けた人の体験記を読むと、「あと少し」で涙をのんだ話が次々に出てきます。
- 「課目Ⅲ、あと1~2問正解して合格でした。」(40代 リーマンたけしの日常雑談)
- 「課目Ⅰはあと2問…悔しい結果となりました」(そうだ電験取ろう)
- 「課目Ⅱだけが合格基準の60%に届かなかった」(浪人技師)
この連載では、note・はてなブログ・個人ブログに公開されている 2023年以降のエネルギー管理士の体験記41人分(1回目で4課目とも合格した23人と、不合格や課目合格の持ち越しを経験した18人)を読み込み、試験を実施する省エネルギーセンター(ECCJ)の公式情報と突き合わせて、合格に効くやり方を全10回で整理します。
書いているのは、資格の問題集アプリ「ナレッジバンドル」を作っているチームです。エネルギー管理士の500問を作るときに、受かった人と落ちた人が何をしていたのかを知りたくて、この41人分を一本ずつ読みました。読んでいくと、公開されている過去問には解説がなく、合格した人は「なぜその答えになるのか」を生成AIに質問するなどして自分で補っていました。私たちが500問すべてに解説をつけ、その問題をそのまま AI に質問できるようにしているのは、この手間を減らしたいからです。
連載第1回の今回は全体像として、「受かる人」と「落ちる人」を分けたポイント をまとめます。
まず押さえたい、エネルギー管理士試験の姿
体験記を読む前に、試験の骨組みを確認しておきます(くわしくは第2回で扱います)。
- 分野: 熱分野か電気分野のどちらか1つを選び、4課目を受けます。課目Ⅰ(エネルギー総合管理及び法規)は共通で、課目Ⅱ〜Ⅳが分野別です。取れる免状は1種類で、ECCJ は「どちらの分野で取得しても得られる資格は全く同じもの」と説明しています(ECCJ 試験Q&A)。
- 長さ: 1日で4課目、試験時間は合計380分(9:00〜17:40)です(受験の手引)。
- 形式: マークシートで、すべて解答群から選びます。2026年度は計算結果を書かせる問題がなくなり、計算も選択式になったと複数の受験者が書いています(或る運転員の業務日誌ほか)。
- 合格基準: 各課目とも60%以上。落とした課目があっても、合格した課目は、合格した年の初めから3年以内なら免除されます(ECCJ 試験制度の概要)。
- 受験資格: なし。受験手数料は17,000円です。
この「課目ごとの60%」と「3年以内の持ち越し」が、体験記の明暗を分ける大きな要素になっています。
合格率は直近8年で31.9〜37.8%
合格率は、ここ数年ほぼ3割台で安定しています。

令和元年度から令和7年度の値はECCJの事業報告書に書かれたもの(令和7年度 事業報告書ほか)、令和8年度は合格者発表の人数からの計算値です。
注意したいのは、この合格率が 「4課目すべてそろった人 ÷ 受験者」 だという点です。1〜2課目だけ合格して翌年に持ち越した人も分母に入るので、「6〜7割が何も得られずに終わる試験」というわけではありません。また、ECCJが公表しているのは熱分野と電気分野の合算だけで、分野別の最新の合格率は公式には出ていません。「熱のほうが受かりやすい」といった話は、公式の数字では確かめられないということです。
受かる人に共通していた5つのこと
1. 過去問を8〜15年分、何周もしている
41人の中でいちばん多かった型です。ECCJは平成22年度以降の過去問を無料で公開しています(過去の試験問題)。合格者は、10年分前後の問題を複数回まわしていました。
後者の筆者は8年分を回して2026年度に臨み、10年分程度はやっておくべきだったと振り返っています。2016年度の問題がそのまま出題されたからです。
2. 課目Ⅱに、いちばん時間をかけている
熱分野の課目Ⅱ「熱と流体の流れの基礎」、電気分野の課目Ⅱ「電気の基礎」は、合格者が最も時間を割いた課目です。課目Ⅱを4か月前に始め、法規などは2週間前からという配分の人もいました。
解き方の工夫もあります。2024年度に熱分野で合格した トモテル さんは、本番の課目Ⅱで熱力学を後回しにし、流体と伝熱を先に片づけてから残り65分で熱力学に取り組みました。本人はこれを「今回の試験最大のファインプレー」と書いています。
3. 電験の知識を土台にしている
電気分野の合格者の多くは、電験三種以上を持っていました。電験三種を3回目で合格してから電気分野に挑んだ ひねりせん さんは、これから受ける人に向けてこう書いています。
「電験三種は必ず合格しておいてください!」
ただし、電験を持っていてもエネルギー管理士の試験課目は免除されません。また、電験保有者があえて熱分野を選んで合格した例もあります。熱と電気の選び方は第3回でくわしく扱います。
4. 仕事や大学の専攻と試験範囲が重なっている
熱分野の合格者には、ボイラーやタービンを運転している人、化学メーカーで働く人、化学工学を学んだ人が目立ちました。実務で毎日見ている設備が、そのまま課目Ⅲ・Ⅳの出題範囲に入っているからです。
逆に、重なりがない人は時間がかかります。とはいえ、文系出身や高校物理を履修していない人の合格記もあり、「重なりがない=受からない」ではありません。
5. 本を読み込むより、解説を頼りに問題を解いて仕上げている
問題演習を中心に据えた合格者は少なくありません。2026年度に電気分野で合格した はいえんじにあ さんは「参考書などのテキストは一切購入せず」、過去問5年分を5周して4課目に合格しました。ほかにも、参考書を買わずに過去問中心で合格したと書いている人が複数いました。
ただし、ECCJの無料の過去問には、問題と解答(と配点)しか載っておらず、解説がありません。そこで合格者は、なぜその答えになるのかを別の手段で補っていました。熱分野に電験三種の保有者として挑んだ 設備管理.com の筆者は、わからない箇所を生成AIに質問する方法を「Chat GPTは起死回生の一手でした。」と書いています。
つまり、理解に必要なのは「正解の理由」を読める環境です。最初から解説のついた問題で演習すれば、本を別に用意しなくても理解まで進められます。私たちのアプリでも、全問に正解の理由と各選択肢の正誤の解説をつけ、解説の用語をタップすると専用の用語辞書が開きます。それでも腑に落ちない問題は、そのまま AI に質問できます。スキマ時間の問題演習だけで、解く・読む・調べるが1か所で完結する組み立てです。
落ちる人・持ち越した人に共通していた5つのこと
1. 熱分野の課目Ⅱだけを落とす
熱分野で課目合格を持ち越した8人のうち、4人は残った課目が課目Ⅱでした。冒頭で紹介した浪人技師さんは、2023年に課目Ⅱだけ45%で落とし、敗因を「勉強時間の配分を間違えたのである」と分析しています。熱力学の基礎がほぼない状態で、ほかの課目と同じように過去問中心で進めてしまった、というのです。
課目Ⅱが「あと4点」だった こじろう さんの言葉は、この試験の厳しさをよく表しています。
「「ほぼ受かった」は、受かってない」
2. 課目Ⅰ(法規)を1〜2問差で落とす・法改正を追えていない
課目Ⅰは熱・電気共通で、省エネ法を扱います。2023年に省エネ法が改正され、非化石エネルギーへの転換が加わりました。専門3課目に合格しながら課目Ⅰだけ1問足りなかった ぷちあげチャンネル の筆者は、翌年は試験当日の朝に資源エネルギー庁のサイトで法改正を確認してから臨みました。2023年度に電気分野で合格した Noji さんも、改正で入った「非化石熱」がノーマークだったと振り返っています。法規は2023年の改正後の教材で勉強する のが前提です。
3. 準備不足のまま受ける
冒頭で紹介したリーマンたけしさんは、2023年の勉強時間が総計12時間で、課目Ⅰと課目Ⅲは勉強しないまま受けました。結果は課目Ⅲだけが57%で不合格。本人は「せめて2~3時間勉強して行けば合格できましたね」と書いています。前年はほぼ無対策で2課目だけ合格した人、1年目の見立てが甘かったと書く人もいました。
4. 過去問の答えを覚えて、理解したつもりになる
過去問の周回は合格者の王道ですが、答えを覚えただけでは通用しないことがあります。浪人技師さんは「答えを覚えること」と「理解すること」を混同したと振り返り、こじろうさんも、形が変わっても解ける理解が必要だったと書いています。周回するなら、「なぜその答えになるのか」を説明できるまで が目安です。答えを覚えてしまった過去問とは別に、初めて見る問題を混ぜて解くと、理解できているかを確かめやすくなります。スキマ時間にスマホで解ける問題アプリなら、「間違えた問題だけ」に絞って解き直したり、本番形式のテストで課目ごとの弱点をグラフで確かめたりできます。
5. 選択問題で時間を取られる・当日に知る
課目Ⅳには、熱・電気とも4問中2問を選ぶ選択問題があります。電気分野で得点源のはずだった照明が難しく、30〜40分以上とられたという 2028夏脱サラ計画 さんの例や、照明に時間を取られて別の問題を解ききれなかった例がありました。熱分野では、選択問題があること自体を当日知った人もいます。
「え?科目IVって選択問題あるの?」
2025年に熱分野で合格した 潮 さんの一文です。どの2問を選ぶかは、事前に決めておくべきでしょう。

1〜2問差は多い。でも持ち越せば伸びる
体験記を読んで印象的だったのは、1〜2問差での不合格がとても多い ことです。あと1〜2問、あと2問、1問足りず、あと4点、あと一問と、5人が同じような言葉を書いていました。
一方で、課目合格の制度があるので、落とした課目だけを翌年に受け直せます。持ち越した人の点数は大きく伸びていました(いずれも本人の記載。多くは自己採点)。
- 浪人技師さん(熱・課目Ⅱ): 45% → 84%。2年目の勉強は30時間
- リーマンたけしさん(熱・課目Ⅲ): 63点 → 81点以上(110点満点)。2年目は15〜20時間
- そうだ電験取ろうさん(電気・課目Ⅰ): 111点 → 173点(200点満点)
ただし、免除されるのは合格した年の初めから3年以内です。年に1課目ずつ進めた結果、1年目に合格した法規が期限切れになり、4年目にようやく合格した 人生迷走マン さんは「つまり、一年目の法規が復活となりました。」と書いています。課目合格を使った2〜3年計画は第9回で扱います。
合格者の勉強時間は、中央値150時間
合格までの合計勉強時間を数字で書いていた合格者は11人でした。

11人の真ん中(中央値)は 150時間、範囲は約80〜550時間です。80〜100時間で合格した人が4人いる一方、300時間以上かけた人も3人いました。熱分野6人・電気分野5人と人数が少ないため、分野による差は言い切れません。
時間数は書かずに、実質約2週間で合格したという人もいますが、この人は製造業で10年以上働き、熱力学や伝熱が苦手ではなかったと書いています。短期合格の話は、前提となる経験とセットで読む必要があります。民間の講座は300〜600時間ほどを目安に挙げていますが、根拠となるデータは示されていません。勉強時間と逆算の計画は第4回でくわしく扱います。
次回の試験は2027年8月1日、研修ルートの仮申込は9月28日まで
2026年度の試験は8月2日に終わり、合格発表は9月17日にありました。次回(令和9年度)の試験は2027年8月1日(日)に実施予定 です(ECCJ のお知らせ 2026年9月18日)。申込期間はまだ発表されていません。ECCJのQ&Aでは、次年度の予定は例年4月ごろにわかるとしています(2026年度の申込は4月6日〜6月22日でした)。
もう1つ、実務経験が3年以上ある人 には、試験とは別に「エネルギー管理研修」というルートがあります。オンライン講義と12月の修了試験で、取れる免状は試験合格と同じです。2026年度の日程は次のとおりです(エネルギー管理研修 受講の手引)。
- 仮申込(インターネット入力): 9月28日(月)まで
- 受講資格審査の書類の提出: 10月9日(金)まで
- オンライン講義の視聴期間: 9月16日〜12月4日(申込みが遅れると視聴できる期間が短くなることがあります)
- 修了試験: 12月13日(日)
- 受講料: 70,000円
令和7年度の修了率は受験者973人に対して修了者556人で、計算すると57.1%です(エネルギー管理研修 修了者発表)。研修で合格した課目の免除は翌年度限りで、試験の「3年以内」とは扱いが違います。対象になる人は、締め切りまで時間がないので早めに検討してください。試験と研修の違いは、次回の第2回で整理します。
まとめ:「課目ごとの60%」を、確実に積み上げた人が受かる
41人の体験記から見えたことをまとめます。
- 過去問は 8〜15年分を複数周。答えを覚えるのではなく、解き方を説明できるまで
- 課目Ⅱ に最大の時間を。熱分野では持ち越しがいちばん多い課目
- 課目Ⅰは 2023年の法改正後の教材 で。1〜2問差の不合格が多い
- 課目Ⅳの 選択問題は事前に2問を決める
- 勉強時間の中央値は 150時間。ただし経験によって大きく変わる
- 落としても 課目合格を持ち越せる。ただし期限は3年以内
連載の第2回では、「エネルギー管理士試験の仕組み」として、4課目の構成や時間割、合格基準、課目合格の3年ルール、研修ルートとの違いを公式の資料にもとづいてくわしく見ていきます。
エネルギー管理士の500問をアプリで解くなら「ナレッジバンドル」

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※この記事は2026年9月26日時点の公開情報をもとにしています。試験や研修の制度・日程は変わることがあるので、申し込む前に必ず省エネルギーセンターの公式サイトで確認してください。体験記の引用は各記事の原文から行い、リンク先に出典を明記しています。点数の多くは本人の自己採点です。ECCJの過去問は無断での複製・転写が禁じられているため、この連載では問題文を転載していません。